アンドレ・ウォードVSセルゲイ・コバレフ、岩佐VSロサ

もう週末に迫ってきました。
日本に縁遠い階級なので盛り上がりは微妙でしょうが、ボクシング界にとっては最重要な試合ともいえます。

セルゲイ・コバレフ
30勝26KO1分

ご存じ統一王者。たぶんヘビー級でも通用するパワーの持ち主。
左ジャブKOをみせたりする。
しかも、パワーファイターではなくアウトボックスも上手い。大人な試合運びが達者。
超曲者のバーナード・ホプキンスも明確に下した。

パワー差が顕著だったが、技術でも互角以上だったなぁ。
P4P上位に評価される超超剛腕

アンドレ・ウォード
30勝15KO

https://youtu.be/FAzb-vuG75A

元Sミドル級統一王者。アテネ金。アメリカ人の金メダルはこの人以降出ていないのでは?
メイウェザーと並び評されるにふさわしい実力者だが、顔もスタイルも地味。試合枯れ傾向で人気はさっぱり。
相手がおらずLヘビーに上がり強豪相手にも安定した試合を続けてきた。

それぞれ、ボクシング界を代表する無敗同士の決戦。
マニア予想では適正階級で突き抜けた怪力をみせるコバレフ有利なのかな?
なんといってもホプキンスが通じなかったしなぁ。12ラウンド立ってるだけで精一杯だった。

しかしあえて、この試合、自分はウォードを推す。
ウォードが負けると、スティーブンソンのような隙間王者は君臨しても、この階級は実質ロシア圏のものとなってしまう。
コバレフ以外にも屈強な選手が多数おり、米国黒人系とは質が違う。アマでもそういう構図になっている。

ウォードを推す理由

共に、共通の対戦相手にダーネル・ブーンという黒人雑草選手がいる。
23勝23敗というかませボクサーだが、コバレフにスプリット、ウォードから効いたダウンを奪っている。
この人がスティーブンソンに唯一黒星つけた選手だ。
こういう曲者には共に苦労しているが、明白に勝ったのはウォードの方であろう。ダウン以外は。

大きさもパワーも感じないが、元々ウォードはアマではLヘビーで金メダルをとっており、コバレフと体格は変わらない。
リーチと肉厚で小さくみえるだろうが。

そしてスピード差。コバレフも速いがウォードはもっと速い。
スーパー6では英国のヒーロー、カール・フロッチをよせつけず

「あまりに遅いので驚いた」というほどの完勝であった。

そして一番はインテリジェンス

いきなりコバレフに挑むのではなく、階段を踏んできた。Lヘビーのホープたちをウォードらしくさばいてきた。
もうLヘビーの王者になれる資格は十分だ。

ある程度の距離をキープし、自分だけ当てて当てさせない。常に動き的を絞らせない。
ウォードが勝つには恐らく判定だろう。自由にかく乱できると信じる。

一方で、パワー自慢だけでなく上手さもクレバーさもあるコバレフ。
しかしそういう試合ができるのは下地に絶対的な破壊力があるからだ。

階級では随一のパワーを誇るが空転したらスタミナを失うだけ。
強すぎる怪物王者だが、前戦、チレンバ戦では判定にとどまった。彼に判定は似合わない。

そして過去、効いたり、負けそうになった経験はあるのだ。
カウンターを食えば効きやすい。

ここだけがGGGとは違うところだとおもう。
どこか内山的な強さなのだ。

と、ウォードが勝つ根拠を探して書いたが、やっぱりコバレフのパワーは怖い。
ウォードが負けちゃうともう米国勢に未来はないと感じるので、最後の砦としての期待を込めての予想だ。
この男はメイウェザー並に負けないインテリジェンスがあるのでは?
そしてよく見るとメイウェザーよりは面白い試合をしてますよ。

岩佐VSロサ

20日とあるがほぼ同日だろう。
どういう結果もありうる試合だが、岩佐にとってはラストチャンスに近い。

https://youtu.be/DzmYBp69xO4
https://youtu.be/FTbbq6F6YQs

左右にスイッチするが、小柄なファイター寄りにみえるロサ。優秀なアマだったっぽい。
全勝だがこのスタイルでKO率が5割ないのはちょっと疑問だ。
ニックネームは "KO KING" だそうだが・・・
ずんぐりしてるので耐久力もあるだろう。

少なくともロサのスタイルからして試合はかみ合ったものになるだろう。
体力は断然ロサが上にみえる。このファイターを倒す、あるいは10ラウンド?コントロールできるだろうか?
自信に満ち溢れるのはいいが、押されたり、食ったら負ける、倒されると想定すべきだ。
さばいたつもりでも判定になるとどう評価されるかわからない。
日本のリングの格下のようにコロコロ倒れる相手じゃない。

山中がモレノ戦で魅せたような左でも右でもいいから倒し切る踏み込みが必要だ。
スピードと逃げ足だけでは頼りない。

日本ではシャープなカウンターパンチャーともいえる岩佐だが、世界の舞台ではそれを証明していない。
線が細く脆い選手というだけだ。それを払しょくできるかどうか。

ハスキンス戦の出来だと負けるだろう。
でもロサは王者の器ではない。未満だ。

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コメント一覧
  1. はじめてコメントさせていただきます。いつも更新を楽しみにしています。コバレフ×ウォードは久しぶりにワクワクするカードですね。僕はウォードが捌くのではと期待込みでおもっています。コバレフのテクニックも素晴らしいのですがパワーを技術が凌駕するのもボクシングの醍醐味のひとつかと。どっちが勝ってもこの先にありそうなベテルビエフ戦は楽しめそうなので消化不良の試合にならないことを祈ります。

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  2. RICEさん

    メイ-パックより互いが旬ですからね。
    両者の優位性が極端な差となって
    一方的な試合になるかもしれませんね。

    燭台切さん

    宣伝などする気はないですよ。
    仕事じゃないですから。

    好きな事、思った事書いてるだけです。

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  3. 縁遠くても宣伝すればいいと思いますよ。競技は違いますがK-1は重量級も人気ありましたし。
    根拠なきってことはないと思います。積み上げてきたものから来る自信でしょう。
    自信を付けるため、調整として格下と戦うのはいいですが、それだけでは駄目ですね。格下相手してそこから王者になって証明したのもいるにはいます。
    世界は広いが、ピンキリですよ。こっちより弱いのもまた多い。強いのがいたら挑むのがボクシングですし上がいるのは知っていると思います。勝ちたいとも思っているでしょう。

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  4. 自分の中ではメイVSパック以来のビッグマッチです。
    個人的には、GGGとウォードがキャッチウェイトで戦ったらいつもの完封劇でウォード、ウォードとコバレフなら硬質さ、デカさ距離でコバレフな気がしていました。

    いずれにせよ、エキサイティングな試合というよりは、いずれかの優位性が一方的にでる展開になる気がしています。

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  5. しんたさん

    ウォード推しにしましたが
    多分に幻想を含んだもので
    一番現実的に浮かぶ絵はホプキンスと同じく
    パワーにタジタジというのが正直なところです。

    自分のスピードとリズムでコバレフをコントロールできるなら
    偉大なボクサーですね。

    コバレフもこれほど大きな試合、相手ははじめてなんで
    相手に敬意を表してるし緊張してるっぽいです。

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  6. 私もウォード推しです。というか、コバレフが勝つ絵が浮かびません。S6以降、錚々たるトップファイターに完勝したイメージが等身大以上なのかもしれませんが、プクーさんの仰る通りスピードが違く、コバレフのパンチは当たらないでしょう。ウォードが撃ち合っていいの貰ったとしても、インテリジェンスでその後コントロールできるのがウォードの強みですね。

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  7. コバレフは怪力なので、空振りでも身体がぶつかっただけでも相手はよろけてしまうようなところがありますね。
    そういう全身に漲る分厚さにウォードが当たり負けするようだと危ういですね。

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  8. マイティさん

    あまり評価してないですが
    左の威嚇だけで十分強いしだれでも倒せるパンチだとおもいます。
    ゴリラーマン。

    もう40歳近いのであまり多くを望まないことにしてます。

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  9. 一瞬のマ夏さん

    岩佐がまたKO負けするようなことがあれば
    国内で格下アジアに鮮やかに勝ってきてもなんの意味もないことの証明になってしまいますね。
    ジムの力で日本で王者を選んで開催するなら別ですが。

    コバレフがやばいのは重々承知ですが、ウォードだけはあの強打をはずす、かいくぐる事ができるはずというもはや願望です。
    コバレフ嫌いじゃないけど。

    うっちーさん

    コバレフは超プロ向きだったんだろうとおもいます。
    けれど村田が2度勝ったアトエフにヘッドギア越しにノックアウトされたアマの試合を見てるんで
    無敵じゃないだろというイメージがどうしてもあって。
    まぁアトエフもアマ世界王者ですが。

    あなさん

    相当玄人な視点ですね。
    一方的になりそう、それも十分考えられますね。
    コバレフのパワーだけじゃない上手さを前にしたら
    ウォードの職人的なごまかしテクが無効化されてしまうかもしれません。

    個人的には最終決戦として、歴史を多少しっているので

    ロシアVSチェチェン

    コバレフVSベテルビエフ

    が観てみたいです。

    そして、より苦悩の歴史を背負うチェチェンのベテルビエフに勝ってもらいたい。
    これは戦争ですね。

    八さん

    ロシア人ってゴツイボクシングするわりに左右が柔軟なんですよね。
    右空振ってもジャブとはいえない左ストレートが槍のように出せる。
    射程も長い。トロヤノフスキーもそうでした。
    コバレフのパンチはかすっただけでやばいですからね。

    ウォードはいなし、ごまかし、さばきの達人だとおもいますが
    かすめただけで倒されそうな怖さはあります。
    しかし現役最高峰の職人ボクサーの匠を堪能したいです。

    岩佐に限らず日本人は根拠なき自信に満ち溢れています。
    けれど、たしかに強いが、あんたが倒してきたのは雑魚ばかりだから。
    世界にはもっとすごいのたくさんいるから

    とどこかに謙虚さをもってないと、日本でやってたボクシングが通じず惨敗ってなことも。

    一度経験してるんで、そこは大丈夫かな。

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  10. 気がついたら、すっかりスティーブンソンが空気な存在になってて驚きですわ…

    もし、ホプさんに続いてSOGまで撃破されたら技術戦では誰もコバレフに敵わない事になってしまいますね。

    日和見して空気になってる場合じゃ無いよスーパーマン。

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  11. 確かにコバレフのパンチはまたGGGとは違う物がありますね。
    内山のように打たれたら効く、と言われますが、
    パンチの質も槍で"突く"ようでそこも似ている?かも。
    ただ力みのないフックは断然コバレフが凄いですね。ストレートも怖いですが、
    このフックがあるために対戦相手はますます厄介に感じるのではないでしょうか。

    そしてウォードがこれを外しながらポイントを拾っていけるか。
    フロッチのようなちょい変則的でパンチの軌道が読みにくくても大抵を外し、
    クリティカルヒットを許さないウォードはやはり凄い。
    タイミングを図って打つのが上手いコバレフもウォードのディフェンスには相当苦労してしまう
    と踏んでおきます。

    岩佐は厳しい戦いになりそうな気がしますね。
    あの痛いイギリス体験があってもそれと同等の糧を積んできたとは言えず。
    やはりロープに押し込まれて綺麗な一発をもらって沈む。
    ままある日本人チャレンジャーと同じ道を歩むと予想します。
    中途半端なスピードや上手さじゃこのタフな相手には勝てないでしょう。

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  12. 顔も知名度も、そして試合内容もコバレフの対応次第では地味で全く人気的には冴えないですが両者の純粋な力量と期待される手数的には史上で指折りされるべき好勝負だと思います メイパックと違い劣化もない 願わくばロイトニーみたいメイパックみたいな体調不良とかでケチがつくことなくしっかり白黒つけてほしいですねー
    試合展望としてはマ夏さんと同じでどちらにしても一方的な試合になると予想します
    ただ自分としてはコバレフ推しでウォードの強さは多分にクリンチやプッシングにかかってる(この技術自体はロマゴンやロマチェンコみたいな砂糖選手もよく使うけど、戦術的に能動的に使うのは有名どころだとウォードとホプとか)
    レフェリングのホールド優遇などの恩恵を受けるものでウォードが勝つと今後ますます防御偏重になっていくと予想します 加えて手数や攻撃自体はメイなどよりも見られるがリングジェネラルシップの取り方が相手の出鼻を挫くといった形の正真正銘の塩選手なのでやはり好きにはなれないですね
    個人的にはコバレフが勝ったなら後にベテルビエフに勝って(フィジカル的には同じくらいですが適正距離が違いかつベテルビエフ側にウォードのような踏み込みがないのでコバレフ圧倒的有利と見てます)、ウォード側が勝ったならキャッチでゴロフキン戸谷ってほしいですねー(ゴロフキンの方が適正距離が近いので相性的にはコバレフより苦労しそうです)名前をうってほしいです
    しかしコバレフのあの怪力はどこから来てるのか… ヘビーでもないのに 当日計量とかだとどうなんでしょうかね話題になりませんが 体幹の細さをみるにつけタイソンみたく骨格・内臓は細く筋肉量が多いタイプなのかな

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  13. ある意味、今年最大のカードかもしれないですね
    ウォードvsコバレフ
    僕はハッキリと予想できないですが、やっぱりKOでコバレフ、判定でウォードなのが妥当ですかね

    岩佐、ハスキンス戦は多少自滅した印象もありましたが、それを含めて実力ですからね
    この試練をどうにか乗り越えて欲しいものです

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  14. 岩佐、全く同感です。ただSバンタムに上げて良かったような印象もあります。このレベルにKO出来れば(出来ないとダメとも言いますが)王者が見えてきます。
    岩佐は王者になって不思議じゃないと思います。捌いてカウンターあるいは判定ではなくかみ合ってのカウンターを期待です。
    さて本題。全く悩ましいですね。管理人さんのおかげ?かロシア圏をよく見るようになってましたが(笑)、これは悩ましいです。ウォード、Lヘビーにきっちりアジャストしているんですよねぇ。そして速い。
    予想は難しいですが、序盤にコバレフがロングレンジ~ミドルレンジをキープしてウォードが中に入れなければ圧倒的にコバレフ。逆にジャブの差し合いをウォードが上手くやり過ごしクロスレンジに楽に出入りするならディフェンスが上手いといえないコバレフは厳しくウォードが組んで打つ離れ際に打つ(これが上手い!そして集中力)打たずに組んだりと好き放題にされる可能性もあります。それ位速いし上手いです。持論ですが他の格闘技と違いボクシングは12Rという長丁場。管理人さんの仰るインテリジェンスの部分が大きな意味を持ちます。KOパンチャーが注目されますがそれをきっちり受けてボクシングスキルで先手先手で捌き切るのを見たいですね。でもたった1発でそれをひっくり返せるのもまたボクシングの魅力。う~ん。ウォードが捌きまくって判定勝利かと思ったところを8R位にウォードの強打への集中力が途切れたところへコバレフのロングからの右ストレート空振りも上体だけの返しの左が当たってしまうような、、、。やっぱりコバレフですかねぇ。内容はウォードも1発で形勢逆転で終盤TKOでコバレフ。。。素人っぽい見たい願望予想でした。長文失礼いたしました。

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