小さなキングのトワイライトラン/ギジェルモ・リコンドー

昨日のギジェルモ・リコンドーVSフリオ・セハは個人的にはヒヤヒヤする戦いでしたが、それはつまりリコンドーを応援していたからだ。天笠戦でコロコロ倒れたリコンドーが強打者のセハの土俵で足を使わず打ち合う姿にプロとしての覚悟、残された時間の最後のアピールを感じましたが、最後は見事な一撃で仕留めてみせました。強打といえど見えてるパンチへの対処は大丈夫なのだろう。

メインのチャーロの試合もインパクトがあったのに、この試合に多くのコメントが寄せられたのは我々日本人はリコンドーが好き、彼を気にかけている証拠だ。

リコンドーにしてはVIP待遇で一度日本にも呼んだから、リコンドーもきっと日本の事が好きなはずだ。

正統のスーパーバンタム級のキングといえるギジェルモ・リコンドーは一昨年12月のワシル・ロマチェンコ戦以来新たなファンを獲得していない。リコンドーのスーパーフェザー級への旅は首尾よくプロモートされ、興行としては上手くいったのだが。

実際のリングではリコンドーにとってその試合は悪夢だった。不都合な現実がただ存在するだけだった。

アマチュアの奇才、38歳のリコンドーにとってあの敗北をいつまでも引きずるわけにはいかない。幸運にも彼の本来の階級であるスーパーバンタム級は彼が不在にしているうちに熱気を帯び、最後の疾走をするにふさわしい状況になっている。

リコンドーがノニト・ドネアに勝っても、他の王者含め誰もスーパーバンタム級のベストを決めようとはしなかった。ベストを問う以外にも別の大きな戦いがあった。

リコンドーはスーパーバンタム級では2013年にノニト・ドネアに勝って以来無敗だ。(セハに勝って7勝無敗)フリオ・セハへの勝利はWBC王者レイ・バルガスへの必須の挑戦者になることを意味する。しかしPBCで活動するリコンドーにとってそれはひとつの選択肢に過ぎない。スーパーフェザー級でのロマチェンコ戦の敗北を乗り越えて、再びリコンドーが輝き、新たな命を吹き込む可能性がある5つの戦いがここにある。

①レイ・バルガス

レイ・バルガスが7月13日の亀田和毅との試合に勝てばリコンドーはWBC王者バルガスの必須の挑戦者になる。バルガスはリコンドーより10歳若く、身長とリーチで厄介な相手かもしれない。もしリコンドーがバルガスに初黒星を与えるならば今現在は見過ごされている、あるいは無視されている、この階級のキングとして牙をむくことが可能だ。

②ダニエル・ローマン

リコンドーVSバルガスが現実化するとは限らない。バルガスVS亀田はDAZNのネットワークであり、ダニエル・ローマンがTJドヘニーを下して2冠統一したのも同じDAZNだ。ローマンはまだ評価の定まらない統一王者であり険しい相手に囲まれた困難の最中にいる。バルガスVSローマンは簡単に実現可能だが、ローマンのスタイルはバルガスよりもリコンドーにとっては簡単で、勝てば2つのベルトを取り戻すチャンスになる。

③エマニュエル・ナバレッテ

アイザック・ドグボエに対する2度の勝利で立場を確立した24歳の王者はリコンドーにとっては非現実的な相手だ。トップランクはロマチェンコとリコンドーを戦わせたが、ナバレッテに対しては別の計画を進めていきそうだ。そうはいってもナバレッテはこの階級で強力な一角を占めており、リコンドーに勝つ事が評価をさらに固めることに繋がる。しかし別のインセンティブがありそうだ。

④ルイス・ネリー

アメリカ進出して対戦する2人(アローヨとパヤノ)の出来によっては大きな可能性がある。互いにPBCなので②③に比べたら遥かに簡単に実現可能だ。元WBCバンタム級王者のネリーには未だPEDテストに対する疑惑が払しょくされていないしタイトルホルダーでもない。しかしネリーはそれらを考慮しても目を見張るような才能を持っている。ネリーは現在メキシコで最高のファイターであり、パウンドフォーパウンドのリストに入るエリートのようにすらみえる。PBCはネリーを促進している。ネリーがリコンドーという偉大なベテランに勝利すれば彼の評価は格段に上昇するだろう。

⑤WBSSの優勝者

誰が優勝してもリコンドーにとっては最も魅力的な選択肢かもしれない。決勝はノニト・ドネアVS井上尚弥だ。ボクシングの政治がリコンドーをWBSSの優勝者に向かわせるかもしれないが、これは頭を真っ白にして考えよう。もしドネアが勝てば誰も予想していなかった再戦が実現し再び注目されるだろう。井上が勝てば、彼の驚異的な能力を新たな階級、新たなステージに引き上げることが可能だ。リコンドーをノックアウトする最初の男になるかもしれない。リコンドーにとっても、P4Pのトップリストに入る若き新星、井上尚弥にショックを与えることができるならば大きなチャンスといえる。

[st-card id=75226 ]

フリオ・セハ戦の前の記事でしたが、試合が終わったので少し変えて簡単にしました。
日本のファン、誰もが考えていることとほとんど同じで、最後の⑤を書くための長い記事なのかなとおもいますが、現在コンディションも結果も良好な井上尚弥はWBSS後もしばらくはバンタム級を続けると公言していました。最高のパフォーマンスが発揮出来ている状態で先を急ぐ必要はない。まずは目先の決勝だけでいい。

レイ・バルガスVS亀田の勝者との対戦が順当だが(亀田が勝てば指名戦の限りではないのかな)人気がなくとも世間の評価は絶対的なリコンドーの名前は偉大だし、38歳という年齢、フリオ・セハ戦の内容をみれば以前よりは対戦に名乗りをあげる者が出てきてもおかしくはない。

リコンドーにチャンスを
そして若手の踏み台になどならず、再びの栄光を期待する。
今まで逃げてきた、避けてきた多くの対立王者にその力を再び示して欲しい。

キューバの名匠がこぞって絶賛するギジェルモ・リコンドーはプロボクシングの歴史上最も過小評価されたキングである。

[st-card id=72379 ] [st-card id=74657 ]

https://www.youtube.com/watch?v=aEktcbGTjcE&t=25s

にほんブログ村 格闘技ブログ ボクシングへ
にほんブログ村


ボクシングランキング

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
What’s your Reaction?
最高
最高
0
いいね
いいね
0
ハハハ
ハハハ
0
うーん
うーん
0
がっかり
がっかり
0
最低
最低
0
おすすめの記事