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階級別 ヘビー

ドイツに捧げる勝利/マヌエル・チャーVSアレクサンダー・ウスティノフ

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WBAの悪癖であるスーパーの下のレギュラー王座ですし、マニアなら誰もがジョシュアとワイルダー2トップの階級であると認識している王座ですが、そんな事実を抜きにして賞賛したい試合もまたある。

マヌエル・チャーVSアレクサンダー・ウスティノフ

ともに、トップレベルに敗れているランカー同士ですし、特にチャーはクルーザー級のマイリス・ブリエディスにも失神KO負けしているので世界戦としては興味もなかったが、試合後に知った事実などを知ると胸にこみあげるものがあった。

決してハイレベルな試合ではないが、202センチ136キロのウスティノフはそれだけで、トップをはれるほどのスーパーヘビー級である。戦績も34勝25KO1敗と立派なもの。

対するチャーはドイツを主戦場とするレバノン人でキックボクシング出身。戦禍を逃れドイツに流れた移民です。ボクシングのアマチュアキャリアは16戦ほどだそうだ。ウスティノフもバックボーンはキック。

クリチコ戦で無敗記録が途切れてからは3敗2KO負けとヘビー級でやっていくには、サイズもパワーも足りないランカー程度のボクサーと認識されていた。

ブリエディスに死んだように倒された試合でもう引退とおもっていました。それだけ壮絶な負け方でした。その後ケバブ料理店でのケンカで銃で腹を撃たれ生死をさまよう負傷を負うも、約1年の時を経て再起。

先天的な股関節の異常を直すため、股関節交換という大手術を経て、1年以上のブランクを作り、わずか8週間のトレーニングでこの試合を迎えたといいます。今も、銃弾か、股関節手術か、腹に大きな手術痕が残っています。

身長10センチ、体重22キロの体格差を克服し、終盤で逆転しついに戴冠しました。最低でも正常に動けるまで術後1年はかかる。医師はこれを奇跡だと言いました。

チャー
「私にこのようなチャンスを与えてくれたドイツにこのベルトを捧げます。私からの贈り物です。時に私は苦しみのあまり泣きました。自分を信じてください。目標を持って諦めずに続ける事、不可能な事などありません。」

ドイツでヘビー級王者が誕生するのは、マックス・シュメリング以来実に85年ぶりの事です。

正直、この試合はワールドクラスからかけ離れたものであり、ドイツではシュメリング以来の快挙とはあまりみなされていません。実際の観客もチャーのルーツであるアラビア人が多数を占め、会場にはシリアとレバノンの国旗が目立ちました。チャーはドイツのパスポートを1年半しか持っていません。

チャーにはこれから証明すべきもの、高いハードルが待ち構えていますが、彼の功績には多くの教訓が含まれています。

チャー
「自分の置かれた立場はわかっていますし、巨大な挑戦は私の目標です。ベストと戦っていきます。」

ベストボクサー、ベストな試合という意味では注目に値しないものですが、ショッキングな敗北や身体危機、マイノリティという立場でよくぞ諦めずに続けてきたな、という意味で心を揺さぶるストーリーでした。

クルーザー級ボクサーにこんな負け方をした後に腹を銃で撃たれ、大手術し股関節も交換してそれでもボクシングを諦めない・・・

ボクシングとドイツだけが彼の希望の切符だったのでしょう。

最後にウスティノフ戦に挑む彼の言葉

「ウスティノフはまさに熊のような大男ですが、私は狩人、ハンターになります。恐怖はただの感情であり、私はそれをコントロールすることが出来ます。」

恐怖はただの感情であり、私はそれをコントロールすることが出来ます。

この先どんな試練が待ち受けていても、こういう境地に達したチャーは人として無敵です。
おめでとうございます。

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