現在AmazonUKでフルタイムで働きながらボクシングを続けるハリスにとってこの試合は人生を決める運命の瞬間となる。
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2月29日、テキサス州フリスコのザスターフォードセンターで、WBCフライ級タイトルマッチ、フリオ・セサール・マルチネス(15勝12KO1敗)VSジェイ・ハリス(17勝9KO)が行われる。
ハリスは完全なるアンダードッグと考えられているが、やる気に満ちている。
スウォンジー出身の29歳、ジェイ・ハリスはマルチネスに勝つことは世界王者になる以上のことを意味すると言う。現在AmazonUKでフルタイムで働きながらボクシングを続けるハリスにとってこの試合は人生を決める運命の瞬間となる。
ジェイ・ハリス
「仕事を辞めてフルタイムボクサーになってスポンサーを見つけたい。私と家族、人生の全てが変わる。」2019年、フリオ・セサール・マルチネスはかなりのセンセーションを巻き起こした。英国の王者チャーリー・エドワーズをわずか3回ボディで落としたが、ダウン後の加撃によりノーコンテスト扱い、再戦が組まれた。しかしエドワーズは逃げるようにマルチネスを避け階級を上げると宣言。代わりにマルチネスは元王者、クリストファー・ロサレスとの決定戦を9回TKOで制した。「エルレイ」と呼ばれるマルチネスは将来を嘱望される特別なファイターの一人とみなされている。
ハリスはそんなマルチネスが優れた王者であること、パンチが強力なことを認めたうえで、マルチネスのスタイルにいくつかの弱点を見出している。マルチネスは一部の人に「フライ級のロベルト・デュラン」と言われている。
ハリス
「あまり多くを言いたくないけどマルチネスには欠点がある。フットワークはたいして上手くない。あまり動かない。彼とガッツリ打ち合いしたくない。他の相手と自分では違う。アンドリュー・セルビーは5回にボディーショットで捕まるまでマルチネスをコントロールしていました。」WBAスーパーフライ級王者カリ・ヤファイやWBAフライ級王者のアーテム・ダラキアンとスパーリングを重ねてきたハリスは戦う準備が出来ている。この戦いは今までのキャリアと人生における最高のボーナスなのだ。
ハリス
「今年は自分にとって最高の一年になる可能性があります。家族のために戦い、2人の娘にベルトをみせたい。それが私のモチベーションです。」しかし、これはハリスにとって予想不利な過酷な仕事だ。ハリスはこのチャンスをものにして人生の流れを変えることができるだろうか。
ゴングが鳴れば全ては明らかになる。
エマニュエル・ナバレッテに続いて出てきたメキシコの怪物候補、フリオ・セサール・マルチネス、かなり小柄な25歳はいかにも生意気そうなガキの風貌だ。異様にタフで無尽蔵のスタミナと連打で相手を破壊する狂暴なスタイルに並ではない特別な王者の到来を予感させた。
マルチネスがいなければ、比嘉に勝って王者になったクリストファー・ロサレスを下していたアマチュアエリートのアンドリュー・セルビーが王者の指定席に座っていただろう。
パワフルマッチョなファイターの多いエディ・レイノソ門下の特徴そのままのマルチネスは、しかし微量の禁止薬物が検出されたが、牛肉混入といつもの理由で不問となった。
やっぱり、海外ではこういわれているのだ。
「フライ級のロベルト・デュラン」
マルチネスはたしかにヤバい、猛牛のようなファイトをみせるが、かなり小さなボディファイターであり、自身も打たれる、肉を切らせて骨を断つ選手でもある。器用なのか不器用なのか、スイッチヒッターでもあり、左右関係なく手が出るが、ハリスの指摘通り、フットワークが優れているとはいえない。右なのか左なのかあいまいで両足揃えてガードを固め、棒立ちになる時がある。洗練さはない。結局はブロック、プレスで懐に入ってボディというファイターだ。
記事を読むに、ハリスの戦術は脚を使ったヒットアンドウェイだろう。ハイライトをみるとハリスはキビキビした好選手であり、前戦では五輪メダリストのパディ・バーンズをボディでKOしているからパワーレスとも言えない。
しかし17勝9KOの記録からして、どこまでマルチネスの猛牛アタックとタフネスに耐えきれるかが鍵だろう。マルチネスは恐らくダウンしない。闘牛士としてフルラウンドを捌いていくしかない。
メキシコ軽量級には、ウンベルト・ゴンザレスを筆頭に、いつの時代もエルナン・マルケスやジョバンニ・セグラなど、ヤバめな強打者が出て来るが、皆さほど長続きしなかった。タフなファイトがお好き、フィジカルパワーが強いのはわかるが、あまりに打たれすぎ、傷つき、あっという間にピークを過ぎていった印象だ。
フリオ・セサール・マルチネスは彼らを超えられるのだろうか。
あんなに打たれてあんなに頑丈で無尽蔵なのは、ちょっとなぁ・・・
素直になれないよ。