歴史から学べ/井上尚弥と辰吉丈一郎

「私は彼のスタイルは好きじゃない。でも彼は自分のすべき事をした。一発のパワーがない代わりに、抜群の反射神経でハンドスピード、フットワーク、ディフェンス、コンビネーションを磨いたんだ。」エマニュエル・オーガスツ

昨年はテストの意味も込めてサイトの更新を頑張り、アーカイブすべきこんなサイトも作った。

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我ながら、仕事も放棄しよくやった・・・
しかし結果は出なかった・・・アカン、仕事に戻ろう。

ボクシングの歴史を俯瞰することが出来、大いなる学びを得た中でおもうのはやはり温故知新、歴史から学べ、である。ボクシングの歴史上、最高峰のディフェンス技術を持っていたウィルフレド・ベニテスは打たれすぎて廃人同然になった。

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最近、こんな記事を読んだ。

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井上尚弥
「僕は天才ではない。ボクシングで天才と言うのは辰吉丈一郎さんみたいな人のことだ。デビュー時やプロ4戦目で日本バンタム級タイトルを岡部繁さんからKOで奪った試合の映像などを見ると、まさに天才だと思う。キャリアの浅い時期にああいう動きのできる人が天才なのだ。カリスマとしてファンの圧倒的な支持を受けたのも納得である。」

井上尚弥という逸材がプロデビューした時、周囲は騒いでいたが、正直言うと私の感想も同じだった。あぁ、次元の違うスピードとリズムをもったまさに正しくプロスペクトだが、海外ではよくいるタイプかな?辰吉とはスケールが違うと。

実際、井上はモノが違い過ぎる才能で相手に襲い掛かるが、佐野友樹も田口良一も徐々に慣れて明らかに実力で劣るものの対抗していった。初期の辰吉は遊びを入れながらスイスイ避けて急所に一撃で相手を破壊していた。ボクシングをするために生まれてきたかのような長い腕、懐深いボディ、センスの塊だった。

しかし井上は勤勉だった。ガード、ディフェンス意識も高く欠点がほとんどなかった。修正を重ね階級を上げて才能がスパークした。対する辰吉は「ボクシングは芸術作品、一度でも負けたら引退や」と言い、ノーガードスタイルを貫いた。

そのスタイルでレジェンドになった男はほぼいない。傷つかなかったファイターは一人もいない。究極がナシーム・ハメドくらいだろうが、異能すぎるファイターだ。

ロイ・ジョーンズJrやマイク・タイソンでさえ、いつか綻び倒される日が来る。フロイド・メイウェザーは、負けない、傷つかないファイトを研究し尽くして偉大な記録を残した。

エマニュエル・オーガスツ
「私は彼を特別だなんておもっていなかった。140ポンドで再戦がしたいくらいだ。すべきことをしたと言う意味で評価している。ビッグパンチャーでなかった事が彼を偉大にしたんだ。ジャブ、スピード、フットワーク、ディフェンス、カウンター、距離のコントロール、複合的なものを磨きに磨いて偉大な存在になったんだ。」

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フロイド・メイウェザーは臆病だからこそ、己のスタイルを完成したのではないだろうか。

歴史を振り返ろう。

究極のファイター、負けないファイターは、いついかなる試合でも、何よりもディフェンスが鉄壁だ。ワシル・ロマチェンコ、テレンス・クロフォードの一番の魅力はやはりディフェンスだ。すさまじいパンチ、攻撃力を持っていても、全ての相手に通用する、発揮できるわけではない。

井上尚弥のネクストステージが楽しみで仕方がない。
彼は日本史上最強、限りなくコンプリートファイターに近い。

しかし、ブレークしたノニト・ドネア戦のようなファイトを繰り返していると、きっと綻びが出始める。無意識のダメージと激闘の記憶が刻まれる。

歴史を振り返ればそれがわかる・・・

すべきことをする、それが記録、記憶、伝説となる。

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コメント一覧
  1. 私も同意します。本人が挑戦前、もっとキャリアをつけたい、最短記録なんかどうだっていいと言っていましたからね。
    リチャードソンは全盛期ラバネレスを捌いた選手でした。それが完敗したことが天才的以外表現出来ない。

    強いて言えば、初防衛戦前の眼疾の後、王座返上しておくべきでした。
    手術は試合半年前に施され、あまりにも過酷な経験をしてしまった。

    この件は確かテレビ局に枠を買う他、試合準備に入ったことで、損害額が大きかったのを回収するために復帰直後の防衛戦を行ったとされる内幕だったはずです。

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  2. 私は辰吉をあまりに世界挑戦を急がせたツケが出たと思っています
    世界戦までに様々なタイプのボクサーと経験を積んでいれば、ラバナレスやサラゴサの変則ボクシングに苦しめられずにもっと高みへ行けたのではないかと思うのです

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  3. 岡部繁戦は彼の最高傑作だったと未だに思います。次点のリチャードソン戦を除けばついぞ彼の才能が全開することはなかった。オーバーハンドのブローをやたらと食う辺り、眼疾が発覚する以前から彼の視界には問題があったのではないかと個人的には感じていました。彼の最大の悲劇は彼の莫大な才能を刺激し得る指導者達が次々に亡くなってしまったことではないかと。「someone upthere curse him」と思うことがあります。

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  4. 「天才」とは、生まれ持った素質だけで、他人より少ない努力または同じ努力で、他人よりも高いある一定のレベルに到達する選手のこと。で、間違いなければ、辰吉は天才なのかもしれませんね。
    個人的には、あの無防備に顔面打たれる姿が、観ていて嫌で、あまり好きになれない選手でした。カーロスリベラみたいになりそうで、、、

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  5. 井上尚弥が自分は天才じゃない、辰吉さんは天才だ、と言いたい気持ちはわかる気がします。
    自分は6歳の頃から15年位ずっとやり続けてきてあの日本王座戦。一方、辰吉はボクシング歴5年位であの日本王座戦ですからね。その前にも2、3年しかやってないのにアマの社会人大会で優勝してますし。

    ボクシング好きな人、井上尚弥のファン方には、井上尚弥選手の書籍「勝ちスイッチ」を読んでみることをお勧めします。
    真吾パパの書籍もなかなか良かったですよ。

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  6. 辰吉はまさに天才です。しかし、メキシコの明白楽ナチョによって弱点を見抜かれて、ナバラレスに負けて狂いはじめます。サラゴサ戦の時もナチョに弱点がかわってないことを
    指摘されましたし、マッククリハラが作り上げた薬師寺によってやられてしまった。辰吉を育てるトレーナーが大阪帝拳にいなかったんでしょうか?

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  7. 井上や井上父のこの言葉だけは引っかかる
    そりゃあ井上より才能あるやつなんてこの世界には吐いて捨てる程いるだろうけど、
    だとしても才能あるなしで見たら明らかにある側だろうって思う

    村田も井上に対して「練習でやってきたことをきっちり試合で出すなんて中々出来ない。尚弥はそれをやってのける」
    って言っていたが、なら練習でやってきたことを試合で出せない村田は怠け者なのかって言ったら絶対違う

    ダニエル・ローマンとかジョシュ・ウォーリントンとかが言うならまだわかるが、井上が言っても説得力がない

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  8. 現役を知らないものですが、辰吉は練習してなかったんですか?昔、渡辺一久に偉そうに、世界とるやつは1日も練習を休まん、とかって講釈垂れてたのに。辰吉の初期は練習せずに才能だけでやってたんですか?

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    • 辰吉は練習めっちゃくちゃしてましたよ、ただ練習した分強くはならなかったというか、努力は報われていないと思います。練習をそれほど追い込んでいない世界王者になる前からかなり強くて世界王者になってから練習をしたけど伸びなかったというか、努力の質が良くなかったのかもしれません

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    • 辰吉はハードワークで知られる選手ですよ。
      その上で「どれだけ練習しても出来ない奴は一生できない」ってボクシングを、デビュー当初からやっていた。
      才能任せ・ファンサービス重視のボクシングで評価を落としてしまった選手なので悪く言うマニアもいますが、普段のボクシングへの取り組みは誠実だったようですよ。
      超人気選手だったので記者たちの証言は探せばいくらでも出てきますし、試合が望めなくなった40代以降も練習を続けていたりするので、間違いないかと。

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  9. 辰吉は最初の世界タイトル獲得の後トレーナーが亡くなってトレーナー不在になったのが痛かったと聞いた事があります。そこに網膜剥離なんかも重なって駄目になったと、一度海外のトレーナーに辰吉を見て欲しかったですね

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  10. 縫合すると治りは早いけどカットが慢性化するから、縫わずに自然治癒に任せた方が良いとか、昔聞いた覚えが有りますが、今もそうなんですかね?

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  11. 少なくとも井上はカット癖がついちゃったかもしれん。予後は良好というが傷跡は残り、目つきが変わった。

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  12. 天才なのか、日本最高の才能なのかどうかは分からん。
    けどこんなに魂を震わせてくれたボクサーはいない。

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  13. 辰吉は自分の世代じゃないですが、今まで一度も彼を天才だと思ったことはありません
    「才能」は日本中のどのボクサーよりもあったでしょう
    でもそれだけで勝てるほど世界は甘いものじゃない
    それを本人も陣営もまるでわかってなかった
    井の中の蛙です

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  14. 昔、渡辺二郎が辰吉について、こんなことを言ってました。「あかん。あいつのピークは日本タイトル戦や。あれから全然伸びてないやろ」確かにそう思いましたね。正直、地元判定で勝てせてもらった試合もありましたし、挑発的な言動も含めてネット社会の今だったら叩かれてたんじゃないかなあ。畑山がさんまの番組で今の辰吉なら左手だけで勝てるって言ったのがすごく印象に残ってますね。いつ頃だったかなあ。ちなみに辰吉の試合は生で一度だけ見てます。ウィラポンの2戦目です

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    • あれから走った事がないことを二郎さんは知ってますので、その上でのコメントでしょう。

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