階級別 ミドル レジェンド

通じなかったメンチ切り/ウィリアム・ジョッピー

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ウィリアム・ジョッピー、日本人初のミドル級王者、竹原慎二からベルトを奪い、引退に追い込んだ因縁の王者だが、憎きとか悪い印象は全くない。やはりミドル級の王座はすごいんだなと感じただけだ。そんなジョッピーが竹原の事を振り返っています。

あの試合を最後に引退した竹原と対照的に、2度の王座獲得を含め、長くしぶとく活躍することになった。個人的に知らなかった新事実も含めどうぞ・・・

ウィリアム・ジョッピーは1990年代に2度のミドル級王者になる前、ドラッグ絡みの犯罪で過酷な刑務所暮らしを抜け出してきた。

1970年9月11日にメリーランド州シルバースプリングで生まれたジョッピーは3人兄弟の真ん中だった。

最初のボクシングの想い出は、父親と共にTVでモントリオール五輪をみた事だ。レオン、マイケルのスピンクス兄弟やシュガー・レイ・レナード、ハワード・デイビスを観て興奮した。

ジョッピー
「その時からボクシングを意識していました。ボクシングをしたかったけど他のチームスポーツをしていました。ボクシングには110%のエネルギーがいるとおもっていて、まだ自分には無理だと他のスポーツに夢中でした。」

ジョッピーの両親は離婚し、10代の彼の人生は悪化した。
傷害などで刑務所暮らしも経験した。

ジョッピー
「家庭崩壊でした。父親がいない生活は荒れてしまいました。父がいつも律してくれていた。父はまるで鬼軍曹のようでした。刑務所を出所すると近所は変わり果てていました。コカインが至る所にあってそれを売る事で生計を立てていた。仲間はみんな派手な服、靴、車にのって、私の生活も荒みました。18歳でドラッグをやり、強盗や傷害など悪事ばかりしていました。」

1989年、ジョッピーは車を盗み逮捕され再び刑務所に入る。1990年12月に出所して以来、未来の世界王者は2度と犯罪の世界に戻らないことを誓った。

ごみ処理場で働きながらボクシングジムに通った。アマチュアの試合に出始め、オリンピック予選まで進むが、後の五輪銀メダリストかつ世界ヘビー級王者のクリス・バードに敗れた。

1993年、プロに転向したジョッピーは静かに快進撃をはじめた。最初の2年半で19連勝を記録、1996年6月24日、横浜アリーナでWBA世界ミドル級王者竹原慎二に挑み、9回2分29秒TKO勝ちを収め、23戦目で無敗の世界王者となった。

https://www.youtube.com/watch?v=HCMHEATzon0

ジョッピー
「世界挑戦のために海を越え日本で戦えたことは素晴らしい経験でした。みんな竹原を応援していました。試合前レフリーの合図でリングで竹原と顔を合わせた時、彼はとてもナーバスにみえた。それが私のハートに火をつけた。覚悟が決まった。20時間以上かけて旅をしてきたんだ。手ぶらで帰るわけにはいかないと。」

2度の防衛に成功後、1997年8月ニューヨークのマジソンスクエアガーデンでフリオ・セサール・グリーンに判定負けを喫し、王座陥落と同時にプロ初黒星を喫した。翌年再戦でリベンジを果たし王座を奪還。

翌年、伝説の4階級王者、ロベルト・デュランを3回TKOで破り5度の防衛に成功する。

ジョッピー
「デュランは伝説でしたから勝ったのはうれしかったけど自分のヒーローでもあったから複雑だった。間違いなく彼はヒーローだがもはや私の時間だった。試合後にデュランは私たちのような世代に道を開いたと言いました。そんな伝説の男とリングを共有できて名誉な事でした。」

2001年、スーパースターのフェリックス・トリニダードに自身初のKO負けとなる5回2分25秒TKO負けを喫し、6度目の防衛に失敗し王座から陥落。しかし同年、ハワード・イーストマンに判定勝ちし3度目の王座に返り咲いた。

2002年10月10日、日本に再び登場し両国国技館で保住直孝と対戦し10回2分48秒TKO勝ち。

2003年12月13日、ボードウォーク・ホールでWBA・WBC・IBF世界ミドル級スーパー王者バーナード・ホプキンスとの王座統一戦に挑むが、12回0-3(109-119、108-119、109-118)の判定負けを喫し、保持していたWBA正規王座はWBAスーパー王座に吸収される形で空位となり、2年1ヵ月保持していた王座から陥落した。

その後8年間もキャリアを継続するも、往年の輝きを取り戻すことなく2011年引退。通算戦績40勝30KO7敗2分

ジョッピーは結婚し5人の子供とメリーランド州ニューキャロルトンに住んでいる。ジムでトレーナーとして働く傍ら、生徒のためにシャトルバスを運転している。若者たちのメンタリストとして教壇に立ち、Breakfast with Boxersという組織を結成しホームレスシェルターへの訪問活動などをしている。

ライバルについて

ベストジャブ 竹原慎二

背が高くリーチが長いアドバンテージがあった。竹原のジャブは私を悩ませた。4回か5回でやっとアジャストできた。キャリアを振り返ると竹原のジャブが最も効果的だった。

ベストディフェンス バーナード・ホプキンス

彼と戦った時、娘が死んで大変な時期だった。ホプキンスにはいいパンチを当てることができなかった。巧妙な男で、頭を使ってくるんだ。頭を肩で隠したままジャブを打ち続けてくる。竹原のようなジャブではないけど別の意味で狡猾なジャブだ。まぁいずれにしてもホプキンスのディフェンスは優れていた。

ハンドスピード ペーター・ベナンシオ

1997年にマイアミのココナッツ・グローブで戦った。ブラジル人だったけど12回判定だった。クロスファイトだった。タフで大変な試合だった。長い腕から猫のような素早いパンチを持っていた。スナップの効いたジャブとそれを右につなげるのが上手いテクニシャンだった。

フットワーク レイ・マッケルロイ

マッケルロイとベナンシオはいいフットワークを持っていた。ベナンシオとの闘いは激しいペース争いだった。牛じゃなく闘牛士のように戦った。しかしマッケルロイはもっと動きが速かった。セコンドはボディを打てといい俺は7回で奴を止めた。

ベストチン フリオ・セサール・グリーン

奴とは3回戦って最後はTKOで勝てたけど最初の2戦は違った。強靭な男だった。彼とは2回判定まで戦い抜いた。それは戦争だった。

スマート バーナード・ホプキンス

ホプキンスか竹原と言いたい。でも竹原はスピードがなかったから捉えることができた。ホプキンスにはリングジェネラルシップがありクレバーだった。

屈強 フリオ・セサール・グリーン

フリオ・セサール・グリーンが一番でペーター・ベナンシオが2番だ。クリンチやボディコンタクトでグリーンはとても屈強だった。フィジカルで押されまくった。決して彼のクリーンヒットをもらいたくなかった。

ベストパンチャー フェリックス・トリニダード

翌日になって発覚したんだけどトリニダードはバンテージに何かを仕込んでいた。それが発覚するまでは彼を尊敬していたのに。

ベストスキル ペーター・ベナンシオ

ジャブ、フットワーク、スリック、スタミナ、素晴らしい相手だった。最後まで息つく暇もなく戦い抜いた。

総合 バーナード・ホプキンス

彼はとても巧妙なんだ。ディフェンスが鍵だ。彼にはいいパンチを当てることができない。言い訳はしないけどフェリックス・トリニダードとの試合で俺のキャリアは低迷してしまったんだ。ホプキンスは全てを成し遂げた。彼は一元的なファイターじゃない。フリオ・セサール・グリーンのようなファイターは一元的なブル(闘牛)だ。ホプキンスは相手に合わせて切り替えることができるんだ。

日本人初のミドル級王者、竹原慎二が下した王者は当時98勝4敗という野獣のような熊男(ホルヘ・カストロ)だったが、やはりスリックな米国黒人の王道ミドル級であるウィリアム・ジョッピーは撃破できず、防衛はならなかった。これは村田諒太がロブ・ブラントに敗れたのと似ている。

重量級ではスピード、スリックさがまるで違う。
しかしそんなジョッピーは竹原の事を大いに評価していた。

ベストジャブ、スマートで竹原を選出している。
スマートでは僅差でホプキンスに譲ったが大変名誉なことだ。
そしてホプキンスはやはり難解不思議な名王者だ。多元的なのだそう。

そんなジョッピーをしても、一流王者には敵わず、二流相手には強く、一流半程度かなという印象だった。ホプキンスに通用しなかったトリニダードにミドル級は無理と言われたが、トリニダードはその他のミドル級やジョッピーには切れるパンチで圧倒していた。

この違いは何かとずっと気になっていたが、グローブ(バンテージ)に不正があったとは知らなかった。あまり糾弾されていない気がするが残念なニュースだ。あれでジョッピーは壊されたのではないか・・・あんな倒れ方をする男ではなかった。

I still felt it the next day, but then it comes up that he was illegally wrapping his hands. Before I found that out, I gave him my respect.

日本に来てくれるアメリカの本格黒人ボクサーは貴重だ。
ウィリアム・ジョッピーは殿堂入りクラスではないかもしれないが竹原の目をみて覚悟を決めたのだった。

竹原、ガチンコのようなメンチを切れなかったのか、アメリカ人に広島流は通じなかったのか・・・

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原始的で単純明快なスポーツです。生涯一度の敗北、無敗で引退したボクサーもいます。負けても次頑張りますというスポーツとは違う残酷さ、無常さが好きです。

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