ロシア(キルギス)という点を除けば、もっと人気が出そうな、全てを兼ね備えた名王者だ。
WBAライトヘビー級王者、ドミトリー・ビボルが最後に試合をしてから19ヶ月が経った。もちろん、それはビボルが望んだことではなく、彼はこの間、活動を続けたかったが、リングから離れねばならなかった状況をよく理解しており、冷静さを保つことが重要だと考えている。
ビボルは今週末、マンチェスターでクレイグ・リチャーズとの対戦が予定されている。リチャーズを甘くみてはおらず、そのための準備は欠かせないが、より大きな試合を模索しているのが本音だ。ジョー・スミス・ジュニアとアルツール・ベテルビエフの試合の勝者がターゲットだ。
ビボル
「いつも言っているように、私は他のチャンピオンとタイトルを統一したいと思っています。もし可能であれば、(年内に対戦が決まっている)スミス対ベテルビエフの勝者や、世界ランキングのトップ10に入っている選手と戦う準備はできています。」
エキサイティングなスケジュールの影で、忘れ去られかけた王者もまた多い。
ライトフライ級のカルロス・カニサレスがやっと試合をするが、元々無名な上にコロナ禍が重なって、誰も知らない存在となっていいるが、中国のトップアマや日本の木村を下した試合はなかなかのものだった。
モルティ・ムザラネも南アなだけに大変だ。今度、チャーリー・エドワーズの弟だか兄貴と戦うようだ。
そして、ロシアのドミトリー・ビボルも取り残された王者の一人といえる。
無敗、俊敏、穴がなくハンサムで、今がピークと言えそうなビボルも30歳
文句のない教科書的なスタイルだが、ライトヘビー級では体格が大きいとは言えず、トップレベルでは判定勝ちが続く。スーパーミドルと両睨みで、カネロとの対戦を懇願していたが、叶うはずなく据え置かれている。
5月1日、およそ20か月ぶりの試合の対戦相手は英国のクレイグ・リチャーズ16勝9KO1敗1分、年齢はビボルと同じ30歳だ。
決して弱い選手ではないだろうが、ビボルの実績、相手レベルとしては物足りない。今までもビボルは、いつかのビッグマッチに備えた通過点的な試合が多かった。その通過点で下したジョー・スミス・ジュニアの方が今やホットな位置に戻ってきている。
こういうタイミングの微妙な相手こそ、ややリスキーともいえる。リチャーズにとっては降ってわいたチャンス以外のなにものでもない。
ドミトリー・ビボルこそ、王様、カネロを凌駕する存在だとずっとおもっているが、カラム・スミス戦のカネロをみると自信がなくなってきた。
今はカネロの名前を出さず、対抗王者のアルツール・ベテルビエフに切り替え、現実をみているようだが、せめて、好漢、ビボルには、納得のいく相手とキャリアを全うさせてあげたい。
ロシア(キルギス)という点を除けば、もっと人気が出そうな、全てを兼ね備えた名王者だ。今が旬だから、もっと試合が観たい。