
この試合が決まった時は原を応援しようと決めた。
勝ち負けを越えて、両者が成長できる偉大な試合だ。
両者アマチュア出身のホープだが、地道にキャリアを重ねてきた原に比べ
中部の星といわれる田中はまだ3戦。名古屋らしくキャリアを積ませず、たいした育成もせず最短記録狙いっぽい。
(石原、名城、向井とか、いたよなぁ)
原はここまで18戦全勝。日本と東洋を獲った。
層の薄い今のミニマム級ならば世界挑戦してもいいキャリアだ。相手次第で獲れそうでもある。
同じ大橋ジムで最短の井上に比べ慎重なのはまだ未熟な面があるからだろうか?
そんな立場にいる原にとって、田中は敢えてやらなくてもいい存在。
なのにこの挑戦を受けた心意気を買いたい。
かたや田中は明らかな天才系。
速くでシャープでキレ味抜群、一目でセンスがあることがわかる。
井上と比べても見劣りしない逸材だが、ちょっと見た感じだと硬いかな。
フットワークが少なく横の動きもない。硬直したボクシングという感じ。
この試合、正直識者であれば、天才的な田中が有利であるとすぐに感じたことだろう。
体格差も大きい。だからこそキャリアの原を応援していたのだが・・・
試合はみてないが激戦の末田中のレフリーストップ勝ちだったよう。
今日の深夜に中継があるらしい。
内容からして、デビュー戦から世界ランカーなど強硬路線ではあっても
原との戦いがもっとも厳しく今後の糧となる経験となっただろう。
日本人トップランカーの方が、出張中堅ランカーよりよっぽど骨がある。
しかしこの結果を経て、名古屋の田中は世界路線へと駒を進めるのだろうか?
井上の6戦という記録更新狙いだとしたら次が世界戦だ。
そして層の薄いミニマム級であれば戴冠も現実的だ。
しかし、本当にこれでいいのだろうか?
最短記録を更新し、名古屋にもボクシング熱を。
ニュースターの誕生を。
と鼻息は荒いだろうが、早い出世は結果として選手寿命を縮め、無限の可能性の芽を潰してしまう。
将来見込まれた利益より損失の方が大きくなってしまいかねない。
正直、田中というボクサーは、少なくとも、ミニマム級あたりでは勝ったり負けたり、あるいは原が相手であっても、接戦、苦戦するようなレベルの器ではない。
最上級の天才だということは見る人がみればわかる。
そんな若者をどう導くのか
過去、ロクな育成をしていない、名古屋あたりのジムには嫌悪、違和感しかなく、個人的には不安が尽きない。
最短記録なんてワシル・ロマチェンコのような偉大なアマチュアに与えられるべきボーナスに過ぎない。
あとは運がよかったか、恵まれていただけ。
リカルドロペスのような防衛記録、長い現役生活、生涯無敗といった偉大な足跡こそが唯一語り継がれる真の記録である。