階級別 スーパーフライ

人生のトライアングル/ローマン・ゴンザレスとシーサケット・ソー・ルンビサイとファン・フランシスコ・エストラーダ

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この3人をみているだけで人生模様、映画のごとき充実。
彼らの再びの邂逅はあるのだろうか。

ローマン(チョコラティート)ゴンザレスは過去から学ぶ能力のおかげで、リングの時間を巻き戻すことに成功した。

4階級王者で元P4Pナンバーワンのゴンザレスは、今年2月に無敗の王者、カリ・ヤファイを9ラウンドでノックアウトし、2度目のスーパーフライ級王座を獲得した。スーパーフライで最初の王座を防衛できなかったゴンザレスにとって、3年以上ぶりの王座返り咲きとなった。

2017年の初防衛戦では、タイのシーサケット・ソー・ルンビサイに判定負け、ベルト、無敗記録、P4Pナンバーワンの神話を全て失った。それはゴンザレスにとって永遠に忘れられない、シーサケットとの2連戦の始まりでもあった。

ゴンザレス
「ソー・ルンビサイとの最初の戦いは、非情に素晴らしい爆発的な試合でした。ナイスファイト、血しぶきが飛び散る熱い戦いでした。ソー・ルンビサイは打たれ強く、非常にアグレッシブなファイターです。本当に打たれ強いタフな男でした。」

2017年9月の再戦、ゴンザレスは4回ノックアウトで一方的に敗れ、両者のコントラストはより一層際立ったものとなった。

ゴンザレス
「2戦目はみなさんご存じのようにノックアウトされました。でも、ソー・ルンビサイと2度もリングをシェアできたことを誇りにおもいます。彼は偉大なファイター、偉大なチャンピオンです。彼が再びチャンピオンになるのがみたい。彼は私や、(エル・ギャロ)エストラーダなどベストと戦うことで何度もそれを証明してきた。彼がエリートファイターであることは証明されている。彼の再びの成功を心から願っています。」

最強王者のローマン・ゴンザレスを倒した後のソー・ルンビサイの次の仕事は、スーパーフライ級最強の道だった。2018年2月にファン・フランシスコ・エストラーダに12回判定勝ちを収め、その後も2連勝、しかし2019年4月のエストラーダとの再戦でリベンジを許した。

その後、試合から遠ざかったソー・ルンビサイはコロナウィルスの影響もあって、タイの同胞、元フライ級世界王者のアムナット・ルエンロンとの試合が延期になっている。その試合をクリアしたら、ゴンザレスはソー・ルンビサイとの再戦を心待ちにしている。もちろん2012年、ライトフライ級の試合で退けたエストラーダとの再戦も歓迎だ。

今後の展開がどうあれ、ローマン(チョコラティート)ゴンザレスには、決して忘れることのできない過去の記憶が残っている。

ゴンザレス
「永遠に忘れることのできない試合がありました。これらの試合は私にとって一生の思い出です。」

やはりロマゴンは謙虚だなぁ。

SuperFlyシリーズがあって、井上や井岡も絡んだり、アンカハスなどの実力者も侮れないが、主役はやはりロマゴン、シーサケット、エストラーダの3人だろう。彼らライバル関係のファイトは濃密かつ、我々素人の予想通りの展開ともいえるものだった。

ロマゴンVSエストラーダ

時は2012年、両者はライトフライ級だった。この頃のロマゴンは向かうところ敵なしの突き抜けたスペシャルな王者だった。体格、体力の不利もなく若いロマゴンの全盛期にもっとも食い下がったゾンビのような男がエストラーダだった。負けて強し、ロマゴンの相手では最強、きっと世界王者になるだろうとおもったら、やはりエストラーダはフライ級で時代を築く王者に成長した。充実度、完成度、攻撃持続性、わずかにロマゴンの時代だった。

ロマゴンVSシーサケット


ミニマムから4階級目、常に最強の相手全てと戦い続けてきたロマゴンが、回避もできたであろうに当たり前のように引き受けた相手がタイの元雑草王者だった。このあたりからロマゴンの体格、パワーに限界を感じるようになってきたマニアにとって、シーサケットはオッズ以上に危険な相手とおもわれた。馬力、パワー、ダーティーなスタイルで異様に高いKO率を誇るシーサケットは、フィジカルが限界なロマゴンには天敵タイプだった。それでも初戦はロマゴンがボロボロに傷つきながらもキャリアでなんとか振り切ったような内容といえたが、ジャッジに与えるインパクトはシーサケットの重厚なパワー(初回の不運なダウンが響いた)。再戦で勢いとパワー差をつきつけられた。これでロマゴンの時代は終わり、壊されたかのようにみえた。

シーサケットVSエストラーダ

初戦はシーサケットのパワーを警戒するエストラーダのエンジンのかかりが遅く、パワーに押されそのまま12ラウンドを終えたような内容でシーサケット時代が継続されたが、再戦ではエストラーダが有利とマニアは言っていた。それを予感させる初戦の終盤だった。エストラーダにとって怖いのは重戦車のごときシーサケットのサウスポーからのプレスだが、どうしたことか再戦でシーサケットはオーソドックスにこだわり、いつもの破壊力、圧力が陰り、エストラーダにコントロールされた。後半少しだけサウスポーに戻すとエストラーダもやりにくそうだったが、大いなる作戦ミスだ。

そして今、日本の井岡一翔や田中恒成もこの階級に進出してきたが、この3人とは共有してきたストーリーが異なる。

今となっては両者に負けた過去があるエストラーダが一番若く、一番充実している。元々ゾンビのような体力と精神力に、負けないスキル、老獪さも加わり、ファン・マヌエル・マルケスのようなインテリジェンス溢れるファイターに変貌した。

かつてのキング、ロマゴンはやはりロマゴンであり、カリ・ヤファイとは役者が違ったが、相打ちスタイルと年齢、この階級は厳しいとおもわれる。

そして私が一番夢をみたシーサケットはわからない。タイ人は一度頂点を極めると落ちていく大多数と努力を継続する少数がいる。極めた頂が高すぎ、栄光が甘すぎただけに、継続は厳しいかもしれない。サウスポーの超スラッガースタイルだけが強みなのに、本人も陣営も間違えた。

40歳になるアムナット・ルエンロンが本気に仕上げたら判定負けする危うさすらある。しかし3人の中では圧倒的に不器用だけどタフでパワフル、全てを破壊する野性の力を宿している。

この3人をみているだけで人生模様、映画のごとき充実。
彼らの再びの邂逅はあるのだろうか。

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プクー

プクー

原始的で単純明快なスポーツです。生涯一度の敗北、無敗で引退したボクサーもいます。負けても次頑張りますというスポーツとは違う残酷さ、無常さが好きです。

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