リングの知性/井上尚弥VSノニト・ドネア

KOを狙わず判定で勝つというイメージがあります。ドネアは最高のボクシングIQを備えた偉大なボクサーでノックアウトは難しいです。彼を打ち負かすためには私も持てるリングIQを駆使せねばなりません。

https://www.youtube.com/watch?v=ilpY0hd4Ghs

横浜の大橋ジムでセンセーショナルな日本の世界王者、井上尚弥(18勝16KO)の公開トレーニングがあった。11月7日のWBSS決勝、WBAスーパー王者ノニト・ドネア(40勝26KO5敗)との戦いの準備をしている。同日にはWBCバンタム級王者、ノルディン・ウバーリVS井上拓真の試合も組まれている。拓真は尚弥の弟だ。

井上はフィリピンのトップクラスのボクサー、アルバート・パガラ(32勝23KO1敗)とジェネシス・セルバニア(33勝16KO2敗)とスパーリングしている。

井上
「より慎重に満足いく方法でトレーニングしています。減量はスムーズです。体調の浮き沈みもありません。これから合理的な方法で減量していきます。」

井上はノックアウトアーティストとして知られているが、ドネアに対してノックアウトを狙っていくつもりはない。

井上
「ドネアとの試合ではノックアウトを狙いにいきません。スマートにボクシングを行い判定勝利を目指しています。12ラウンド、全てのラウンドを獲りに行くつもりです。KOを狙わず判定で勝つというイメージがあります。ドネアは最高のボクシングIQを備えた偉大なボクサーでノックアウトは難しいです。彼を打ち負かすためには私も持てるリングIQを駆使せねばなりません。

しかし、敢えてKOは狙わずとも、ドネアをノックアウトするパンチを当てることに全力を注ぎます。」

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あくまでドネアに敬意を表した社交辞令と受け取っておこう。
マクドネル戦、ロドリゲス戦は試合前の怒りもあり、密かにノックアウトを狙っていたようだが、パヤノ戦は流れの中の最初の一撃だった。パヤノの距離やクセを見極めた上での結果だった。

ドネア戦は怒りのムードにはならないだろう。

個人的にはボクサーのピークというのは永遠ではないから、絶好調の時はそのボクシングを信じて勢いに任せた方がいいという持論だ。

試合が長引くと様々なアクシデントが起こりえる。
井上の試合では結果的にパヤノやロドリゲスといった強敵よりも、試合中に怪我をしたタイ人やカルモナ、足をつったアドリアン・エルナンデス戦の方が苦労した。ドネアがこうして決勝に進出したのも、特に初戦、ライアン・バーネットの故障が大きい。あの試合は趨勢がまだみえなかった。

相手が100戦練磨の伝説ノニト・ドネアだから、リスクをかけて強引に行くよりも、専守防衛、打たれない丁寧な試合をしようという意図だとおもうが、一瞬の隙をみつけたら一気に攻め落とした方がいいという考えは変わらない。

そういう瞬間の見極めや速さが彼らの年齢差だ。

ノニト・ドネアも決して玉砕的なファイトはしてこないだろう。井上が出てくるところに罠をはってカウンターを狙ってくる。経験に裏打ちされた慎重なファイトをしてくるに違いない。ドネアが言う井上の弱点とは、駆け引き、あるいは超攻撃的な時の隙、これしかないはずだ。

長引かない方がいいという考えは変わらない。

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コメント一覧
  1. 井上のジャブとドネアの経験値
    これが勝敗を分けると思う。
    ドネアが井上に勝つには左フックを当てるしかない。
    仮に判定だったとしてもダウンを取らない限り、今の井上相手にドネアが12Rを通して押し込む事は出来ないだろう。
    左フックを当てられるのは、井上が右ガードを下げるワンツーの間のジャブを避けるor相打ちのタイミングしかない。
    井上の右はフック系よりストレート系が多く無駄撃ちが少ないので左フックを合わせるのは困難。
    それに井上の右ストレートに相打ちは狙いは余りに危険で無謀。
    つまりドネアが勝つには、早い段階で井上のジャブを攻略する事が必須。
    個人的には、井上の質の高いジャブを老いたドネアが見切る事は不可能に近いと思う。
    恐らく3RTKOで井上尚弥の勝利だろうね。

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  2. 井上の良さは、中間距離から鋭い踏み込みのパンチと思ってます。
    ドネアはそれに気づいていて、パンチの活きない接近戦で勝負してくる気がします。
    それをさせないのが、井上のジャブではありますが。
    それも井上は想定していると思うので、やはり井上が中盤までにKOで勝つ気がします。
    鍵は、ジャブとボディブロー。

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  3. マイテイさんの倒し勘の表現は秀逸ですね!感銘をしました。それと、富士山さんの三次元の表現も言いえて妙です。井上チャンプはパンチの間合いを計るのが優秀で、刹那のスピードは類を見ませんから、正直言ってドネアがリングに沈むシーンしか浮かびません。

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  4. ワイルダーの当て勘は凄いですよね、と言うか、当たるまで頑張るみたいな。

    井上は当て勘を超えた“倒し勘”の領域に踏み込んでると思います。

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  5. 自分が井上尚なら、フックの当たらない距離、ストレート系でまとめる展開で挑みます。
    スピードで勝るなら間違いなく先に当たる。
    井上尚のパンチなら、相手は頭をのけ反らせるハズで、相打ち狙いの反撃も軌道がズレて貰わない。
    位置取りも、ドネアから右手寄りで上下の角度も使えば。
    マイケル・ダスマリナリスとスパーしたのは拓真だけなのかな…

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  6. 井上尚弥が序盤にKO勝ちすると思います。

    井上尚弥は上手くいえないけど、パンチを強振して、空間の点に命中させる能力が高いと思います。三次元で戦ってるというのかな。
    井上尚弥の次にそれを感じるのはクロフォード。ほかには、ワイルダーもしっかり強振して、それを当てていますね。特にクロスは、誘導弾みたいに相手の避けた点に命中させている。
    先日のベテルビウスは本当にパンチの重さ、パワーでしたけど、井上尚弥はそれとは異質のパンチャーですね。しっかり強振してスピードを伴った拳を急所に命中させている。

    そのパンチが3Rくらいまでには命中すると思います。バンタム級の選手には耐えられない強さ。ドネアでも耐えられないと思います。

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  7. ロンドン五輪代表の須佐が木村悠の記事で
    井上は後半打ち疲れたときくらいしかパンチをもらわない
    と言っていましたが、逆に言えば後半打ち疲れればパンチをもらうと言うこと。
    今のドネアでは判定勝ちは不可能、序盤に井上にパンチを当てるのもほぼ無理。
    となるとドネアが勝つにはここに必殺の左フックを叩き込む以外ないでしょう。

    攻勢をかけて万が一ドネアを沈め切れなかった場合その唯一のチャンスを生み出すことになるので、12R全てで隙を作らないようにするのは理にかなってると思います。

    そもそもドネアをあっさりKO出来るもんなんでしょうか。
    ウォータースすら6Rかかりました。
    天笠をボロボロにしたリゴンドーにいいように殴られましたが、それでもピンピンしてました。
    ビラヌエバ戦でコロコロしてるネリよりよっぽど頑健なような……

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  8. ドネアの体格を侮る訳ではないですけど、本来ウェルター級ぐらいの体格だったマクドネルが
    左フック一発で効いてしまったのを見て、もうこの階級で井上のパンチがまともに当たって倒れない人間はいないだろうなと確信してます。

    この試合の鍵は私も「当てることよりもらわないことに集中」だと思うので案外ロドリゲス戦よりもチェスゲームになる可能性があるのかなと。
    そこの引き出し・駆け引きの多さだけが今のドネアが井上に確実に優れてる部分だと思うので、そのドネアに競り勝ってしまうか、いつも通り豪打爆発で倒してしまうようなことになればもう簡単に語れないレベルになっちゃうと思います。

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  9. ペッチバンボーン戦は試合中というより、そもそも試合前から腰を痛めていて、大橋会長はマジに試合中止を考えたほどだったそうですね。トレーナーの真吾氏には井上は伝えておらず、試合後、一悶着ありました。

    試合が始まって、1Rで自分は「あ、違う」と感じたのですが、解説の川島氏や村田がなぜ言及しないのか不思議でした。ハンドスピードだけ出し、体の表面をバチンと叩くようなパンチで、『ハンマーのような』と形容される井上の本来のパンチではないと感じました。

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  10. youtubeにフィリピン人の動画がかなりアップされてるけど、カタログ語なのが残念。
    フィリピン人から見たドネアvs井上で、彼らがどんな展開になると予想しているのかが気になります。

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