数いる米国のプロスペクトの中でこの男が一番とはおもっていないが、エンターテイナーとしての魅力を強く発しているのは間違いない。倒しっぷりが見事で鮮烈です。あと数試合で世界挑戦なのではないでしょうか?ロマチェンコのいるライト級です。
テオフィモ・アンドレス・ロペス・リベラ
Teofimo Andres Lopez
12勝10KO
アマ170戦150勝
わずか22歳のテオフィモはプロ2年、ライト級のセンセーションです。トップアマであった彼は2016年リオ五輪米国代表の権利を得たが政治的な理由で両親の祖国、ホンジェラスを代表して戦った。プロで12勝10KOだが、7ラウンド以上費やしたことがない。ESPNでは2019年のプロスペクトオブジイヤーに選出された。
ロペス
「2019年こそ”テイクオーバー(=引継ぎ)だよ。世界王者という勲章がついてくるだろう。それが現実になるキャリアに入っている。ボクシングファンは皆俺のようなボクサーをみたことがないだろう。俺はエンターテイナーさ、皆を楽しませる。リングに上がればアインシュタインのように頭脳的なテクニシャン。シュガーレイ・レナード、フロイド・メイウェザー、アウトボクシングが上手いけどその気になればノックアウトもできる。たくさんのトップファイターとスパーをしてきた。ショーン・ポーターともやった。20ポンド差があった。リコンドーやルーク・キャンベルともスパーリングをしてきた。今のところ、ニックネームはないけどみんな俺をGordo(でぶ)と呼ぶよ。」
テオフィモという名前は家族の伝統に由来するという。父も祖父もテオフィモだ。大家族の中でロペスの父だけがブラジルに行き、ホンジュラスに行き、そこで母親と知り合った。
ロペス
「俺自身はニューヨークのブルックリン生まれだ。2人の姉がいて男兄弟はいない。俺が最年少だ。5歳でフロリダのデイビーに引っ越した。父がストリートファイト上がりのボクサーでデイリーニュースゴールデングローブにも出た。祖父もボクサーだったらしいけど詳しくは知らない。6歳でボクシングをはじめ、それ以来ずっとやっている。父が自分専用のジムを持っていて、少し席をはずした時に、コーチが俺にグローブをつけてミットを持ってくれたんだ。それをみた父が俺の素質に気づいてコーチを引き継いだ。
アマでは170戦150勝くらいだ。
2015年のナショナルゴールデングローブを獲得して五輪代表候補に選ばれたんだけどAIBAは負けた奴を五輪代表に選んだ。母がホンジュラス生まれだったので、ホンジュラスからオリンピックに出ることになったんだ。アマチュアの敗北はこのオリンピック選考と同じ。悪いジャッジばかりだった。だから五輪で変なジャッジが起きても驚きはしなかった。ただショックだった。右利きだけどサッカーボールは左足で蹴るよ。」
オリンピックへの出場資格というのは複雑な政治が絡み、あまり知られていないトーナメントの勝者がエリートを押しのけて選出される事があります。ロペスは五輪トライアルライト級で優勝しましたが、選ばれませんでした。カルロス・バルデラスというWSBで活躍していたボクサーが抜擢されることになりました。
ホンジェラスを代表してリオ五輪に出場したロペスだが、初戦のソフィアーヌ・オーミアに敗れるとアマチュアを卒業する決心がつきました。切れ味悪く3ラウンドともにポイント負けしたが、ロペスの父とトレーナーは勝利を確信しジャッジに激怒した。
「お父さんもう終わりだよ」
ロペスは米国出身なのにホンジュラス代表として戦いました。国を争う気持ちになれませんでした。
以下アマチュアで誰に勝った、負けたが続く・・・
https://boxvideo.sports-web.net/ko-samurai/10211
成松と戦ったカルロス・バルデラスが米国を代表し、テオフィモ・ロペスはホンジュラス代表に回されたという数奇な運命だったのでした。ロペスを下したソフィアーヌ・オーミアはアムナットらを下して銀メダルをとりますが、その後はアマでもっと活躍し、アマでもP4Pレベルのファイターになっています。
ロペスのアマ歴をみていると
同国のアンドレス・コルテスという選手に負け越しているし(コルテスも無敗のプロ)
リオで成松が初戦で下したルイス・カブレラにも負けている。
成松といい勝負のアマチュアだったのではないだろうか。
しかし非常にプロ向きだったといえ、パンチャーぶりを遺憾なく発揮しています。
単純にパンチが強いだけでなく、十八番のバック転などからわかるように運動神経、反射神経がよく、重くキレるパンチのタイミング、的中率がずば抜けています。インサイドのパンチもオーバースイング気味の大振りも打ちますが、単発でも威力と精度が高い。ディフェンスはまだよくわかりませんが、避け勘は巧み、パンチが速くて強いので相手をあまり踏み込ませません。ディエゴ・マグダレノくらいの相手だと危ないパンチはほとんど被弾しませんでした。デイエゴもアマではマイキーに勝ったりしていました。ロマチェンコやマイキーでさえ、マグダレノをここまで圧倒できるかなという余裕の倒しっぷりでした。
サイズは173センチ、リーチも長くはなく、フットワーク滑らかな選手ではないので、色々なタイプの強者とやることで課題が出てくるかとおもいますが、今は、プロスペクトオブジイヤーの名の通り、魅せる倒しっぷりと自信で乗りに乗っています。
ロマチェンコ、マイキー、コミーという布陣の中でどう割って入る存在になるでしょうか。
さらには米国内もこんなにハイレベルです。
次世代の世界王者かその前に挫折するかわかりませんが、ノックアウトが華々しい”テイクオーバー”テオフィモ・ロペスのファイトはエキサイティングです。注目しましょう。
少し脱線し、リオ五輪ライト級を振り返るとプロで知った名前がかなり出てきます。
成松大介(アマ)
カルロス・バルデラス
チャーリー・スアレス(フィリピン)
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ジョー・コルディナ
テオフィモ・ロペス
アムナット・ルエンロエン
カルミネ・トマゾーネ
ロブソン・コンセイソン
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もっといるかもしれません、おなじみのキューバのラザロ・アルバレスも出ていました。
この中で初戦で敗れたテオフィモ・ロペスが今プロで最も注目されていますが、大会を制したのはロブソン・コンセイソンであり、コンセイソンもまたトップランク。見事な囲い込みです。
アムナットもトマゾーネも初戦を勝ちましたが、非力な部類でしょう。
こんな感じで全階級のアマの多くもプロ入りしているのでしょう。
https://boxvideo.sports-web.net/world-boxing/10337