アルテム・ダラキアンVSユーリ阿久井政悟/井上拓真VSジェルウィン・アンカハス

アルテム・ダラキアンVSユーリ阿久井政悟/井上拓真VSジェルウィン・アンカハス

11月15日、東京・両国国技館で決定しました。

どちらが勝つかわからないという意味では、今年一番楽しみな日本人の世界戦かもしれません。

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アルテム・ダラキアンVSユーリ阿久井政悟

ユーリ阿久井政悟 
21戦18勝(11KO)2敗1分 28歳

戦績だけみると並の世界ランカーにみえるかもしれないが、KO率以上の戦慄のパンチャー。あのパワーをしてもこのKO率というのはそれだけ精度が低いのかもしれませんが。

この戦績には、現王者の中谷潤人、元王者の矢吹正道、大橋ジムのホープ、桑原拓などが含まれているから非情に濃厚なキャリアといえる。

なんといっても、大橋ジムのホープ、桑原拓をノックアウトした試合

今をときめく大手、大橋ジムの無敗の人気選手、桑原拓を破壊した事実がファンの溜飲を下げている。桑原拓は昨日のジーメル・マグラモにも勝っているので世界を伺う実力者であることは間違いない。

ユーリ阿久井政悟は、岡山の地方ジムから、己の拳だけでファンのハートを掴む、どこか昭和の香りがする無骨な漢だ。そういう姿がファンの心をとらえる。ノックアウトスタイルであることも。

しかし王者のスタイルはユーリ阿久井政悟にとって決して相性のいいものではなさそうだ。

アルテム・ダラキアン
22勝(15KO)無敗 36歳

アゼルバイジャン生まれのウクライナ育ち、まず、無事に来日できるかどうか心配だ。フライ級名王者のブライアン・ビロリアの晩年に王座を奪い、6度防衛中

しかし足掛け5年で6度の防衛は、試合が極端に少なく、ほとんど国(ウクライナ)を出ないので、全階級でも屈指の無名、謎に包まれた、評価の難しい王者ともいえる。

映像で見る限り、そのスタイルはかなり異質だ。

ガードを上げてジャブから組み立てるオーソドックスなスタイルではなく、ガードを下げて中間距離からいきなりフックやアッパー、ストレートを繰り出してくる。基本はオーソドックスだが、スイッチもこなし、左右関係なくパンチをねじ込む。筋力、腕力、体幹がしっかりし、フィジカルが強くないとこういうファイトは出来ない。

それでいて愚直なスラッガーではなく、距離感とボディワーク、フットワークに秀で、よく動く。ロマチェンコのように左右に動いて相手の打点をずらすのが得意だ。映像で見る限り、かなり強い部類の王者だが、無名の挑戦者相手に圧倒ばかりではなく、結構苦労しながら、最終的には総合力でねじふせてきた印象がある。

かつて井岡がフライ級王者時代に対戦指令が出たが、井岡側がスルーしたように記憶している。そのくらい、ハイリスクローリターンな王者にみえる。

しかし年齢は36歳で試合枯れ、ピークやモチベーションの持続は厳しく、さらには遠く日本への遠征、ダラキアンのピークやコンディション、モチベーション、ユーリ阿久井政悟を軽くみているようなら王座交代もあるだろう。

ダラキアンのようなタイプは、ユーリ阿久井政悟に限らず、多くの日本人は対戦したことがないだろう。強いていえば中谷潤人の変形バージョンか、恐らくパワーもフィジカルもユーリ阿久井政悟に劣るものではない。

ダラキアンはアマ歴があり(アムナットに負けとか)キャリア豊富でスキルに幅があるのでポイントゲームでは厳しい。日本人のファンが描くのは、ダラキアンの変幻自在で強烈なアタックに耐えて、ユーリ阿久井の渾身の右(恐らく)が王者を居抜き、強烈なダウンを奪ってのノックアウト勝利だ。

その魂の一発、桑原拓戦でさく裂したパンチが、このミステリアスな王者を捕えるかどうかだ。

井上拓真VSジェルウィン・アンカハス

井上拓真の相手では過去最強だろう。
一階級下のSフライを9度防衛した名王者のアンカハスが2階級目を狙って挑戦する。

スピードとテクニックでは井上拓真が優っているが、経験値とパワー、倒すコツはアンカハスが上。アンカハスは正直なファイトに強いので、井上は恐らく足を使ったポイントゲームを意識するだろう。

すばしっこくて接近戦も強い、ガチャガチャひっかきまわすタイプをアンカハスは苦手にしており、トムとジェリーのようなファイトでジェリーに苦杯を舐めてきたような印象だが、この元王者は愚直に強い左ストレートでいつもノックアウトを狙ってくる。強振型でパンチにタメがある。

井上拓真はネズミのように動いてポイントを拾っていくのか、一皮むけて打ち合うのか、元々バンタム、Sバンタムも経験してきたのだから、堂々と打ち合って欲しいけど、勝てる戦略に徹するだろう。

その戦略が上手くいくかどうかです。

少し違いますが、サウスポーのアンカハスは、ノルディン・ウバーリ戦の課題克服だ。

どちらも、スタイルとしては外国人の方が好みですが、日本人を応援するのかな。

ユーリ阿久井政悟に苦節のストーリーがあるように、アルテム・ダラキアンにも、もっと困難なストーリーがありそうですから。あまり笑わない、クールで神秘に包まれた王者の初来日です。

ダラキアンはキエフに住んでいるが、4人の子供がいるという理由で軍への召集を免除された。しかし、侵略が始まった後、彼の妻と子供たちは国を去り、36歳のダラキアンはキャリアを続けることを望み、一人で暮らしてトレーニングすることになった。

ダラキアン
「戦争が始まっても、私はトレーニングを決してやめませんでした。それはショックだったし、準備を整えるは大変だが、トレーニングは決してやめず、ただ試合の日を待った。子供が4人いる場合は軍隊に入隊する必要がないというのが法律です。家族を出国させて国外に連れ出し、また戻ってきました。恐ろしく悲しいことですが、私たちはウクライナが再び豊かな国になれるよう、ウクライナが勝利するのを待っています。家族とは5か月間会っていませんが(1月の記事)FaceTimeで話しています。夏までに戦争が終わって、全員が帰国できることを願っています。」

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