4度目の正直/中谷潤人VSジエメル・マグラモ

目の前の敵は強いが、フリオ・セサール・マルチネスより強いってことはないだろう。今はまだ。そういうライバルがいることを好機と捉え、さらに前進して欲しい。(どちらも)

https://www.youtube.com/watch?v=Yit-v8k_8gY

ジエメル・マグラモ(24勝20KO1敗)よりも宙に浮いたなファイターはそう多くはないだろう。

フィリピンのフライ級コンテンダーは、日本の田中恒成が返上したWBOタイトルを争う予定だったが、コロナウィルスのパンデミックにより、4月と6月に2回も試合が延期された。最終的には7月4日に東京後楽園ホールでの世界決定戦が日本の帝拳プロモーションによりセットされた。

ランキング1位のマグラモは、マニラ等、首都圏が厳しい規制を受けている最中、パラナーク市スカットにあるエロルデ・ボクシングジムでトレーニングを続けてきた。調子自体はいいが、試合の日程が決まらないため、スパーリング等はしていない。しかしそろそろ、フィリピンの伝説、ガブリエル「フラッシュ」エロルデの息子、ジョニー・エロルデの選手らとスパーリングを開始する予定だ。

マグラモ
「今の状況を理解している。みんなの安全のためにも、私自身のためにも。トレーニング時間は長いからね。」

関係者によると、契約は成立したものの、問題は山積みだという。ビザ申請を取り扱う在フィリピンの日本大使館は未だ閉鎖されており、6月1日に再開予定だ。通常であれば3,4日でビザが発給されるが、通常通りにはいかない。果たして無事に東京に行けるだろうか。

ライザ・エロルデ(プロモーター)
「飛行機は予約できるそうですが、その日に出発できるかわかりません。到着後に強制的な検疫を受けねばならないのかもしれません。様々な問題の承認が必要でまだクリアになっていません。」

5月15日に発表されたJBC(日本ボクシングコミッション)の活動再開のためのガイドラインに沿って行われる必要がある。(選手やレフリー以外のグローブ、マスクの着用、体温検査、1時間ごとの休憩、換気、両サイドを空席になど・・・)

これらの条件をクリアしてはじめて、マグラモは自分より3歳年下の22歳で、昨年10月にミラン・メリンドを下した長身の日本人、中谷潤人(20勝15KO)とタイトルを争うことができる。

かつて、マニー・パッキャオの対戦相手だった、メルビン・マグラモの息子であり、元世界挑戦者ロニー・マグラモの甥であるジエメルは、2016年にムハマド・ワシームに初黒星を喫して以来7連勝中だ。

勝てば、パッキャオ、カシメロ、アンカハス、タドゥラン、に次ぐ、フィリピンで5人目の現役世界王者になる。

ジョニー・エロルデ
「マグラモにとって大きなチャンスですから、ハードなトレーニングと良いゲームプランを持って臨まねばならない。スタミナとパンチの強化が必要です。」

追記

3回目の延長となり、試合は8月1日にセットされた。場所は後楽園ホールを予定している。テレビ放映だけの無観客試合になる予定だ。

当初の予定日である4月4日はマグラモのプロモーター、ライザ・エロルデの誕生日だった。しかし8月1日はライザの夫、ジョニー・エロルデの誕生日だ、この偶然が幸運をもたらすことを期待している。

8月でも無観客かぁ。
そして、この試合がパンデミック後初の日本人の世界挑戦(王座決定戦)になるのかもしれない。

両者をそんなに知らないが、中谷潤人(20勝15KO)は今日本で一番世界に近いプロスペクトといえる。170センチを超えるサウスポーの技巧派で離れても近づいても安定感がある。高校に行かずにボクシングにのめりこみ、アメリカではダニー・ローマンなど様々な選手とスパーリングしてきた。阿久井誠吾を圧倒した実力は想像以上で本物だろう、線の細さが気になるが、そんな心配をよそに未だ苦戦らしきものもなく20戦無敗まで来ている。

若さ、体格、ホーム、様々な点で戴冠の期待が高い、若干有利なのではないか。しかし直近のミラン・メリンド戦は圧勝ではあったものの、メリンドが昔のコンディションから程遠いものだった。勝てる相手が多く、バリバリのサバイバルをクリアしてきたとは言い難い。

対するマグラモはボクシング一家。唯一の黒星、ムハマド・ワシーム戦はスプリットかマジョリティの接戦であり、ワシームは既に世界王者と変わらぬ実力者なので、マグラモの実力もまた間違いのないところだ。ワシーム戦後の対戦者の質が高く、戦績の中身やキャリアではマグラモに軍配が上がる。

映像をみたところ、マグラモは強いが少々愚直だ。直線的に距離を詰めてコンビネーション、意外性ややりにくさは一切ない。精度、クオリティが高いのだろう。拳四朗等、様々な日本人ともスパーリングをしているはずだ。

距離と脚のある中谷が有利だとはおもうが、中谷もここまで旬な強豪とはやったことがないので蓋を開けてみないとわからない。アーテム・ダラキアンやモルティ・ムザラネがどんなに盤石に勝っても一向に注目されないフライ級の中で、ここを勝ち抜くだけでは真の王者とはいえない。彼ら対抗王者、そして真のライバル、カリスマ性があるWBC王者、フリオ・セサール・マルチネスを破ってこそ一流、本物の王者だ。

そういうライバルがいることを好機と捉え、さらに前進して欲しい。(どちらも)
目の前の敵は強いが、フリオ・セサール・マルチネスより強いってことはないだろう。今はまだ。

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