スーパーマンの強靭さを発揮する時/アドニス・スティーブンソンとコバレフ

昨日の試合はワイルダーVSフューリーの話題でもちきりだが、個人的にも歴史的にも重要だったのがスティーブンソンVSグヴォジクであり、結果は期待したものになったが、その後のスティーブンソンの容態、こんなの望んじゃいない。どうしてだ、どうか元気に回復して欲しい。

土曜の夜、オレクサンドル・グヴォジクに11ラウンドKOで敗れたアドニス・スティーブンソン(現役で最も在位の長い王者であった)の元には婚約者のシモーネ・ゴッドや彼のチームメイトや愛する人たちが集まっています。彼らは病院の集中治療室で41歳の元世界王者を支援しています。

モントリオール・ジャーナルによると、スティーブンソンは昏睡状態であり、脳出血による脳の腫れを防ぐための措置がとられている。

シモーネ
「今は多くのコメントは控えたいです。隣で彼をサポートしています。アドニスはチャンピオン、ファイターだから、今の状況とも戦っているのです。」

彼らの娘で11月6日に誕生日を迎えたばかりのアダノンも彼のそばにいます。

「私たちは人生、ビジネスのパートナーです。彼は今良い兆しをみせています。彼が完治するという信念を持っています。私たちのためにお祈りください。」

この試合に敗れるまで、スティーブンソンは9度の防衛に成功していた。”スーパーマン”の5年半の統治は終わった。

ファンの皆様の同情と支援に感謝するとともに、今は身内でそっとしておいてほしいという彼らの願望にご理解ください。

https://www.youtube.com/watch?v=W9bid4XyYss

このニュースを聞いて不安でいたたまれなくなりました。
ほんの2日前までは自信満々で元気に勝利のアピールをしていたスティーブンソン、ボクシングはこれがあるから崇高とも残酷ともいえます。

自身のサイトの短いニュースで軽く触れましたが、この試合をLIVE中継で観戦しつつ、細かな部分までは見れていないかもしれませんが、いわゆるリング禍の起きやすい、消耗戦、乱打戦ではなかった。

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互いの強打とスキルを警戒し、被弾の少ない緊張感のあるファイト。クリーンヒットは少なく進行していました。決着前の10ラウンドにはスティーブンソンの左スイングを頭頂部に受けたグヴォジクの足が揺れ、ロープにふらつき、スティーブンソンは勝ちかけていました。ここぞのチャンスと襲い掛かったスティーブンソンですが、ピンチはチャンスとグヴォジクが攻めを強めるスティーブンソンの隙をついて反撃、正確性で勝るグヴォジクのパンチが有効に入り、これが11ラウンドのノックアウトへの伏線となりました。

10ラウンドの攻勢と被弾で疲弊したスティーブンソンにグヴォジクの勝負をかけた攻勢がはまり、数発のコンビネーションが決まる。遂にスティーブンソンは陥落、ダメージの深さをみたレフリーはこの最初のダウンで続行不可能、ストップをコールしました。

すなわち、遅すぎるストップというレフリーの過失でもなく正確無比な対応であり、このダウンの前にストップすべき要素は微塵もありませんでした。セコンドでスティーブンソンがどういう状態だったのかまではわかりません。競った試合でしたので棄権する要素も微塵もありませんでした。

今年半ばまで、このアドニス・スティーブンソンとセルゲイ・コバレフが、ライトヘビー級の2代巨頭として君臨し、直接対決や統一戦を期待されてきました。共に破格の強打者で格下相手には敵なし状態。しかしボクシングの非情なる業で、2018年、2人とも完膚なきまで叩きのめされて陥落となりました。

両者に共通するのは

ボクサーとしてはかなり高齢
破格の強打で序盤KOという楽勝が多く、試合が長引くと急激に落ちる

というのがありました。

コバレフは身体には大きな支障なく、来年2月には逆転で敗れたエレイダー・アルバレスとのダイレクトリマッチが決まっています。スティーブンソンの方はニュースを読む限り、健常な生活に戻ることが最優先で、40歳を超えてからの再起は絶望的な模様です。いや、いくら全回復しても復帰は認められないでしょう。

両者共に、時代を代表するような、将来の殿堂入りクラスの偉大な王者でしたし、あれだけの強さを誇っていれば試合になにも注文はつけられません。フォアマンやホプキンスという化け物の前例もあります。

先日はアンソニー・ムンディン43歳が、ウェルターから上げてきたジェフ・ホーンに初回KOで負けた試合もありましたが、ミドル級でやっていたムンディンが効いて足が言う事を聞かないほどのダウンにはみえませんでした。しかし異様な効きっぷりでした。

現役トップレベルでいる限り、試合を止めることはできませんが

加齢は、スタミナや耐久力や回復力を確実に衰えさせる
特に苦戦や長丁場をあまり経験していない、強すぎるが故の未知数な状況に置かれた時の最強王者は脆いという側面がある

これをどう捉えればいいのか
という解決無き悩みが深く残ることになりました。

執念で勝利したグヴォジクの心にも暗い影を残す事態、試合がエキサイティングなのは大歓迎だが、こんな状況は誰も望んでいない。

どうか、何事もなかったかのようなスーパーマンの強靭さを発揮して完全回復してください。

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コメント一覧
  1. 根拠はスティーブンソンの彼女ツィートだけですが意識回復した模様です。本当なら良かった。

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  2. やっぱりボクシングは若者の競技ですね、フォアマンとかホプキンスとかの例外に振り回されたらいけない気がします。
    自分が気になったのは、やっばり
    スタミナですかね?マクラレンも終盤スタミナ切れでバテバテでKOされましたしスタミナ切れでまともにディフェンスが出来ないのが不味い気がします。

    ソースは無いんですけどマクラレンの話で皆がマクラレンのKO勝利を予想する中1人だけベンが勝つと断言した人がいたらしくて、その人はマクラレンが試合前に炭酸のジュースをガブ飲みしてるのを見てベンが勝つと思ったらしいです。
    ステベンソンにも何か兆候があったのかな?と思います。

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    • はじめまして。確かに酸欠状態とそうでない状態とでは同じ衝撃でも脳のダメージが全く違うのではないかという気はします。スタミナの欠乏を気力でカバー出来てしまう選手ほどよりリスクが高いのかもしれません。

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  3. 他団体がほぼ「逃げ得は許さず」という姿勢をとってるのに対し
    ストームアルバ、ウーバーリーのようになぜか 指名試合入札なしで王者側を甘やかしてる不可解なWBC
    こういう事故も必須だったのかもしれません・・・

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  4. 井上も最近そうですが
    序盤KO型の選手は長期戦を視野に入れた練習を相当やる
    あるいは、序盤、中盤、終盤で都度戦術を見直す
    などしないと不安ですね。

    タイソンにしても本能の赴くままで終盤の戦い方などわかっていなかったのでは?

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  5. 記事の件同意します 現在のボクシングの安全管理には不満がありますが昨日の一見に関しては誰もなにも不備はない
    防ぎ用のない事故でしょう コバレフは過去に相手を一人殺したときにもうボクシングを続けるのは苦しい旨を語ってましたが、これからのグウォジクが責任を感じることなくこれからのこキャリアに専念して欲しいです
    年齢は脳に確実に影響しますけど、そもそも打たれ強さが個人で千差万別ですし正直こればかりはどうしようもないですよね… じゃあリゴや八重樫がボクシングするのが不味いのかっていったらそんなことはないですし マクラレンだって別に打たれ弱くなかったです
    ちなみに自分はこれがあるからプロボクを志向したことはないです そんな多くのボクオタの欲求を代行してくれるボクサーの方々には感謝ですね
    しっかしステベンソンは自業自得のキャリアとはいえミソがついちゃったなぁ… 残念 コバレフベテルビエフ戦見たかった

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    • 八重樫は打たれすぎで壊れかけの雰囲気が漂ってますし、あんまり長く続けると引退後に影響が出ると思います。

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