
昨日は、慌ただしく、なんとか観戦できた程度だったが、改めて振り返るに値する濃い一日でした。
ノルディン・ウバーリVSノニト・ドネア
ウバーリ最初の世界戦に備え、この両者は共に練習、スパーリングをしていた時期もあった。ウバーリにしてみれば、ドネアがまさかこんなに強かったとはおもいもしなかっただろう。
改めて振り返ると、WBSSに参戦してきた頃から、バーネット戦も、ステフォン・ヤング戦も、ついでに井上戦も、ドネアがやりたい事は一貫していた。相手にスピードがあり、どんなに動こうが、獲物を捕らえるライオンのごとく、リングをカットし追いつめていく。追いつめられた獲物は本能的にヤケ気味にパンチを振り回しその場をやり過ごそうとするが、狙いすました左で斬り落とされてしまう。
ウバーリは動いていたのではなく動かされていたのだ。
井上は反応もパワーも凄まじいからてこずっただけでドネアの狙いとしては同じだ。
キャリア、体格、パワーを生かし、ベテランらしく戦う。
新しいドネアの大人の戦い方が確立された。実にベテランらしい無駄のないスタイルだ。強い。
デビン・ヘイニーVSホルヘ・リナレス
リナレスをしてもスピードと手数で劣る前半、中盤だったが、じっくりとタイミングを見極めて右ストレートでヘイニーを倒したかったのだろう。若さと運動量でペースをとられてしまったが、終盤遂に若き王者を捕まえかけたが、時既に遅し。
ヘイニーはリナレスの顔面狙いより、ボディを嫌がっているように感じたし、メンタルが表に出るタイプなので、ボディで削っておくのがこの手のボクサーの攻略法ではないだろうか。
リナレスもロマチェンコも若手に対し、慎重になりすぎて前半にペースを握られてしまったのが敗因だ。ペースをとられてしまうと若くスタミナがある相手を失速させるのは難しい。
サブリエル・マティアスVSバティザン・ジュケンバエフ
これが素晴らしい(恐ろしい)試合で、ヘイニーVSリナレスに集中できなかった。
無敗のカザフのプロスペクト、カナダを拠点とするジュケンバエフにとってはやっとたどり着いたチャンスであり、勝たねば次がない重要な試合。自分をアピールしようと、普段より足を使わず、強打者相手に堂々と打ち合ってしまったのが仇となった。
ジュケンバエフのコンビネーションやクイックネスはよかったが、打ち合いが得意のマティアスの地力を引き出す結果になってしまった。打っても打ってもマティアスは怯まずに打ち返してくる上に、パンチの質がエグイ。打つほど倍返しされるような激闘を経て、ダメージを蓄積していくのはジュケンバエフの方だった。
ジュケンバエフの気迫が凄いから、このまま続けたらマキシム・ダダシェフの二の舞になりそうで怖い展開だったが、陣営が棄権を選択。マティアスには倒し屋の凄みがあるが、ジョシュ・テイラーや次に書く男は、相手の力を引き出すようなファイトはしないだろう。プエルトリカン相手に力で勝負してはダメだ。
ゲイリー・アントワン・ラッセルVSジョバニー・サンチャゴ
アントワンは、リオ五輪代表、金メダルのガイブナザロフにも内容で勝ち、勝利を盗まれた。
https://ameblo.jp/dagekilab/entry-12195494516.html
今プロ全体でトッププロスペクトともいえる、ジャロン・エニスがアマで勝てなかったのも、アントワンだけだ。
そんな才能なのに、ラッセル家流キャリアで注目度が低いまま。
相手のジョバニー・サンチャゴは、エイドリアン・ブローナーに僅差で敗れただけの男だったが、アントワンには通じなかった。アントワンの試合スタイルは、誰かが、ラッセルと間違えていたくらい、兄に似ている。兄ほどのスピードはないが、兄より決め手があり、自分だけ打って打たせない。スピードもテンポも足もあり、結果一方的になる。
14勝全KOだが、そこまでのパワー型でもなく、体格も大きくはないから、この位置でキャリアを積んでいるのかもしれないが、アントワンのようなスタイルであれば、マティアスに打たせるようなことはないだろう。
そしてSライト級の世界王者やその他トップレベルを凌駕しているかもしれないのもこの男だけだろう。
おまけ
かなり上手い。