ロシアンボクサー好きだが、ロシア圏の選手にも色々なスタイルがある。
GGGやコバレフのような歴史を変えるようなパワーボクサーの他にも可能性を感じさせる選手は多くいる。
サーシャは無敗のまま、世界挑戦もせずに引退してしまったが、リコンドー以外のバンタム・Sバンタムなら確実に王者になれたのではないか?フルマーク判定で。
そしてGGGとの対戦から逃げずに準備中に背中を故障したピログ、全階級で一番好きだとおもった矢先、消えてしまった。
2012年あたりから怪我は治った、復帰するぜと言っていたが再発したようでもう復帰はかなり難しいかな。
フェイスブックの更新も止まっている。
ピログはGGGのような剛腕ファイターボクサーではなく、スピードも並だとおもうが、まるでスパーリングをしているかのように、多彩で角度のついたパンチを繰り出し、攻撃しながら防御も一体となっていた。相手のパンチに構わず右クロス、左ボディを平然とマシンのように打つことができる。ガードは高くあげず、L字ブロックを巧みに使う、メイウェザーと互角のL字ブロック職人だった。
右を打ったらそのままスイッチしサウスポーからの左ボディを入れたりする。
リングを横に使うのが抜群に上手かった。
ゴールデンチャイルド、ダニエル・ジェイコブス戦では、決着まで39-37と3者ともにジェイコブスリードだったそうだが、とんでもない。
初回から、ピログワールド全開でタイミングともに支配していたとおもう。
消えるまでのピログのスタイルに注文つけるところはなかったとおもう。
浜田さんもGGGより(ここまで活躍する前だが)ピログを推していたな。
最後の試合となってしまった石田戦、GGGに3ラウンドで敗れた石田からすれば「GGGは別格、怪物だ」という印象だが、ピログも石田にフルマークの一方的な勝利だ。無理して倒さずレッスンしたような完封劇だった。
GGGとの対戦は当時でも不利の予想がついただろうが、体格でもテクニックでもGGGを凌駕するスケール感もあったとおもう。
誰にでも臆することなくパンチを打ち分けることができる職人だった。
この試合決定は痺れ、全力でピログを応援してたのにな。
復帰は諦めていないようだが、もう練習も満足に出来ず、今では大学で有望な選手のサポートもしていたりするそうだ。
チャンピオンという称号は手に入れたが、悔いの残るキャリアだな。
昔、ハリー・サイモンというナミビアの世界王者が私生活のトラブルで無敗のまま消えたが、それと同じく高い確率でピログもこのままフェードアウトしそうだ。
(ハリー・サイモンは復帰し未だ無敗だが、2014年はファイトマネーが払われないとかで試合をキャンセルしている。再び浮上することはないだろう。もう43歳だし。)
ピログに勝ってスターへと大いに期待されたダニエル・ジェイコブスは脊椎の骨肉腫という難病を乗り越えてミドル級の王者になった。
(スーパー王者はGGGで正規王者)
戦績は28勝25KO
ピログに敗れた一敗だけと立派な数字だ。
今となってはジェイコブスの活躍を見守り、ピログがいかに強かったかを確認することしかできない。
まだ、無名で評価されていないジェイコブスのベルトだろうが、GGGなどとの対戦と今後の大活躍を期待し応援したい。
そしてまた、新たなセンセーションのロシアンボクサーを目撃したい。
[youtube]http://youtu.be/tjK-qXJDLmg[/youtube]