人間だもの/エマニュエル・ロドリゲス解体新書その2

こんなブログをやっておきながら、すげぇなぁ、強いなぁだけで、じっくり選手を映像で検証、確認することなどあまりないのですが、この選手は別です。ナチュラルとはおもえぬフィジカルを身に着けたルイス・ネリを別にすれば、ノルディン・ウバーリだって穴の少ないいい王者だと感じます。

5月18日の決戦に備え、改めてロドリゲスのボクシングを解体してみる。
もう一回見直しただけですが・・・

朝4:30分とかですぜ、テイラーの前座だから余計に・・・

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エマニュエル・ロドリゲス

ユースオリンピック金メダル
ユース世界選手銀メダル

19勝12KO

アマチュア時はフライ級で、日本人と絡みのあるアンヘル・アコスタや田中の指名挑戦者といわれるジョナサン・ゴンザレスらに勝って国を代表するアマチュアだったが、事故で全身火傷し、復活するも25日に江藤と対戦する当時17歳のジェイビエール・シントロンに敗れ(10-3)五輪の夢を捨てプロになった。

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こういうKO集をみていると本当に文句なく上手い、強い。
相手とはスキル、反応速度が違うので自分から攻めて相手に手を出させ、カウンターや打ち終わりに的確に返していく。これが勝ちパターンかのように反復、訓練されている。上体を左に振ってパンチをはずしそのまま左ボディやアッパーからのカウンターというのが多く、右はショートストレートが多い。相手に打たせて的確に打ち返すカウンタースタイル。決して大振りしない。

見事なスキルと倒しっぷりだが、力量差がある相手を倒す過程はコピーのようにパターン化されている。

世界獲得となったポール・バトラー戦もその延長で、初回からパンチのボリュームとプレス、精度の高い返しのパンチでバトラーを圧倒し、2度のダウンを奪うも判定まで粘られた。拳の負傷があったというが、バトラーがロドリゲスの攻撃パターンに慣れたともいえる。慣れたけれど対処だけで精一杯。リズム、テンポについていけない。普通の王座獲得とは違い圧勝、別格、強い王者の誕生の瞬間だ。

そして、ジェイソン・モロニー戦

ロドリゲス曰く、自信過剰でモロニーを甘く見ており、たいした研究も準備もしてこなかったのが苦戦の原因と言っているが、ここでもロドリゲスのスタイルは全く同じ、下がらず前に出ながらモロニーの動きに合わせてパンチを返していくショートカウンタースタイル。後出しジャンケン的ながら返すパンチの精度とボリュームで倍返ししていくようなファイトだ。

格下を圧倒していたのと同じスタイルで、かなり熟練されているが、同じように圧倒できなかったのはモロニーの強さ、芯を外すディフェンス故だろうか?このレベルになるとカウンターがドンピシャ当たらぬ限りは倒せない。7つKOを逃しているようにダイジェストでは伝わらない、一発強打のタイプではないというのがみてとれる。そもそも大振りしないし力みもない。ショートカウンターをドンピシャで合わせてはじめて倒すファイターなのだろう。

個人的にはこの試合を観ても、モロニーがそこまでいい選手には見えない。
準備、コンディション、気合が相当だったのだろうとしか言えない。

ダイジェストでは100点に見えるロドリゲスのボクシングだが、スタイルがクセのように染みついており、井上尚弥に対してもこのスタイルを昇華させた状態、最高にキレキレでコンディションのいい状態で来るのがせいぜいだろう。少し慎重、手数少な目、ガード固めてバックステップ多めかもしれないが、大胆にスタイルが変わることはないだろう。つまり相打ち、井上が打ったら必ず打ち返してくる。ジャブがストレートのように強いという井上に対し、易々と打ち返せるのだろうか。

ドニー・ニエテスVS井岡一翔

のような一進一退のしびれる技術戦になるのではないか・・・
均衡を破る、最初のビッグショットはどちらの手に・・・

この試合と違うのは、スキルや精度はお互い高くとも、井上には一撃の破壊力、突破力、爆発力があるので、均衡が破れる、相手を効かす時が訪れるという事だ。この大会で優勝したらバンタム級でやり残したことはないとスーパーバンタムを視野に入れるロドリゲスだが、細身で肩幅も狭く、どうみてもフィジカル、パワー型のタイプではない。井上尚弥のボディ、左フックが捉えた時の耐久力は疑問符がつく。

この試合に備え、キューバや米国とかなり気合の入った準備をしているロドリゲスに対し、井上は熱海とかグアムに3日とかスケールでは大きく劣るが、東京五輪で金メダルを期待される堤(日本人で一番反応がいいと言っていた)とかKJカタラハを何度も呼んで調整している。このKJカタラハがよほどロドリゲス対策に好都合ないいパートナーといえそうだ。

練習、パートナーの質という点でロドリゲスに劣るものではなさそうだ。

一度英国を経験したロドリゲスに対し、はじめてのスコットランド、とにかく最高のコンディションで臨み、海外で浮足立つこともなく、集中して試合が出来れば井上の勝利を予想する。とにかくロドリゲスのショートカウンターを先に食わぬことだけだ。必ず相打ち、打ち終わりにコンビネーションを返してくるので、その対処力が鍵となろう。

拮抗した試合になろうとも、圧倒的な試合になろうとも、事故的な被弾以外井上が負ける要素はないと信じる。

どんな試合になってもこのエマニュエル・ロドリゲスというのは最上級の完成度を誇る相手だ。派手なKOで決勝に進んだドネアより経験もパワーも劣るけど、やっぱり反応が違う。まともに打たれない。攻防が淀みなく今が旬のバンタム級、しかし怪物的なスケールを持つ男ではない。

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コメント一覧
  1. ロドリゲス戦に向けてカタラハをスパーリングパートナーとして招聘した井上陣営ですが、カタラハについて調べているうちに面白い選手を見つけたので紹介させてください。
    Jade Bornea 14-0 まだ23歳と若く、プロの試合では所々に甘さが見えますが、アマキャリアは豊富でアマ時代にはカタラハ、アフマダリエフ、田中恒成に勝利しています。本職はオーソドックスですが、サウスポースタイルも得意でパンチの貫通力があって見ていて面白い選手です。これからアジアのバンタム級路線にカタラハと一緒に食い込んでくる選手だと思います。井上尚弥より、弟の拓真との対戦が将来的にはありそうな気がします。チーム井上にはこれからカタラハと一緒に彼なんかもスパーリングに呼んでほしいと思いますね。センスを感じる選手です。

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  2. >私の英語力など小学生並なので聞き取りはさっぱりです

    とんでもないですw 訳せておられるじゃないですか!私なんか呪文にしか聞こえません><
    早速ご連絡頂き有難うございましたm(__)m なるほど、内容はよくある内容でしたね。。でもやはり上のクラスの選手にもパワフルだと言わせる所は流石井上選手ですね。ウッドは井上が勝つと確信していると書いていたようです。突然の依頼に快く答えていただき感謝しておりますm(__)m 

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  3. 私の英語力など小学生並なので聞き取りはさっぱりです。
    大したことは言ってないとおもわれます。

    「イギリスのスタイル、マクドネルに似た体型だからフェザー級の俺が呼ばれたんだ。井上はアメージングなファイターで有益で貴重な経験になった。井上はとてもパワフルでバンタムだけどフェザーでも通用する。」

    みたいに聞こえます。

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  4. プクーこんにちは!いつも拝見させて頂いております。
    突然で申し訳ないのですが、マクドネル戦前にイギリスから来たスパーリングパートナーが2人いましたよね?そのうちの一人と思われる選手が井上選手とのスパーについて何やら動画で話している様なのですが、この動画字幕が効かない設定になっており、内容がサッパリわかりません。もしお時間が許すのであれば訳をお願いできないかと思いご連絡差し上げました。勿論、不躾なお願いですので無視してもらっても構いません。
    その動画です↓
    「Leigh Wood on Ryan Doyle homecoming, Carl Froch influence & Inoue spar」
    https://www.youtube.com/watch?v=3W72qk7fYWA&feature=youtu.be

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  5. まあ、ロドが判定逃げ切りという可能性はなくはないと思いますが。というか井上に勝つにはそれしかない。井上と打ち合ってカウンターを決めるというのは至難の業でしょうし、おそらくパンチが怖くて中々接近できないと思います。ただ井上なら捕まえることが出来ると思いますけどね。なぜならロドリゲスは打ち合ってカウンターを決めるというのが今までの戦い方で、体格的にも井上とほぼ同じ。テテみたいに遠距離からジャブ当て逃げなんてできないでしょうし。とにかく楽しみで仕方ないですねえ。久々に緊張感マックスの試合が見られそうです

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  6. 以前予想したときと変わらず、井上の小差判定負け。序盤にフラッシュダウンを奪われ、盛り返すも最後までマラソンするロドリゲスを捕まえられず、と予想。

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  7. 共感して頂けて嬉しいです‼
    拳論という媒体で同じ想像した人いたんですね。それも嬉しい(笑)

    結果も同じになるといいなぁ♪
    井上尚弥の1RKOで‼

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  8. スピンクス懐かしいですね。
    コンパクトな連打にカウンター、アッパー系のパンチ多用することろなんか似ています。
    肩幅があまりない所も 笑 
    タイソンvsスピンクス戦。拳論にも書いてる人いたけど確かに想像出来る内容です。
    ロッドの様に頻繁にカウンター合わせに行ってますがパワー負け?して後退してますね。
    歴史は繰り返す!?英専門誌にミニタイソンと評された井上がそのグラスゴーでどこまでやるか楽しみです。

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  9. ぜひ、micheal spinksの highlights映像を観て下さい。ロドリゲス似てますよね?笑 その後、tyson戦。

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  10. まぁ余談ですけど、伊藤との対談で田口戦の前ゲーしてご飯食べれなかったらしいですね。体調悪くても怪我してても勝っちゃうんだからホント凄い人だなと。

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  11. ロドリゲス・井上・ドネアと3人ともカウンター使いですが、カウンターの種類が違いますよね
    ロドリゲスは避けてから放つカウンター。井上は避けながら放つカウンター。ドネアはパンチを貰ってからの(貰いながらの)カウンター

    ロドリゲスはもともと手打ち+常時カウンター狙い+避けてからなので、対戦選手はカウンターがくることを予測もできるし、威力はそれほどでもない。

    井上は避けながらなので、さすがにいつもの強打ってわけにもいかない。なのでカウンターだけど威力が半減。でも予測不可能。

    ドネアは対戦選手がパンチを当てて、よっしゃ~!と気が緩んだとこでのカウンターで、威力は相当。

    どのカウンターパンチが炸裂して優勝を掻っ攫うのかは分からんけど、ワクワクします

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  12. ロドリゲスさん、コンパクトに強くてどうやったら勝てるんだろうって思う。
    尚弥さんは口は謙虚だけどリング上がると結構傲慢なので怖さを感じます。
    でも1番の懸念材料はスコットランドのレフリー。
    賭けのある国なので怖いです。

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    • ロドリゲスについて研究すればするほど、井上尚弥って凄いなぁって、これに圧勝しちゃうんだろうな、て思います。
      ロドリゲスは素晴らしいチャンピオン。スリップしてからのコンビネーションが速く正確です。五輪でも金メダル取れるレベル。
      ただ、パワーと機動力がモンスター退治には足りないすね。
      クロフォードvsガンボアが頭に浮かびましたが、井上尚弥がそれ以上に圧勝する気がする。
      そうだ、タイソンvsマイケルスピンクスだ。マイケルスピンクスは、五輪金で、プロ31戦無敗のチャンピオンだった。。。が、タイソンが1ラウンドKO勝ち。
      井上尚弥が早いラウンドでKOすると思う。

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  13. >ロドリゲスもその全員に勝つでしょう。
    ただ勝ち方は違うでしょうね。そのメンツだど殆どKO出来ない気がします。少し前のですが山中がKOしたアルベルトゲバラ戦ではメイウェザーが見てる中いいパンチは当ててましたがどうにも倒せそうもありませんでした。後半ゲバラ目を切ってたんでロドリゲスの頭注意ですね。それにしてもバトラー戦ってもいないのに井上だろうって 笑

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  14. ロドリゲスもその全員に勝つでしょう。井上と対峙しそのスピードやフェイント、パワーを目の当たりにしてどうなるかですね。完敗のバトラーでさえ、井上だろうと言ってました。

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  15. まあ対戦相手の質ですよね。弱い相手にカウンターがバシバシ決まってもねえ・・・ロドが今までに対戦した世界チャンプ経験者はポール・バトラーだけです。一方の井上は田口、エルナンデス、ナルバエス、河野、マクドネル、パヤノ・・・なんと6人もの世界チャンプ経験者と対戦してるわけです。しかも田口を除けば全てKOで圧勝しています。こんな選手って他にいましたかね?個人的にロドにも圧勝に近い勝ち方になると思います

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