腕力(かいな力)系新種/井上尚弥アフターレポート+

拳四朗と井上尚弥の圧勝を受けて、ただ日本勢強い、よかった、だけでなく、今までと違うボクシングを見ているような錯覚がありました。共感してくれる人はいるだろうか。

みなさまコメントありがとうございます。
井上の活躍が益々期待されるWBSSバンタム級
コメントは時間の経過で過去のものになってしまいますので
こちらで語り合っていただけると幸いです。
(使いにくいかもしれませんが)
私も参戦いたします。

たった一度のワンツーだけで決まった。

ボクシングマニアには冷笑的な人もいるでしょう。この試合に感動しない人もいるかもしれません、井上尚弥は勝つことが決まっていたと。

時には、結果が予想通りでも感動する事はある。感動したっていいのだ。

ファン・カルロス・パヤノはアンセルモ・モレノとラウシー・ウォーレンを破った2度のオリンピアンで、元WBAスーパー王者です。一度もKO負けのないトッププロです。

左ジャブからの右ストレート一閃、70秒・・・

これは2018年に井上がやった2度目の初回KOでキャリア全体では3度目です。

2014年、井上は2度の五輪代表、オマル・ナルバエスを2ラウンドKOで圧倒した。ナルバエスは2度の五輪出場、2階級王者で2桁の防衛記録を持つ偉大な王者でした。彼も一度もストップ負けがない選手でした。今年はじめに初回ノックアウトしたジェイミー・マクドネルも長く無敗で、KOされた事は一度もありませんでした。

井上が倒してきたファイターは決して簡単な相手ではありません。そんな彼らを圧倒した姿は印象的です。唖然と、冷笑的になるしかありません。それは、倒れない相手をコロコロ倒してきた初期のロイ・ジョーンズJrのようですらあります。

井上に欠けているのは世界レベルでのハングリーな相手との対戦キャリアです。負ける姿、弱点も露呈されていません。しかしその欠けている部分もこの大会で払しょくされます。

WBSSシーズン2バンタム級がいよいよ始まりました。井上尚弥は圧倒的な優勝候補です。確実に言えることは井上は休息の後、セミファイナルに再び登場するということです。

展望してみよう

井上は2週間後には第4シードIBF王者のエマニュエル・ロドリゲスVSジェイソン・モロニーを視察に行く。モロニーにプロキャリアでの明確な説得力はないが、無敗で優秀なアマチュアの背景があり、前戦ではベテランの元王者、河野公平をストップしている。この試合の勝者は井上がはじめて迎える無敗の対戦相手という事になる。試合を敢えて予測する事はありません。井上の未来はセットされています。

34歳のパヤノは決して多くの試合に恵まれたキャリアとはいえなかった。現役を続行する事は可能だが、タイトルレベルでの試合を描くことは今は難しい。井上に受けた痛恨の敗北からどのような決断を下すでしょうか。一撃で脳震盪のように散った事は、ひどく打たれて深刻なダメージを受けるようなものではない事が不幸中の幸いだ。結果によらず、彼には誇るべき実績があります。

改めて試合を簡単に振り返ると

パヤノはいつもよりさらに半身に構え、距離に留意しボディストレートで探るなど、言葉通り井上のパンチが届かない距離で闘うことを戦術にしていました。なるほどとおもいました。それを見越した井上陣営の対策が見事でした。

あれはただの教科書的なワンツーではありません。

正対しない相手を内側からのジャブで崩してから、最適なポジションを確保しての右ショート。本人も100点と言っていたように、超高度な技術がドンピシャではまっての完璧なパンチでした。超高等技術を一流相手に最初の試みで決めてしまう姿にアングリ、笑ってしまうしか他にないほどの芸術をそこにみました。凄すぎるものを経験すると言葉にならない、笑っちゃうしかない感覚になります。

この試合がすごすぎて、他を書けない状態ですが、二度とないだろう、レリとトロヤの来日試合(やっぱりトロヤは強かった)も近いうちにじっくり堪能したいですし、かなり強くなった印象の拳四朗の試合も振り返りたいとおもいます。

拳四朗の試合なんて

ああ、これは井上がパヤノにやりたい試合だよな、拳四朗が先にやっちゃってるなとおもいましたもん。

拳四朗、あんなにパンチがキレキレで狂暴でしたっけ?どこか、肩を入れてフォローを効かすような古典的なパンチの打ち方ではなく、拳を鉄球、砲丸にみたててビシビシ投げつけるような打ち方が、最近の強打者、井上尚弥にも通じるようにみえてしまいました。全パンチがロシアンフックの応用、発展形であるかのようなパンチです。足腰とかはもちろん重要なんですが、腕力(かいな力)系なんです。ムチのように撓るのです。

なんとなく通じる方、いるかなぁ。

それにしてもWBSSはこれから毎週行われますが、今回160人のスタッフで、どう考えても開催地映像込みのクールなPVも作って、あのセッティングなど大名行列、いい仕事ですなぁ。一行はもうロシアへ旅立ったのだろうか?その資金はどこから出ているのか、主催のザワーランドさんが言ってるように、井上は世界のキラーコンテンツであり、フジテレビの視聴率など気にしなくていい存在になったかとおもいます。

無事優勝すれば、準優勝やいい試合をした選手を引き連れてでも、次はスーパーバンタム級でWBSSが開催される気がします。
軽量級のWBSSが成功すれば、日本ボクシング界の歴史も変わります。

Sバンタムの面々も統一戦を急がずとも、チャンスは転がってくるかもしれません。せめて参加資格だけ抑えておけば。

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コメント一覧
  1. だいたいいつも思うんですが、勝った方も負けた方も試合前にどういう予想そして対策を練っていたのかいろいろ知りたいです。あんまりそういうのを聞く記者が少ないなあ。

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  2. あんこ様

    これよりの、私のでしゃばったコメントをお許し下さい。

    パヤノは井上選手の最初の左は「見えていた」そうです。
    私が思うには、パヤノは戦前本人が言っていた「120%」に納得できる仕上がりだったと思います。
    相当な準備をしてきたのでしょう。
    並の選手なら、井上選手のあの左に反応し、すぐさまパンチを返そうとすることかなり難しいと思います。
    パヤノは井上選手の撒き餌の左には反応してギリギリ芯から外し、すぐに左を返そうと体重を前に移動した瞬間、罠を仕掛けた井上選手の絶妙なタイムラグで放たれた右カウンターをモロぶち込まれた訳ですね。
    あの右も左の位置より下げて、見えないような角度から打っているのも凄い。
    さすがのパヤノにも「見えなかった」んですね。
    井上選手本人の、デキは「100%」、試合後夜に「録画を50回くらい観た」と言うのも納得できる芸術的瞬間でした。
    井上選手は以前、テテの11秒KOは「まぐれ」と言っていましたが、今回の自身の傑作は、まぐれでもなんでもない瞬間的起承転結でした。
    今後井上選手と拳を交えるであろうWBSS参戦者は、

    井上選手からカウンターを打たせるように仕向けられ、カウンターを打ったらそれに合わせてカウンターを打たれる・・・その対策が必要だと感じているでしょう。
    それができる可能性があるのは、ロドリゲスと(閃光を取り戻せたらの条件つき)ドネアだけだと思います。

    今回再認識したことは、ボクシングはやはり「スピードとタイミング」。

    ・・・それから、パヤノの打たれ強さにもビックリしました。
    会場で観ていて、あの強打を受けてあんなふうに倒れて・・・深いダメージから回復し起き上がれたことにビックリしました。
    普通は担架でしょ。
    パヤノには復活をつよく望みます。
    ネリとやれは勝てます(笑)

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    • WBSSの公式動画を見ると、パヤノのコーチがもっと角度をつけろと数回アドバイスしています。そのアドバイスに従ってパヤノは時計回りに動き、井上の右が撃ちやすいほうへと誘導しています。パヤノは井上の左側からのジャブ、いきなりの真ん中の右ストレートに対してのカウンターを狙っていたのではないでしょうか?

      ところが井上はステップで近づき真ん中からのジャブ、これで目くらましが成功、そして右側外からのストレート。

      それと井上は近づくごとに左を上に、一歩踏み出すと上、次も上とリズムを作ってます。それに合わせるようにパヤノも右を上、上、上とリズムに乗せられます。最後のジャブのタイミングで井上は下からのジャブ、対してパヤノの右手は上。映像からパヤノが井上に騙されたことが見て取れます。

      両方が餌を撒いて、井上の作戦がパヤノの上をいった試合だったと思います。

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  3. 初めてコメントを書き込みますが、あの井上尚弥のワン・ツーですがパヤノには
    どちらのパンチも見えていなかったのではないでしょうか?

    簡単に「ワン・ツー」といっても、いわゆる普通のワン・ツーとは明らかに違うと
    思います。長年、ボクシングを見ておりますが、あんなワン・ツーは見たことありません。
    感動しました。パヤノは「パンチが見えなかった」と言っていましたが、あれは最後の右
    だけではなく、最初の左も含まれていたのではと感じます。

    井上尚弥は恐ろしいボクサーです。

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  4. ご無沙汰しております。
    井上選手のパンチはワン・ツーと言っても、左から右を打つ間にわずかな間を持たせていましたよね。
    先ず左はパヤオの右ジャブをフェイントを使って小さく大きく上から叩いて(弾いて、触って)、タイミングを見計らっていました。パヤオが少しだけ多めにグローブを上にあげた瞬間に、素早く踏み込みながらパヤノの右腕下をすり抜ける左ストレート。次の右を体重を思い切り乗せたストレートに繋げるための。だから左を打ってさすがのパヤオは反応して次のパンチを繰り出そうとして前に動いた瞬間、右足を強く蹴って腰を回転させた、ドンピシャのタイミングの物凄いカウンターになったんですね。
    井上選手のパンチは強靭な下半身から腰を通じ、拳までパワー・ロスなしにドッカーンと打つからたまったものではないでしょう。
    そしてその前にパヤオの前進を止めた右アッパー。パヤノの左頬をこすり上げたあのパンチもタイミングはばっちり。井上選手がもう数センチ左に位置していたなら、あの右アッパーで決まっていたかも?・・・と、個人的にはおもっています。
    何はともあれ次はロドリゲス(アップセットはおそらくないのでは?)。一番の難関ですね。この一戦は両選手の完成度からしてスピード勝負、速い方が勝つ。個人的には思います。
    うーん…心情的にはできればモロニ―に勝ち上がって欲しい…

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  5. このままリカルドロペスみたいになってくれたは嬉しいですよね。その前にバンタム制覇して将来的にどんどん階級上げていきそうなのでパッキャオですかね。どの階級で壁にぶつかるか楽しみです。

    その前にシリーズ優勝だ。

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  6. 井上のスピードを思うに、大昔TVで観た柴田国明を思い出します。
    パンチの切れスピード共に素晴らしかった記憶が・・・
    ただグラスジョーでしたが・・・
    井上は田口戦等厳しい試合もありましたがバンタムで打たれた経験が無いことが
    少し心配です。

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    • 井上に拳四朗といい、昔と比べて日本人にも肉体的にも精神的にも図太いしたたかなボクサーが出てきましたね。個人的な意見ですが、二人とも幼い頃よりトレーナーのお父様と基本練習等で徹底的に鍛えられてきたのですかね。体幹が他の日本人ボクサーと随分と違いますから、それと試合中の即応能力は見事です。

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  7. 人差し指、中指のナックルを鋭角に当てるイメージなんですかね?
    ミットでは、出来てもなかなか試合では…
    練習の賜物ですね!

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