ドネアがいよいよ来日した。10月18日からはアメリカではなく祖国のフィリピンで調整してきたという。妄想していたレイマート・ガバリョとスパーリングしていたかもしれない。彼も含め、井上尚弥のスパーリングパートナーとしてその実力を肌で知っているフィリピン人ボクサーは多い。
ノニト・ドネア(36=フィリピン)が31日、都内で公開練習に臨んだ。
シャドーボクシングの後、ミット打ちを1ラウンドと短時間だったものの、代名詞である左フックや左アッパーは迫力満点。見守った井上陣営の大橋秀行会長が「雰囲気があるし、パンチも強い。絶好調であるのは間違いない」と断言するほど好調ぶりを見せつけた。
ドネア
「とてもワクワクしている。集中力も高まっているが、ワクワク感が強い。人生を通してやってきたこと全てを披露したい。」時差調整を兼ねた直前のフィリピン合宿ではハードなスパーリング中心のメニューで追い込んだ。
ドネア
「井上は信じられないぐらい素晴らしいファイター。最大限の敬意を持っている。だからこそ自分を追い込むことができた。いろいろなタイプの選手と厳しいスパーでメンタル研ぎ澄ませたし、精度の高い、高度なレベルに自分を持っていくことができた」と手応えを口にした。
年齢的な衰えの指摘について
ドネア
「20代のころと同じトレーニングをしていて20代のころのスピード、パワーを維持できている。さらに経験も加わっている」と一蹴。井上が「世代交代する」と発言したことについて問われた5階級制覇のレジェンドは
ドネア
「彼ら若い世代にとって我々の世代が大きな“壁”になっているのは事実。その壁を越えるのか、壊すのかは分からないが、お互いに挑み合うことは大切。自分はその“壁”を強固に、高く作りあげてきた」と揺るがぬ自信を示した。
WBSS決勝に到達するまでに5分29秒しかかかっていませんが予想通りですか?
井上
「いいえ想像もしていませんでした。」決勝の展望は?
井上
「ノニト・ドネアと12ラウンド戦う準備は出来ていますが、序盤で見切ったらノックアウトを目指します。」ノニト・ドネアについてどうおもいますか?
井上
「私はドネアのキャリアを通じて早い頃からよく見ていました。ボクシングを始めた時は彼の動きを盗んでさえいました。ドネアをとても尊敬しており、彼は私のアイドルでした。だからこのトーナメントで最も戦いたかったのはドネアでした。しかし、今世代交代の時を迎えました。」WBSS優勝、アリトロフィーを獲得するのはどのような意味がありますか?
井上
「このトーナメントに参加して自分が世界一のバンタム級であることを証明したい。私は今素晴らしいコンディションです。11月7日はキャリア最高のパフォーマンスをお見せします。」あなたの最大のモチベーションはなんですか?そして究極の目標は何ですか?
井上
「このファイナルは、これまでの自分のキャリア最大のハイライトです。それはまたこの先の未来の岐路になる戦いともいえます。大会を制しアリトロフィーを獲得した先にどんな未来が待っているのか楽しみにしています。」
いよいよ11月7日が迫り、世界は井上尚弥VSノニト・ドネアに注目が集まる、のではなくカネロVSコバレフ一色に包まれています。普通にカネロ有利と言われていることに違和感を覚えますが様々な思惑があります。
それはさておき、個人的に井上VSロドリゲスの時ほどドキドキしてないのは、このアンケート結果故でしょう。
今回はロドリゲスほど未知数な相手ではないので、あーだ、こーだ、技術論を語りたい心境ではありません。10分という公開練習の井上の動きを見ただけで充分です。今の状態を試合当日に持ち込めれば不安はありません。バンタム級のファイターとおもえぬ迫力と緻密さ。
この映像見てなかったのですがミット打ちだけでもかなり進化してませんか?
— アミアコーン (@May070809) October 29, 2019
僕の知ってるモンスターより強くなってるんですけど?? pic.twitter.com/vJWHJTFmtC
そして、ノニト・ドネア、この人の言葉を聞くと、そうそう、その通りと何も付け足すことがないくらいしっかりしています。
井上尚弥は、キャリア豊富なノニト・ドネアに対し、KOは狙わない、12回完璧に戦って判定勝利を目指していると語った。
ドネア
「私が並外れたパワーの持ち主であることを彼は知っている。だから彼は選択肢を考え直している。井上は何年も私を偶像化してきた。私に出来ることの多くをすでにやってのけると人々は言う。」井上にとって「フィリピンの閃光」は憧れの存在だった。直接技を伝授してもらったこともあれば、過去の試合からドネアの多くの動き、技術を学び盗んできた。ドネアと対峙するシーンもイメージ出来ていると語った。
井上
「もちろん、いつもと違うことをやってくる想定もしている。どのように来ても対応できる準備をしている。」12ラウンドまでもつれ込むことも想定している井上に対し、ドネアはこの考えを真っ向から否定した。
ドネア
「もし彼が足を使うボクシングをするつもりなら、それは井上ではない。攻撃こそ彼の長所だ。彼は攻撃的で全力を尽くす。ボディーを狙い、多くのパンチを繰り出す。素晴らしいパワー、武器を持っている。ファイターは変わらない。彼はこれまでの方法で戦うんだ。井上の攻撃的なファイトを予想している。それが彼のスタイルだからね。」
ドネアの言う通りだ。付け足す言葉もない。
ピークを過ぎた、スピードや反応に陰りがみえると言われ、予想不利なドネアはこう言って井上に積極的に攻めてきて欲しいのだ。そこに合わせるカウンター、戦術を徹底して磨いているとおもわれる。
ギジェルモ・リゴンドーに技術、スピード負けしたドネアはああいうファイトが最も嫌なのだ。
これを読めばよく分かる。
打ち合いで打ち負かされたウォータース戦を心から楽しみ、潔いほど認めても、距離の達人リゴンドー戦は気にくわない。そんな印象だ。
大橋会長
「完璧に仕上がった。あとはコンディションだけ、自分が王者だった時、リカルド・ロペス戦の公開練習で(誰かに風邪をうつされて)コンディションを崩し、散々な目にあったから、10分という短い公開練習で申し訳ない。万全を期す必要がある。若さとスピード、これだけはもう覆せないほどの差だとおもう。」
恐らく井上尚弥はリゴンドーがやったように、足とスピードだけでもドネアを完封できるだろう。その方が安全確実に勝てるだろう。しかしドネアはそれを最も望んでいないし世界中のファンも望まない。井上自身がリングで何を感じどうアクションするかだ。
井上陣営、大橋会長の信じるものは結局、尚弥も拓真も
若さとスピード
なんだろう。
特にウバーリに対してはそれくらいしか根拠がない。
誰もウバーリの弱点、欠点についての指摘がない。
私もない。
どこにも欠点がないように見えても、勢いが違えば井上VSロドリゲスのような結果が出る。尚哉にも拓真にもそういう結果が出ると言っているような気がする。