Peace Breaker「破局」/フアン・カルロス・パヤノ

両者ともに好漢、好印象、根性勝負の長い夜になりそうだ。どうか勝者が無事に世界挑戦できますように。

今年の夏こそ、バンタム級で2度目のタイトル再挑戦をしたいとフアン・カルロス・パヤノは考えていた。

しかし、それがうまくいかなかったとき、彼は階級を上げてタイトル再挑戦に向けて動き出すことにした。そしておそらく、より危険な相手を選ぶことにした。

2度のドミニカ共和国のオリンピック選手であり、元バンタム級の世界王者でもあるパヤノは、元スーパーバンタム級統一王者のダニエル・ローマンとのデンジャラスな戦いに向けて体重を増やしている。

彼らの試合はWBCスーパーバンタム級のエリミネーターで、ルイス・ネリー(30-0, 24KOs)とアーロン・アラメダ(25-0, 13KOs)の勝者の次の潜在的な対戦相手として同じショータイム・ペイパービューイベントで行われる。

パヤノ
「勝つことで王座奪還につながる。すべてが一つの屋根の下で行われるのは良いことだ。」

パヤノは昨年7月にラスベガスでネリーに9ラウンドノックアウト負けを喫して以来、試合をしていない。この試合がバンタム級での最後の試合となった。パヤノは36歳のドミニカ共和国出身のサウスポーで、現在はマイアミに住んでいるが、2014年9月にアンセルモ・モレノにテクニカル・ディシジョンで勝利したのを皮切りに、約2年間ベルトを保持していた。

2016年6月の再戦でラウシー・ウォーレンに僅差の敗北を喫し、タイトル保持に終止符が打たれ、それ以降は過去6試合のうち4試合に勝利している一方で、過去3戦のうち2戦は敗退している。

当初の計画では、パヤノはこの夏の初めにフィリピンのレイマート・ガバリョと暫定王座をかけて対戦することになっていたが、この試合は日の目を見ることはなかった。その代わりに、4ポンド上でローマン(27-3-1, 10KOs)と対戦することになった。ロサンゼルスのネイティブ、ローマンは、1月にムロジョン・アフマダリエフと戦い、12ラウンドのスプリットディシジョンで統一王座を失った。

言うまでもなく、両者はタイトル戦に生き残りをかけるだけでなく、この日の一連の流れに乗るためにも勝利を必要としている。

パヤノ
「元世界王者に勝利することは私のキャリアにとって意味があることだ。ローマンにも同じことが言える。彼は元統一王者だから、もちろんいい選手だ。紙面では、この対戦は戦争と言われている。だから、戦争する覚悟で来ている。勝てば世界戦に行けるし、そこに行くためなら何でもする。」

日本には(このブログには)パヤノさんファンが多い。

おもえば、パヤノのキャリアは波乱万丈で、昔は亀田①の指名挑戦者として名が出たことがあるが、五輪2度出場のホンモノが来日することは決してなかった。

当時WBAで長期政権を築いていたアンセルモ・モレノから負傷判定ながらもベルトを奪還した時は山中のライバルといえそうな凄みがあった。しかし、自分の鏡、あるいはその上をいく五輪3度出場のラウシー・ウォーレンがライバルとなり、モレノのような長い防衛を楽しむことなく、ドミニカ人にとっては貴重な王座を短命で終えた。

ノンタイトルでもなかなか険しい相手に勝ち続け、掴んだWBSSへの出場で歴史に残るノックアウトで井上尚弥に敗北。

そこからは、今まで以上に、誰とでも、どんな相手も引き受けてチャンスを追いかけている。相手はみんな井上に傷つけられたパヤノはもう過去のファイターだと考えているのだ。

若手のダミアン・バスケスの連勝記録を止めて矜持を示すも、ルイス・ネリーにノックアウト負け。あの試合はポイントではパヤノリードだったかもしれない。しかしネリーの不気味なプレスと後ろ重心なディフェンスを前にダメージを与えることが出来なかった。逆にパヤノはボディ一撃で悶絶したが、強烈すぎるボディだったのに加えて元々あばらを痛めていたという説もある。

https://www.youtube.com/watch?v=QfFTgSJAjyA

完全にゲートキーパーと化したパヤノは本来、将来性豊かなハードパンチャー、レイマート・ガバリョと戦う予定だった。この試合もパヤノらしい、アンダードッグを引き受ける逞しさを感じた。

結局、9月26日、元2冠王者のダニエル・ローマンと1階級上げてのエリミネーターが決まった。険しい道のりに変わりはないが、タイトル戦に近いという意味では幸運ともいえるかもしれない。

そしてまた、ダニエル・ローマンも好漢なのだ。久保、松本戦ではわからないが、異様な粘り、地味ながらも完成度高く、精神力も逞しく、難攻不落の名王者に進化しかけていた。

この試合の予想は、1階級上の現実、フィジカルやタフネスが両者でどれだけ違うのかだ。スキル勝負であれば、フアン・カルロス・パヤノにも十分勝機がありそうだが、ローマンはベテランのパヤノが苦手そうなスタミナ、タフネス、ボディ攻撃を得意とする。

根性勝負の長い夜になりそうだ。

どうか勝者が無事に世界挑戦できますように。

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