セルゲイ・コバレフVSアンドレ・ウォード

期待を込めた予想が結果的には当たったことになるが、コバレフの勝利だったようにおもう。
アメリカでジャッジも全てアメリカだからこうなったのであり、HBOの公開採点が妥当なところだろう。
好試合だっただけに結果がこう出たのは残念だ。

https://youtu.be/SVP-ffCt1KQ

互いに技巧派ぶりを発揮して地味な展開となったが、盛り上がっていた。
クリンチ多くクリーンヒットの少ない地味な試合でも究極的に張り詰めた緊張感のあるハイレベルな試合だったからだろう。
両者の全てが発揮された試合だったとおもう。
ウォードは対応力や順応力は見事だが、効かされ、ダウンしたのを挽回したような内容とはいえず、よく立て直したのがせいぜい。
コバレフはこれが本来の彼のスタイルなのだろうが、偉大な試合を前に少し慎重になりすぎたかな。

Lヘビーでこれだけ細かな技巧、攻防が発揮された試合というのは珍しい。
コバレフは王者らしく攻撃的にチャンスがあればKOを狙っていく試合をしたが、ウォードは挑戦者らしくなく、勇敢に立ち向かったもののややごまかし、応戦しているだけで倒す気配はなかった。
ダメージもウォードの方が大きかったのでは?

再戦必至な内容であり。両者にとりライバルがいることでさらに注目され、稼ぐチャンスでもあるので、この拮抗した両者の出会いは幸運といえるものかもしれない。この階級に花が咲いた。

しかし再戦しても似た展開になるだろう。
コバレフがリスクをとってもっと強引に倒しにいく戦術に変えてウォードをKOしない限りは。
ウォードはコバレフの上手さ、強さを思い知っただろうから、さらなる適応力を発揮するだろうが、倒されないだけで限界かとおもう。
ただ中盤から後半にやや雑なコバレフのパターンは完全に読み切っただろう。

コバレフの方が強いと感じた試合ではあるが、再戦となるとウォードが得たものの方が大きそうという印象。

コバレフが想像以上な技巧派だったのを確認した今、ベテルビエフだったらこういう試合にはならないだろうから、彼にも期待できるなぁと感じてしまった。
ウォードみたいな渋い達人ボクサーは潰す、倒しきるしかないだろう。

再戦があるならコバレフはそれを狙うのみ。
ベテルビエフはそういう試合しかできないだろうし。

久々にどちらにも肩入れせず中立にみれた試合。
とてもハイレベルで微妙な後味の試合でした。

感情訳

コバレフ
「多くの支援をありがとう。人々の意見には満足していますし、試合には勝ったとおもっています。結果にがっかりしているが、気分は悪くないです。試合は明白なもので私は判定に同意しません。顔を見てもらえればわかるとか序盤にダウンを奪ったから言うのではなく試合をコントロールしていたのは自分だとおもいます。ウォードは逃げ続けていただけです。なので再戦しましょう。」

プロモーター
「複雑な感情です。パーネル・ウィテカVSチャベスのような心境です。再戦のオプションを持っているので即時にやりましょう。」

ウォード
「素晴らしい夜でした。どのような試合も完封して勝利してきたしこのようなタフファイトを乗り越えてきました。ダウンしたけど効いてはおらずフラッシュダウンでした。ラウンドを重ね彼を倒せるとおもっていました。彼に再戦の機会を与えるのもいいし次のステップに進むのもいいでしょう。再戦になったらより差が出るでしょう。コバレフの特徴はもう掴みましたから。」

トレーナー
「コバレフは確かにアグレッシブな試合をしたとおもうが後ろ足重心でインファイトしてこなかった。クリーンヒットの差がこれだ。」

プロモーター
「両者による素晴らしいファイトでした。誇りにおもいます。そして王者はウォードです。」

ウォード側は借りてきた答えですなぁ。

オレクサンダー・グヴォジクVSアイザック・チレンバ

コバレフ戦で夢破れ、サバイバルマッチに。
いつもアウェーなチレンバには過酷な状況だったかもだがこれが本来の世界戦線。
グヴォジクはロンドン銅メダリスト。コバレフ級の破壊力はないけど上手さは折り紙付き。結果チレンバを棄権TKO
この階級は決して王者だけが抜けている訳じゃありません。

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コメント一覧
  1. ちゃんぷくさん

    ウォードやメイウェザーの強さというのは
    素人目にはわかりにくいですね。
    ポイントはとってるのかもしれないが、相手にダメージ与えてないですから。

    再戦の機運が高いんでしょうし次はコバレフは倒しに行くとおもいますが
    なんかもうおなかいっぱいだなぁ。

    負けても評価下がらないのが救いですが
    敗戦という事実とベルト含め失ったのも事実・・・

    これで白黒つくのはなんともなぁ。

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  2. ウォードのテクニック、いやさしさに終始感心させられてしまう自分が居るんですよね。
    飯田氏も似た様な事を言っていました。
    結果的に自分を含め飯田氏と同じ採点になって「しまった」人は少なくないと思います。

    これは採点基準を見直さないと、今回の様な結果はこれからも度々起こりボクシングの衰退は加速するでしょうね。
    特に今回の試合は10:10を認めるべきだと思えるラウンドが多かった様に思います。
    10:10を認めるだけでも結果は変わっていたと思いますが、更にコバレフはダウンも奪ってますからね。
    ダウンに3pt以上の差をつけていいと思っている自分にとって、この結果は現在のボクシングをダメにしている採点基準を象徴する様な試合だと思います。

    自分としてはウォードの様な選手が出てきてくれたことに感謝していますが、所詮彼は現代の採点基準の申し子でしかないんですよね。
    基準を何処か一つイジるだけで勝敗が入れ替わる。

    玄人目に見ても十二分に技術を備えており、素人目に見ても文句無しで「強い」コバレフが勝てないのは深刻な問題ですね。
    特に素人は強者がよく分からない判定で負けるのを観てしまったら一気にシラけて離れていってしまうでしょう。

    巷で言われているロビーが本当にあったのなら、逆に自分は少しホッとしてしまいます。
    不正は正せばいいですが、採点基準は簡単には変わりませんから。

    とりとめのない長文すみません。

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  3. RICEさん

    玄人っぽい意見だとウォードの勝ちもありっぽいですが
    全体的な印象としてコバレフでしょ。

    でいいような試合だったとおもうのです。

    クロフォードやモズリーなど黒人選手はこぞってウォード支持でしたね。
    自分を投影しているのでしょう。

    タイソンだけはコバレフ支持でしたが。

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  4. 内容はコバレフの勝ちでした。数値以上の体格差、パワー差がありウォードはいなしで精一杯な印象。ダメージを与えるには至らず。

    超技巧派のウォードとの一戦でよりコバレフの上手さが際立つ戦いとなりましたが、逆に言えば慎重さも際立ってしまいました。追い回して詰め切る荒々しさがないと再戦しても難しいと思います。

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  5. 不完全ガイドに書きましたが

    アルツール・ベテルビエフ
    オレクサンドル・グウォジク
    イゴール・メコンツェフ
    ディミトリー・ビボル

    彼らの方がスティーブンソンやクレバリーより興味があります。彼らのマッチアップならどれでも興味があります。

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  6. コバレフのついった見てたら結構前ですがクルーザーにも興味もってるみたいですね
    ウシクとかとやったらめちゃくちゃ面白そう
    コバレフのスタイルは年で劣化しづらいと思いますが、管理人さんはベテルビエフとスーパーマン以外に見てみたい組み合わせとかありますか

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  7. 一瞬のマ夏さん

    ラリー・マーチャント氏のコメント通りだとおもいます。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161121-00000136-spnannex-fight

    ウォードは職人ですが、倒す魅力に欠けてますね。Lヘビーじゃ特に。

    あなさん

    グウォジクは普通にアマではコバレフより格上では?
    こういうごくオーソドックスな選手がどこまでいけるか見届けたいですね。
    クレバリーやスティーブンソンなら勝ち負けになるでしょう。
    チレンバもそっちに挑戦できればなぁ。

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  8. この二試合のみ突出してあとはレベルの乖離がひどかったような
    前も書いたかもしれないがチレンバは惜しい 選手ですよね 誰も容易には勝てないが、やはり
    勝ちを取れないスタイルで世界王者はキツいかなー?
    アウトボックスだけなら超一流と評していいと思います ジャブとステップと距離感は同階級でウォードに次ぐかと
    だが決定的に武器が足りない こういうボクシングでペースポイントを取るにはリゴとまではいかなくとも単発でいい、ダメはとれなくていいから単発の強打が欲しい じゃないとプレッシャーに対しリングジェネラルシップが取れない
    実際インファイター×アウトボックスとしてお手本のような戦いだと思いました グウォジクやはり上手いですね 村田ま参考にすべき点も多々いったのでは

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  9. う~ん。序盤、あっさりKO勝ちするかも?と思いました。しかしダウンがラウンドの終盤だったのが残念。
    しかしコバレフ慎重だったなぁ。慎重かつ丁寧にボクシングをしていたと思いました。中盤以降は評価は分かれると思いました。深追いせず無理にワンツーの後にパンチを出さない。細かいフェイント、クリンチ。距離をしっかりキープしており崩されないコバレフ。これを消極的と取りウォードが上下左右の打ち分けで見方によってはコバレフの重心を動かし(ているようにも見える)ペースを掌握していく。このコバレフ消極的・ウォード積極的がポイントがウォードに流れるほどとは到底見えませんでした。 ある意味王者だから判定有利とはならずその視点では公平だったのかもしれませんが、私には今回はウォードが取った、ペースを掴んだと思えませんでした。
    116-112コバレフ勝ちが私のスコアでした。 緊張感はあったかもしれませんがウォードの勝ちは無いなぁ。残念です。
    ドネアといいコバレフといい納得のいかない採点でした。

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  10. しんたさん

    自分がコバレフを評価してたのは
    殺人的な破壊力だけでなく、やたら達者なボクサーだからです。
    こんな上手くてパワーがあるのにロシア国内止まりだったのかと・・・

    それでも狡さが真骨頂のウォードの術中に半分はハマりましたが。

    もしかしたらGGGでも勝てない2人かもしれませんね。
    階級差は置いといて。

    でも同様にもう十分わかったので、ベテルビエフとかスティーブンソンとか
    別の怪物とのマッチアップが観たいですね。

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  11. コバレフの勝ちでしたね(115-112くらい)。過小評価してました…

    ウォードは髪伸びてシャープさが無くなったような。ギリギリの避け感は流石で、コバレフがそこまでパワフルに見えなくさせたのはウマイの一言。でも前半戦にコバレフが躊躇せずもっと強気に攻めてたら、ウォードはKOされてたかもしれませんね。再戦もいいですが、ベテルビエフとかスティーブンソンも絡んだ組合せがみたいです。

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  12. クッパさん

    サイズはほぼ同じなんですが
    コバレフの方が大きくみえました。
    パワー優位だったのでもう少し体を当てるようなラフな組み立てをして
    ウォードを倒し切るしかないのですかね。

    判定になると独楽鼠のようなウォードになってしまいますね。

    あなさん

    ウォードが序盤の劣勢から立ち直った。
    ジャブ当てただけでもポイントがつく中盤以降になっちゃったとおもいます。
    リングジェネラルシップという点ではやはりコバレフかと。
    ウォードみたいな選手はただじゃ負けないんですよね。

    八さん

    完全にアウトボクサーとしての戦い方で
    近距離はウォードの巧みなホールドやクリンチで封殺されちゃいました。
    ウォードはこれがあるから実に難解なんですよね。
    ベテルビエフなら完敗か、そんなウォードのホールドを無効化して潰すかなとおもいました。

    マイティさん

    やっぱりコバレフは自身も超強打者だけど
    打たれ強くはないのでは?だからウォードに対しても技術で戦っていた。
    それでも負けはないくらい達者でしたが、こういう状況でやるならKOしか勝ち目がなかったのかもしれません。
    過去のLヘビーで最もハイレベルな試合だったかもしれませんね。

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  13. 再戦だと、まさに山中に返り討ちに遭ったモレノのように、コバレフが若干不利かも知れません。

    より攻撃型にシフトしたコバレフの隙を神子が巧打してしまうのでしょうか…?

    しかし、モレノとは格の違うコバレフの怒涛の破壊力が神子を粉砕して溜飲を下げるイメージも湧きますので。

    これはリマッチが決まれば初戦以上に楽しみですわ。

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  14. 全くコバレフがここまで上手いなんて驚きでしたね。
    ただ開始直後から右肩下がりの試合がままあるのは確かでしたが。

    ウォードもどうすればポイントを拾えるか意識してて憎いくらいです。
    メイよりは魂込めているように見えますしね。

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  15. 判定についてはhboは開きがありすぎると思いました 自分の採点では115112でコバレフ 67rのウォードの印章点で判断が別れるところですが納得の範疇ですね 10rウォードはないけど
    ただやはりこういう試合はコバレフが勝つようにレフェリングを変えるべきだと思うし、この試合がその契機になりそうな気もしてます
    試合は凄まじかったですね 序盤のコバレフの完璧なスラッグはウォードの不調を疑うほどでした ここで決めきらなかったのが不味かった まさかチレンバホプ戦の教訓と対策が裏目に出るとは
    そして中盤からのウォードの機を穿つ戦略脳 そしてあまり普段見せないクロスレンジのボディ 均衡したラウンドで印章点を掠めとるハイリスクローリターンのアタックをいとわないメンタル
    ロマゴンが手が四本、ロマチェンコが脚が四本あるというならウォードは脳が二つあるんじゃないでしょうか
    ウォードがp4qなんて嫌ですが、少なくとも現行ルールで勝敗だけで言ったらp4pどころかオールタイマーなんじゃなかろうか 興奮して長文になりました すいません

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  16. コバレフはここまで素晴らしいテクニックを持っていると思っていませんでした。この先もっとみたいと思えるボクサーだとおもいます。
    ウォードの立て直しや瞬間のスピードも楽しめましたが勝ちまでは…
    試合が終わっての感想は内容に違いはありますが山中×モレノⅠの後味に似ているかと。再戦があればもちろん見ますが好試合になるかどうかは別の話となりそうですね。

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