夢と情熱の期限/クリスチャン・ダギオの死

本人がどんなに望んでいても、これはやる必要のない試合であった。両者共に未来のあるボクサーとは言えないのは一目瞭然。であれば、49歳で試合を組んではいけない。

リング禍によるファイターの死はいつも胸が張り裂けるような想いがします。それが49歳のファイターに起きたのであればなおさらです。

イタリアのクリスチャン・ダギオは、タイでドン・パウエルンと対戦し、衝撃的なノックアウト負け、脳に損傷を受け、昏睡状態が続き、一週間後の金曜日に死亡した。

背中から横たわって動かずにストップされた彼の姿、レフリーがダギオの頭を抱えている姿が忘れられない。

「クリスチャンは自分が望んだ死に方をしたんだ。彼は80歳まで戦うことを夢見ていた。」

彼の兄弟はイタリアのメディアに答えた。

私は(記者)男であれ女であれ、厳しいテストをクリアしファイトする事ができるのであれば、年齢問わずこれを支持してきた。40代のファイター、バーナード・ホプキンス、ジョージ・フォアマン、イベンダー・ホリフィールドなどが想起される。

タイでのダギオの悲惨な死を受けても、この哲学は変わらない。人は皆生きて、情熱を追い求める権利があります。あるべきです。

48歳まで試合を続けたジョージ・フォアマンは20年間ボクシングから離れていたが、45歳で復活しマイケル・モーラーを倒し、ヘビー級王者になった。彼はボクシングをやる資格がないという自分の運命を否定した。

バーナード・ホプキンスは2014年にベイブット・シュメノフを圧倒して49歳でライトヘビー級王座を2冠統一した。

しかしダギオの死は私の哲学を一時停止させた。

ダキオはかつてムエタイ王者になったことがあり、相手のパウエルンは凡庸な戦績で熟練したファイターとは言えなかったが、ホプキンスのような名前もない49歳の男(ダキオ)が13歳も若い男(パウエルン)と戦うことには本質的な不快感を覚える。

ダキオは80歳まで戦うことを夢見てきたというが、もちろんこれは自殺行為だ。ボクシングは、誰かにとっての夢の手段だとしても、命を奪う道具として使ってはならない。

年齢制限をする必要があるでしょうか?60歳ですか?55歳ですか?そこに答えはありません。それはその人に依存するものです。

世界でもトップクラスのメディカルテストを行うネバダ州のコミッションでは38歳を超えるとリスクが高まると報告しています。50歳近くまで戦う必要はないのではないか。

ホプキンスの身体能力には世界中の人が驚きを隠せませんでした。彼は半世紀を過ぎた人間で、「フリーク(変人、奇人)」と呼ばれていました。53歳の今でも175ポンドのファイターの多くを倒す力があるでしょう。

しかし、ホプキンスの晩年、27歳のジョー・スミス・ジュニアと戦った時に私はある種の疑問を抱きました。スミスのパンチを頭に食らい、リング下に転落し20カウント以内にリングに戻れなかったことで初のTKO負けとなった試合です。

ホプキンスはロープにくぎ付けにされ、ロープづたいに歩いていました。年齢がどう影響したのかはわかりません。しかしこの試合には違和感を覚えました。ホプキンスが頭部への打撃で深刻な損傷を負ったり、悪化した可能性があります。51歳のレジェンドホプキンスはこの試合で殺されたという抗議を想像できますか?恐らくそれはスポーツの歴史上最悪の一日になったかもしれません。

大事なのは、ホプキンスがスミスと戦うことが合理的であったかどうか考えるのと同様に、タイのコミッションが、パウエルンのような能力の劣る選手であったとしても、ダキオと戦わせるべきであったかを検討すべきだったのです。

ダキオの悲劇からどのような結論が導き出されるかはわかりません。

ネバダ州のアスレチックコミッションの報告を支持します。38歳を過ぎた選手にライセンスを許可してはいけない。許可されるのは一部の「フリーク(変人、奇人)」といえる実績や身体能力を誇る人間だけに限定すべきです。

ひとつだけ確実に言えることは、ダキオのような高齢のファイターが試合を望むときは、ボクシングであれ他の格闘技であれ、コミッションは十分にこれを検討する必要があるということです。

痛ましいダウンシーン、最初のダウンでレフリーが止めていれば障害は残っても死に至ることはなかったかもしれないが、ダキオの反応をみれば続行もやむなしか・・・

難しいな
ダキオ49歳は高齢すぎるがここまで10戦10勝全KO(相手は素人のような雑魚ばかりですが)過去には様々な勲章があるらしい。パウエルンというタイ人も36歳で若くはなく6勝4敗のカマセ犬的なポジションだ。

記録だけみたら、試合を組んで良しとなりそうだ。

しかし、失礼を承知でいえば、動きを観れば、両者にこれ以上向上の余地も時間もない事はわかる。であれば、49歳というリスクを考慮して、試合自体を組むべきではなかったのだ。

というのは後の祭り・・・

高齢のファイターは自分の夢や情熱以上に、周囲に責任があるのだという事を自覚してもらうしかない。やはり38歳が期限というので異論なし。

年寄りを戦わせる日本のエンタメ業界にも申し上げたい。

悲痛な事故だが、この言葉だけが救いだ。

「クリスチャンは自分が望んだ死に方をしたんだ。」

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