個人的にはジェイソン・モロニー(陣営)が直ちにこの試合を受けるかどうかが一番気になる。
IBF・WBAバンタム級王者井上尚弥とWBOトップコンテンダーのジェイソン・モロニーが、今年中にESPNかESPN+で戦うことを交渉中だ。トップランクはこの試合を最終的に決定したいと考えている。
井上VSモロニーはファンが待ち望んでいた試合ではない。WBOバンタム級王者ジョン・リエル・カシメロとの対戦こそ望まれた試合だが、それに代わる試合としてはまともな組み合わせといえる。
モロニーには荷が重すぎるとおもわれ、チャンスがあるとすれば、モロニーは井上が本格的に攻撃を仕掛ける前に捕らえる必要があるだろう。モロニーにとっては、昨年11月に井上がノニト・ドネアを相手に苦戦したことは朗報だが、だからといってうまくいくとは限らない。
29歳のオーストラリア人モロニー(21勝1敗18KO)は、2018年10月にエマニュエル・ロドリゲスに12ラウンドのスプリットディシジョンで敗れて以来4連勝中だ。ほとんどが格下の相手だが、しっかり仕事をこなし、ロドリゲスに対する敗北から抜け出そうとしている。
WBOランク1位、WBAランク3位、IBFランク4位、WBCランク4位のモロニーは、井上に問題を与えかねないパワーとファイトスタイルを持っている。
ただひとつわからないのは、無敵の「モンスター」井上(19勝0敗、16KO)の支配力に、モロニーがどれだけ対応できるかということだ。もしモロニーが日本人ノックアウトアーティストからパワーを奪えなければ、長続きしないだろう。
モロニーの最近の4試合の対戦相手は以下だ。
レオナルド・バエズ
ディクソン・フローレス
グッドラック・ムレマ
クリス・パウリーノモロニーのプロキャリア6年目の最高勝利は、2018年5月の元WBAスーパーフライ級王者・河野公平との対戦だった。6回で河野を止めた。しかし、全盛期の河野ではなく、彼のキャリアは既に下降線をたどっていた。
昨年11月に元4階級世界王者ノニト・ドネアに12ラウンド全会一致の判定勝ちを収めた27歳の井上は、これが8年間のプロ生活の中で最もハードな試合だった。この試合では眼窩骨にヒビが入り、切傷を負うなど、プロで最も過酷な試合となった。ドネアが投げたショットの中には、わずかに芯を外したものも多かったが、着弾していたら終わっていたかもしれない。
37歳のドネアにはまだパンチ力はあるが、ショットの精度は落ちている。
キャリアの初期の頃ならば、ドネアはもっと正確で鋭いショットを繰り出していただろうし、井上もただでは済まなかっただろう。ドネアは再戦を望んでいるが、井上は試合で受けた怪我を治癒し、別の方向に向かっている。
https://www.youtube.com/watch?v=imZlmThh0_o
[st-card id=103090 ]これが自然な流れだとしたら、カシメロ(陣営)はファイトマネーの減額を拒んだということになる。井上とビッグマッチが出来るのは光栄だが、負けるリスクが高いので、金は妥協できないという本音となる。
記事にはこう書かれているが、個人的にはジェイソン・モロニー(陣営)がこの試合を受けるかどうかが一番だ。ビッグチャンスであると同時に、勝利、悲願の世界王者の夢はかなり険しい道となる。
WBSSでは誰よりも気持ちの強さを感じたジェイソン・モロニー、予想に反しエマニュエル・ロドリゲスにはあと一歩まで肉薄したが、拳を怪我し、しつこくボディを食らいながらも捌ききったロドリゲスでも、井上尚哉のミサイルには吹きとんでしまう。ボディも一撃で悶絶の苦しみだ。モロニーはKO率は高いが、井上とは突破力、破壊力が決定的に違う。
井上戦後1試合もできないロドリゲスに比べ、モロニーは4戦、着々と試合をこなし準備を整えてきた。対する井上は1試合、ドネアとの決勝、激闘、怪我明けとなる。記事で気になるのは、昔のドネアだったら井上はやばかったのではないか、やはりドネアは偉大すぎる、そこだけは共感する。
コツコツと勝ち続け、WBAレギュラー王者まで上り詰めたアンドリュー・モロニーが、伏兵のジョシュア・フランコのフィジカルと精神力に潰されたように、どんなに勤勉に課題をクリアし勝ち続けてきても、ジェイソン・モロニーでは井上尚哉には歯が立たないというのが本音だ。カシメロのような得体の知れないパワーはない。
それでも、ジョン・リエル・カシメロ戦が組めない以上はこれが極上の対戦、願わくばとっとと決まって欲しい。
ジェイソン・モロニーは賢いはずだ。
陣営も賢いだろう。
その上で、今すぐこの試合を受けるだろうか。29歳、キャリアとしては今がピークかもしれない。
井上にとってはWBSS、2度目の準決勝といったニュアンスだ。あの時の相手がジェイソン・モロニーでもおかしくはなかった。