同じトレーナーの元、300ラウンドもスパーを重ねてきた練習仲間による、対極的なスタイルマッチです。デレビヤンチェンコに恐怖のファイターとしての魂が宿っていれば、アップセットは必然に起きるはずだ。
空位のIBFミドル級王座をかけて、元王者のダニエル・ジェイコブスは今週土曜日、セルゲイ・デレビヤンチェンコと戦う。その先のターゲットはビッグマネーのカネロだ。
ジェイコブス(34勝29KO2敗)は、プロで12勝10KOしかキャリアのないデレビヤンチェンコに対し優位性を主張する。
”ミラクルマン”と言われるジェイコブスは2011年に骨肉腫に見舞われ、19カ月の闘病生活を克服して復活した。ジェイコブス
「私はプロのリングでたくさんの経験を積んだ最強のミドル級ボクサーです。高いレベルで12ラウンドやってきた経験値やメンタルというアドバンテージがあります。私の銀行はそういうエネルギーに満ち溢れています。デレビヤンチェンコはプロでたったの12試合しかしていない。それが私の第二のアドバンテージになる。」ジェイコブスは2017年にゲナディ・ゴロフキンに敗れたが、ゴロフキンの連続KO記録をストップさせた。この試合に勝って来年のカネロ戦につなげたいと考えている。
しかし、セルゲイ・デレビヤンチェンコはジェイコブスをノックアウトするつもりだ。
デレビヤンチェンコ
「それが険しい道でも克服してみせよう。そのためにやってきたんだ。もちろん、いつも私がやっているように、早い回でびっくりするようなノックアウトができればいいけど、それはやらないつもりだ。そういう試合の方がエキサイティングでファンも喜ぶだろうけどね。実際、いつもノックアウトを狙っているわけじゃない。人生を賭けてトレーニングし、コンビネーションを打ちまくる。自動スイッチが入る。そうするとノックアウトは必然的に訪れるのさ。」カネロは今後、誰と戦うか言及していない。
プロモーターのオスカー・デラホーヤはジェイコブスやカラム・スミス、ジャモール・チャーロなどの可能性を示唆している。
最近のジェイコブスを観ていると、やはり米国トップアマ出身らしく、テクニカルでスピードがあり、自分がフィジカル優位だと強く巧い。しかし、ある一定以上のフィジカルやパワーを持つ相手になると、ビビり、弱気な面をみせる。スキルも高くパワーもあるが、打たれて脆い。
身長差がかなりある両者だが、デレビヤンチェンコの圧力やコンビネーションの迫力がジェイコブスの許容量を超えるようなら、圧倒的なノックアウト勝利でデレビヤンチェンコが勝つだろう。
ほとんどの対戦相手のようにジェイコブスのフィジカルに手を焼くようだと、この元王者を克服することはできないだろう。12戦という少ないキャリアでは戦車のような圧力をみせてきたデレビヤンチェンコが果たして一流なのかそうでないのか
ジェイコブスに怖さを与えられるか
自分が畏怖してしまうのか
ブルファイターのようでいて”テクニシャン”というニックネームを持つデレビヤンチェンコだが、淡々とスローペースの技術戦をやってはいけない。何度も何度も恐怖のアタックを仕掛けるべきだ。そうする事でジェイコブスの心をへし折れ。
それができるかどうかだ。