打ち込んでいく勇気/岩佐亮佑

最後に同じ事を書いたが、最初にも言う。「これが最後では納得がいかない」

オーストラリアを拠点とするアイリッシュのテレンス・ジェイ・ドヘニーは4000マイルの旅をして日本でIBFスーパーバンタム級王者の岩佐亮佑とタイトルを争った。無敗の挑戦者ドヘニーは満場一致のユナニマス(117-112、116-112、115-113)で勝利し旅を価値あるものに変えた。

“The Power” というニックネームのドヘニーは岩佐に対し慎重にボクシングを展開した。無敗の挑戦者がレベルアップの試合に挑む時2つのことが起こる。残酷な結果を招くこととそれを乗り越えること。ドヘニーは後者を実行する能力がありました。

サウスポーの岩佐は初回にドヘニーの右頬を切り、試合を通じ左目周辺を腫れさせるなどしたが、終始パンチを出し続けたドヘニー(20勝14KO)の手数と積極性がスコアに反映されたようだ。

試合はエキサイティングとはほど遠く、クリンチも多発したが、大きな勝利を勝ち取った31歳のドヘニーにとっては大きな問題ではありません。28歳の岩佐はまだ若くやり直すチャンスはいくらでもあります。小國以載からタイトルを奪い、1度の防衛をした岩佐は25勝16KO3敗としています。

今年一番不可解なジャッジが、逆地元判定という形で日本で起きてしまった事にショックを隠せない。上記の通り試合は低調で、クリンチが多く、岩佐の左の数も精度もパッとしなかった。それでも両者の効き具合、消耗度、試合後の顔をみればわかるように、不甲斐ないけど岩佐の負けはないような内容に映りました。

ドヘニーの勝者コールの驚きをみれば、本人自身負けを自覚していたのがわかる。

しかし、岩佐やセレス会長、戦った本人たちが負けを覚悟していたようなので、TV観戦と実際は違ったのかもしれない。

岩佐
「ジャブで距離を取れなかったから、左につなぐことができなかった。距離がちょっと遠かったですね。追い詰めたところでクリンチされて…不完全燃焼ですね。
11ラウンドは効いているのはわかったけど、それもうまくごまかされましたね。(自分の攻撃も)単調だったと思います。相手のパンチ? ありましたよ。何ラウンドだったか、1回効いたときがありました。
むこうがオレの苦手なことをやってきた気がします。もっとガンガンくると思ったけど…うまかったですね。ちょっとショックですけど、これが現実です」

セレス小林会長
「打ち込んでいく勇気がない。練習ではだいぶできているけど、本番では出せない。8ラウンドから倒さないと勝てない、勝負しろと言ったけど、手数が出なかったですね」

ドヘニ
「信じられない。タフで厳しい試合になることは分かっていた。接戦だとは感じていたが、勝つだけの闘いはできたと思う。いつでも誰とでも闘う」

私も信じられない。

初回でドヘニーをカットさせ、顔もボコボコに、11ラウンドには倒すチャンスもあった。この日の岩佐は動きはイマイチでもパンチはキレていたはずなのに、手がでず勿体ない。

多くのマニアなら、山中に挑戦した頃の岩佐の方が強かったというだろう。
スピードも怖いもの知らずの思い切りのよさも大胆さもあった。
キャリアを重ね、敗北や苦戦で自信が揺らぎ、セレス会長の言う打ち込んでいく勇気が完全に失われてしまった。

岩佐
「今は『また頑張ろう』となるまで、よく考えた方がいい。一番の勝負で勝てなかった。それが実力。これだけ戦っても乗り越えられない。今後についても考えます」

という岩佐だが、岩佐戦を乗り越えて自信を増してガンガン上り詰めた山中よりも、4度の世界戦に失敗し、アキレス腱断裂で死にかけた西岡に学んで再起して欲しいと願う。西岡も日本王者時代のスピード、勢いは失われたが、信念を貫いて別の部分を進化させ、30過ぎて奇跡の2番底をみせた。左は健在だった。

まだ、28歳、本人曰くグダグダな試合でも、ドヘニーには負けてない。フィジカルが強くなった気配も感じる。

打ち込んでいく勇気がない。練習ではだいぶできているけど

即再戦でも勝てるとおもうが、この勇気を取り戻し、ここで諦めず復活して欲しいと願う。
伊藤の世界戦とまるで違う。手数も、得意パンチを打ち込んでいく勇気も、相手を怯ませ何が何でも勝つという決意も・・・

これが最後では納得がいかない。

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コメント一覧
  1. >「過去に倒されているという怖さがあったかもしれない。魔の6ラウンド、がんがんいって、雑になって倒されると思っていけなかった。怖さがあったんです」
     3年前、イギリスの敵地での世界初挑戦となったリー・ハスキンス戦で、6ラウンドTKO負け。そのトラウマがあったことを岩佐は、正直に告白した。

    上記はヤフーにあった記事ですが、もう岩佐は壊れてるんでしょう。元々メンタルの弱さがあったが、ハスキンス戦で決定的になったようです。あの程度の相手で、これではもう無理でしょうね。グスマンとかもっと圧力のある相手だったらKO負けするでしょう

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  2. セレスさんがもう岩佐を伸ばせないのかも知れませんね。

    山中に力負けしてから自分と同じ秀才技巧タイプに閉じ込めてしまったような。

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  3. みんな打ち込めと言うけれどフィジカル勝ちできてない相手にインファイトを仕掛けて打ち勝てたシーンて今までの戦歴でありましたか?
    岩佐山中の頃のようにと言うけれどあの頃は階級が下、そして今はibf王者、フィジカル関係については真逆の環境ですよ
    ララがパンチあるのにカネロに打ち込もうとしなかったのもそうだけど、何でもはできませんよ
    そして私もスペンスのように振る舞うべきだとは思うけども彼の試合を見てもgggや村田のような追い足があるでしょうか ないですよね
    スタンスや型が決まっててそれ以外の戦術を持たない岩佐にフィジカルで上回る相手にガツガツ行けというのは無理があるし、あれだけオーバーハンド被せるを見せてたドヘニーにガツガツ行けば内山の二の舞でしょう
    岩佐のスペックを考えればあれが最善手トは言わないまでも悪くない試合運びだし、逆にあれが限界でしょう
    そして自信のビハインドを自覚して改善した結果があれなら正直ここまで、としか言えませんね
    判定については私も有効打の見方の難しさについて感じました ただ解釈の違いというよりはビデオ判定のない環境においてインファイト中の有効打を見落としやすいという印象です
    だからこそ攻勢点を主軸になるべくリングジェネラルシップ=攻勢の空振りを防ぐを両立した振る舞いを意識するべきというのは全くの同感だしマニアに対しても大いに啓蒙すべき事柄だと思うのですが、まさにそほ攻勢点が中盤の岩佐の失速のラウンドと明確に終盤にコンビネーション貰った2ラウンド以外岩佐がとったと思いました
    相手のパワーハンドのあとに打ち返してたのは岩佐ですし、動きすぎて攻勢を維持できてないのはドヘニーですし、よく見るとドヘニーが前に出るシーンはパンチが伴ってないです だからこそクリンチになるかと これはリングジェネラルシップとしては評価対象ですが、攻勢点でも攻撃に繋がるディフェンスでもないかと
    手数出してれば言い訳でないのは村田ヌジカムの通りです
    どちらの方が技術レベルが高くまた本質的に支配的に振る舞えたかと言えば明らかにドヘニーですけど、まぁ内容と判定が同一しないのはカネロや多くのキューバン同様ですね

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  4. 岩佐選手は、小林会長の言う通り『打ち込んでいく勇気がない』ですね。
    アマチュア的なタッチボクシングで、KO出来そうなパンチが全然無かった。
    ハスキンス戦の前までは、今みたいな感じじゃ無かった事を考えると、ハスキンスにKOされてパンチ恐怖症になったのではないでしょうか?
    恐らく、もう無理でしょう。

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  5. 強打があるわけでもないし、抜群のスタミナがあるわけではなし。
    センスがあると言ってもメイみたいにタッチで勝てるほどではない。
    伊藤くらい変わってみろという気はないですが、あまりにも全部が中途半端に思います。
    得手不得手な相手がいるのは当然でしょうが、岩佐には応用力が決定的にかけていると思います。
    本当のセンスってそれも含めての事じゃないのかな。
    これが岩佐の持ってるレベルなんでしょう。

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  6. サウスポー同士の時、もう少し右のパンチがあれば展開違うんではないでしょうか。

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  7. サウスポー同士の時、もう少し右のパンチがあれば展開違うんではないでしょうか。

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  8. プクーさん返信ありがとうございます
    ”相手に合わせるスタイルが染みついている気がします”その通りと思います。
    そんなスタイルが岩佐の試合が地味に見えてしまうのかも知れません
    いずれにしてもハードパンチャーでもないのに手数が少ないでは見ためにも流が悪いです
    先手、先手、で攻めないとタイトル防衛は難しいかと思います。
    同じく手数の少ない田口の防衛戦ブドラーに判定負け試合を思い出します。

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  9. トーヤさん

    結果論でしかないですが

    小國の場合、勇気と作戦がはまった(グスマン戦)
    はまらなかった(岩佐戦)

    でしょうか、サウスポーが苦手なようで、玉砕気味に出ていきましたが
    もう何度かダウン奪われた後だったので後の祭りだったような気が。

    昔からみている岩佐はいい選手ですし、今回もなんとか勝ったようにみえましたが
    何かを変えていかないと厳しいですかね。

    強い王者は手数も積極性も相手を上回ることばかりですが
    相手に合わせるスタイルが染みついている気がします。

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  10. 試合を観戦していて確かに”打ち込んでいく勇気”と言う事を感じた岩佐でしたね相手が上手いといえば其れまでですが、やはり無敗の全KO対戦相手に小國以載タイトルを奪取したのは”打ち込んでいく勇気”で勝利したのでしょう その小國以載に勝利できたのは如何してと思ってしまいました。
    いま思えばチャンピョン小國以載が挑戦者岩佐に”打ち込んでいく勇気”が足らなかったのが敗因でしょうか? ファンは我が侭ですから観戦していて勝敗如何こうより面白い試合をして欲しいですね

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