賢者の哲学/アンジェロ・レオVSトラメイン・ウィリアムスとその後

これからの24時間のために、人生の全て、あるいは3分の2をかけてきたんだ。

トラメイン・ウィリアムスは突然舞い降りた世界タイトルマッチを歓迎しているが、本来資格のあったステフォン・フルトンに申し訳ない気持ちを抱かずにはいられない。ウィリアムズは世界戦のチャンス掴むことがどんなに困難かを知っている。

自分がフルトンの代わりにその機会を得ることに感謝しつつ、COVID-19の陽性反応でこのチャンスを逃したフルトンの辛い気持ちを察している。

ウィリアムズ
「ステフォン・フルトンはこの世界タイトルのために8週間特訓を行ってきた。生涯それ(世界戦)を夢見てきた。今回、その機会を得られなかったので、彼の気持ちは察するに余り有る。自分も世界戦を夢見てきたから、ラッキーだったと言わなければ嘘になるけど。」

27歳のウィリアムズ(19-0, 6 KO, 1 NC)は土曜日の夜、アンジェロ・レオの対戦相手としてフルトンに代わって登場する。フルトン(18勝0敗8KO)は水曜日の早い段階でCOVID-19の陽性反応が出ていた。

Showtimeは、コネチカット州アンカスビルのモヒガン・サン・アリーナで土曜日の夜に行われる。トリプルヘッダーのメインイベントとして、レオVSウィリアムズを放映する(午後9時、東部標準時/6時、PT)。ウィリアムズは、当初、無敗のライーゼ・アリーム (16-0, 10 KOs) と前座で対戦する予定だった。アリームは、代わりにマーカス・ベイツ (11-1-1-1, 8 KOs) と戦うことになった。

ウィリアムズ
「チャンスはなかなか来るものじゃないから、来たらドアを開けなければならない。準備をしてリスクを冒して真っ先に飛び込むんだ。」

ニューメキシコ州アルバカーキに住む26歳のレオ(19勝9KO)は、WBOのスーパーバンタム級で2位にランクされている。ウィリアムズはWBO6位につけている。

ウィリアムズ
「レオは世界タイトルを獲得しようと執念を燃やしている。才能のあるファイターで、19勝0敗、まともなファイターを何人か倒している。簡単にはいかないだろうが、俺には準備ができている。」

コネチカット州ニューヘイブン出身の腕利きサウスポーは、フロイド・メイウェザーがプロモートしているレオを、ラスベガスのライーゼ・アリームよりも脅威だと考えている。

ウィリアムズ
「彼は鋭いファイターだ。準備も最高だろう。まともなボディショットを持っている。 しかし我々は全てを奪うつもりだ。突然のタイトル戦に不安はない。ずっと準備してきたんだ。9、10歳の時からここを目指してボクシングをやってきた。これからの24時間のために、人生の全て、あるいは3分の2をかけてきたんだ。」

ステフォン・フルトンが回復すれば、レオVSウィリアムズの勝者と戦うことになるだろう。WBOの承認が下りれば、その試合は土曜の夜の戦いから180日以内に行われるはずだ。

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これだけ読むと度重なる犯罪で裏街道を余儀なくされてきたトラメイン・ウィリアムス、いい奴じゃないか。

ステフォン・ヤングがノニト・ドネアに破壊された試合が代役では記憶に新しいが、あれがヤングじゃなくてギジェルモ・リゴンドーやジョン・リエル・カシメロだったらどうなっていたのだろう?とおもってしまうくらいの、カシメロVSテテの内容だった。

代役挑戦でうまくいった試しは少ないとおもうが、古くはマニー・パッキャオの快進撃も代役挑戦が始まりだった。

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最近ではアンドリュー・モロニーを破ってスーパーフライに新風を巻き込んだジョシュア・フランコ、井上戦まであと一歩のジョシュア・グリーを破ったマイク・プラニアも代役というか急遽相手変更のような形だった。しかしそれぞれに(勝つべく)理由はあった。

アンジェロ・レオをあまり詳しくみてきたわけではないが、ドネアやドッグボゥや岩佐と戦ったセサール・ファレスをノックアウトした試合は、同じアルバカーキのジョニー・タピア並の諦めない気持ちの強さと粘りを感じたが、タピアほどのテクニシャンではなく、いわゆる典型的なメキシコスタイルにアメリカナイズが加味されたようなファイターという印象だ。

一方のトラメイン・ウィリアムスは、ゲイリー・ラッセルばりの俊敏、快速テクニシャンだが、己の才能に溺れ、沈むような部分もみえる。

これはいわゆる「賢者の哲学」ファイトと言える。

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メキシコ人やメキシコ系アメリカ人のファンにアピールするためには、メキシコの有望なプロスペクトをスピードのある優秀な黒人のサウスポーと組ませるのは避けるべきだ

アンジェロ・レオは、ラファエル・マルケスやバレラやモラレスのような強い意志と激しさで、スリックな天才黒人ファイターに打ち克つのだろうか?
(シルバーグローブリージョナル王者3回、シルバーグローブ王者5回、ジュニアゴールデングローブ王者など。アマ戦績は65勝10敗)

トラメイン・ウィリアムスはゲイリー・ラッセル並に油断せず集中力を維持できるか、しつこいプレスを捌けるのか。
(10回の全国アマチュア王者、2回のリングサイドワールド王者、4回のシルバーグローブ王者、PALナショナル王者、およびジュニアゴールデングローブ王者を獲得し、アマ戦績97勝10敗)

ランキングも人気も期待値もアンジェロ・レオの方が高いとおもわれるが、前戦、イニフェル・ビセンテのダーティーなファイトに対し、決して見栄えはよくなく辛勝だったが、捌ききったトラメイン・ウィリアムスにボクサーとしての完成度の高さを感じる。油断せず、遊びを入れず、集中しきれば、例え退屈な試合になっても、その方がかえってウィリアムスの勝機が増すだろう。

歴史とストーリーを踏まえるとレオが勝ち、ダークヒーロー誕生となるとウィリアムズが勝つ。この試合は本物が結果を出すべきだ。

フルトンは気の毒だが、次のチャンスを確実に手にして欲しい。
勝者に挑戦予定だったマイケル・コンランは後回しでいい。

ライーゼ・アリームVSマーカス・ベイツはエリミネーターだというが、本当に履行されるのだろうか?

順番はどうなるのだろう?
地味に興味深い。

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