あれじゃ辞められないという気持ちは同感だし、減量、サイズ的にはいい決意、再起だとおもう。しかし岩佐に足りないのはそれ以外の何かだ。
言葉だけ読むと納得だし、今までも納得させられてきたが、敵地であの展開はほぼ負けである。後半勝負?いいわけ、あとの祭りにも聞こえる。アフマダリエフは元々、序盤からガンガンと威圧していくスラッガーだ。アフマダリエフを勝たせたい地元のムード、世界のムードからすれば、危ないシーンをみせれば止められる、消化不良、不完全燃焼も想定内だった。
岩佐はキャリアを重ね、海外も多く経験しているが、日本では「イーグルアイ」と呼ばれ、抜群の勘とセンスの持ち主だからか、序盤は様子見、相手に合わせて対応することが多い。しかし、結果的に世界レベルになると、その序盤でペースを持っていかれ、あるいは効いてしまい、中盤、後半から圧倒したり、しっかり差をつけることは出来ていない。シーソーゲームがせいぜいだ。セサール・フアレス戦はファレス支持もいたし、マーロン・タパレス戦はやや結果オーライだったかもしれない。
様子見、相手に合わせるという事は、相手に付き合う、相手の力、持ち味をを存分に発揮させているともいえる。何もさせずに圧倒するスピードも勘も能力も岩佐には備わっているはずだ。
序盤から支配的、圧倒的な岩佐というのはあまり記憶にない。
小國以載戦くらいかな。あの試合でさえ、2回でフィニッシュできそうなところを、慎重になり小國の捨て身の抵抗を浴びた。
TJドヘニーにもやり方次第で圧倒的に勝てていただろう。
一発食えばやばいのに、岩佐は試合を長引かせる、引く、見すぎるクセがある。
フェザー級は岩佐くらいの体格でも普通だから、通用しない、厳しい最後の選択だとおもうが、減量から解放されてナチュラルなフィジカルが生かせるならば希望はなくはない。
アフマダリエフ戦の岩佐は、サムライのようないで立ちで、ムードはあったが、結果はついてこなかった。
岩佐
「ボクシング人生が終わりに向かっているのは確か。だったら伸び伸びやった方がいいし、違うパフォーマンスを見せられるんじゃないかと思った。やるからには世界王者を目指す。でも、これは自分が納得できる終わり方を探す旅。死に場所を探す旅です」
そんなかっこいいセリフはいらない。
とにかく自分のボクシングを思う存分発揮して、力を出し尽くした果てに負けるのであればそれでいいじゃないか。
様子見して、消化不良で不完全燃焼な試合を繰り返し、力を出し切ったとは言えない結果が続くのであれば、ファイトスタイルを見直してみるべきだ。
もう、セレスジムでも日本でもベテラン、先輩格だから、後輩を傷つけず、胸を貸すようなスタイルが身に染みているのかもしれないが、がむしゃらに相手を殴り倒すような若いころの血気盛んな気持ちを今一度取り戻して欲しい。山中を切り落とすほどの才能を感じたあの頃のように。
ああいう負け方ならば悔いはない。
アフマダリエフが強すぎたというなら仕方がない。しかし想定の域を出ない。ダニエル・ローマンと大差ない、突き抜けた王者では決してない。