二兎を追う者は一兎をも得ず/ジェルウィン・アンカハスVS船井龍一

今年最高峰のビッグマッチ、カネロVSジェイコブスの裏で行われる世界戦、我々日本人はこっちに注目すべきかもしれない。大きな感動、カタルシスは意外とこっち、この試合かアルツール・ベテルビエフVSラディボジェ・カラジッチの方にあるのかもしれない。

今週末のボクシング界の注目はほとんどラスベガス(カネロVSジェイコブス)に集中しているが、ジェルウィン・アンカハスは自分の試合もそれにリンクすることを願っている。ESPN、カリフォルニア州ストックトンで行われるIBFジュニアバンタム級の試合は、挑戦者、船井龍一に対して行われるアンカハスの7度目の防衛戦だ。この試合のメインはIBFライトヘビー級、アルツール・ベテルビエフVSラディボジェ・カラジッチだ。

アンカハス
「カネロやジェイコブスはビッグネームなので、(自分の試合に注目してもらうのは)なかなか厳しいでしょうね。」

この試合の注目度は決して高くないかもしれないが、アンカハスはただの防衛以上のことをしようとしている。アンカハスには自分が成長しスターダムへ駆け上がっていることを証明する必要がある。アンカハス(30勝20KO1敗2分)はジェイミー・コンランとイスラエル・ゴンザレスに対し印象的な勝ち方をし世界にアピールしたが、ジョナス・スルタン戦の冴えない勝利、アレハンドロ・サンチャゴ・バリオス戦のドローでその輝きと注目を失った。

アンカハス
「前回のバリオスとの試合では多くのことを学びました。そして色々な事を変えました。」

マネージャーのジャボン・ヒメネスによると、フットワークの改善だけでなく、スパーリングパートナーも変えた。減量とコンディショニングのため新しい栄養士も雇ったという。

対戦相手の船井龍一(31勝22KO7敗)はそんな悩めるアンカハスの治療薬に過ぎないかもしれない。33歳の船井はアンカハスより6つ年上で、アンカハスより背が高い。バリオスのようなやりにくい小さなファイターのバッティングに悩まされることもない。船井は現在7連勝中でこれがキャリア初の海外での試合となる。船井の最大の勝利は2年前の世界挑戦者ワルリト・パレナス戦だが、過去に山中慎介、石田匠、ロリー・ルナスらへの敗北を糧にここまで来た。

アンカハス
「船井は時々アグレッシブになるけど、普段はアウトボクサーで、アウトボクシングが上手いです。」

アンカハスが今すぐにでもいいパフォーマンスを見せたいとおもう理由は、このクラスの活発な凌ぎ合いがあるからだ。ロマン・ゴンザレスを2度下してトップシーンに躍り出たシーサケットは先日ファン・フランシスコ・エストラーダに敗れてタイトルを失った。アンカハスはかつてシーサケットとの対戦をアピールするため、イラン・ディアス戦を控えるシーサケットを追いかけタイに出向いたことがある。

アンカハス
「シーサケットがいつものサウスポーではなくてオーソドックスで戦ったのには何か戦略があったのか、別の理由なのかわかりませんが、彼はオーソドックスよりサウスポーの方が強いでしょう。」

ヒメネス
「シーサケットはイラン・ディアスとの試合前にトレーニングを中断しているんだ。彼には何か問題があったのだろう。初戦の彼とは別人でした。」

豊かな才能ひしめくこの階級において、アンカハスはまだこれといったビッグネームとの対戦がない。アンカハスはエストラーダを含む、階級のベストと戦いたいと願っている。トップランクも彼を管理するシーン・ギボンズもそろそろ飛躍すべきタイミングであると考えている。

アンカハス
「僕もチームも前戦を払しょくするナイスファイトをするのが今回のテーマです。そのためにハードな練習をしてきました。ファンにもプロモーターにもビッグファイトを期待してもらえるような試合をします。」

最近ではモニターが複数あるので、アメリカのファンはカネロのビッグカードとあわせてこの試合を観戦することも難しくないだろう。

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https://www.youtube.com/watch?v=IFrG7i16hDo

展望はこちらに書いた。何より船井の試合をあまり観たことがないので書き足すことができない。

船井は時々アグレッシブになるけど、普段はアウトボクサーで、アウトボクシングが上手いです。

その他文脈から察するに、船井のことは踏み台としか考えていない。前戦の不調は小さな相手のバッティングのせいだから、おとなしい船井はやりにくくないし荒れた展開にもならない。と考えているような気がします。

最近の不調から、フットワークやコンディショニングを見直したようだが、アンカハスのもう一人の敵は減量だろう。ただ勝つのではなくインパクトのある勝利、ノックアウトを狙っているのが読み取れる。日本発信の船井寄りの記事を読むとつい、いけるんじゃないか、相当準備と気合が入ってると感じてしまうが、冷静に考えると1-10くらいで不利だろう。

こういう相手に勝つにはやはり

船井は時々アグレッシブになるけど、普段はアウトボクサーです。

とアンカハスが言う通りのスタイル、ファイトではいけないという事だ。

エリスランディ・ララがカネロに対するジェイコブスに言っていた言葉を引用しよう。

ジェイコブスに勝機はあるとおもうよ。ラスベガスで判定じゃ絶対カネロに勝てないよ。早い回でカネロを効かせることだけが勝機だ。ボクシングでは誰だって倒されるリスクがあるんだ。

例え序盤に効かせることができずとも、圧倒したいと気を急くアンカハスのリズム、ペースを乱し焦りを誘うこと。船井は強打者だというが、その強打が世界レベルでどんなものか、見せて欲しい。ただおとなしく散るというのでは納得がいかない。

防衛と圧勝、二兎を追う者は一兎をも得ずをアンカハスに知らしめてくれ。
カネロVSジェイコブスがあっても、必ず優先して見届けるから、頼むよ。

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