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7勝4敗からの物語/テビン・ファーマーVS尾川堅一

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ボクシングの非情な結末のみがカタルシスで、サイドストーリーにあまり興味はないが、アマチュアエリートが益々幅を利かせるプロボクシングにあって、この試合はストーリーが重要なのだろう。だからファーマーは「アメリカンアイドル」と呼ばれているのだろう。

戦績や掛け率によって世界王座に相応しいかどうか予想する事に逆らうのはファイターの決まり文句ですが、ファーマーの場合、それが当てはまります。

銀の匙で生まれた(裕福な)男を応援するのはつまらない。特にボクシングにおいては苦労やハングリーさがもてはやされてきました。しかし、どこからともなく現れて、独力でキャリアを築きあげた聞きなれないファイターがいたとしたら、それがまさしくテビン・ファーマーです。

フィラデルフィア出身のこの男は19歳の時、弟をジムに連れてくるまでボクシングとは無縁でした。2011年、わずか2年でプロになり、デビュー戦は敗北しました。2012年、後の世界王者、ホセ・ペドラサに負けるまで7勝4敗1分。無敗記録を過大評価するボクシングにおいて、その将来は暗いものでしたが、ファーマーは悲観的になるよりはむしろ、自分を再開発しボクシングに打ち込むことに決めました。

ファーマー
「私はまじめではありませんでした。2日に1度ジムに行き、10日空けることもありました。ペドラサに負けた時に全てのスイッチが入りました。」

それから、彼はボクシングに対する取り組みを変えて18連勝しこのチャンスを手にすることろまで来ました。ひどい戦績のボクサーを見捨てなかったチームに恵まれた事は幸運です。彼の冴えない戦績が偉大な結果を残すことに何も意味を成さない事を証明する時です。

ファーマーにとっては、彼の記録は彼がどこから来たのかというサインです。
今、彼が逆境に打ち勝たねばならぬ理由がここにあります。

2017年は試練の時でした。試合で上腕二頭筋を損傷し、近所トラブルで右手を撃たれました。幸い、弾丸は貫通し手術を必要としないものでしたが、もう2度とボクシングは出来ないと言われました。しかしファーマーはボクシングを諦めるのではなくより真剣に取り組みました。手を閉じることが出来るようになるまで4週間のリハビリが必要でしたが、12月9日のチャンスへの準備を整えました。

ファーマー
「物事には導きというか、説明できない理由があるようにおもいます。一度も不平を言わず、ただジムに戻ってトレーニングに励みました。」

ファーマーは尾川の事をよく知らないので、尾川が戦績通りの強いボクサーであることを望んでいます。

ファーマー
「映像で尾川を観ました。彼はファイターです。直線的で下がる事を知りません。けれどそれが私が知っている尾川の全てです。」

ファーマーは5KOしかありませんが、彼が限界まで戦っていなかったから、手を抜いていただけだといいます。その意味で尾川がファーマーを限界まで追い詰め、底を引き出してくれるような戦いをしてくれたらといいます。

ファーマー
「これまで、私が戦ってきた中で自分を困らせるほど手ごわい相手はいませんでした。私は試合を通じてクルージングしていただけです。尾川が手ごわい選手であることを願っています。今までパワーを過小評価していました。それで勝てていたので必要ありませんでした。今も必要を感じていません。しかし、ピンチに陥るような苦境がそこにあるなら、自身に宿るパワーを引き出す事もあるでしょう。」

尾川がファーマーを困難な状況に追い込むかどうかは別として、ファーマーは王者になることでしょう。そうなればSNSで論争となっている、ファーマーとメイウェザープロモーションの秘蔵っ子、ゲルボンタ・デービスとの確執にひとつの結論がもたらされるでしょう。

ファーマー
「2014年くらいから、ゲルボンタの対戦相手として自分の名前が出てきました。私は彼を知らなかったので無視していました。ゲルボンタはファーマーと戦うと言いました。それ以来ずっとそんな状況です。私は彼と関わったこともありません。今まで皆と上手くやっていましたから驚きです。もし、誰かが私の事が嫌いで、私も彼らが嫌いな状況などあるのだろうか、自問しました。そして、恐らく、彼らは私の事が嫌いなのだろうと自答しました。彼は22歳、私は27歳です。何も心配していないし気にすることでもありません。」

なぜ、そのような確執にファーマーが巻き込まれたのかわかりませんが、ファーマーが集中しているのは目の前の試合だけです。7勝4敗のボクサーが世界王者になるストーリーです。

ファーマー
「来年は年に3試合はしたいです。相手を選ぶのは私の仕事ではありません。相手が、私を選ぶのです。王者になればそれが当たり前です。私は落ち着いて、挑戦を待つだけでいいのです。」

他に書きたい事がないというか、三浦に続いて日本人が挑む試合であるから?ファーマーの記事ばかり書いてしまいました。本音は尾川に勝って欲しいけどファーマーの方が強いんじゃないかといったところです。ファーマーがパワーレスなのか、そういうスタイルだけなのかはわかりません。

今時珍しい雑草たたき上げのストーリーは本場アメリカでも注目されているようです。
写真を見ると、大柄ともいえない尾川に比べてもかなり小さく、このマッチョな体でパワーレスはおかしいとおもいますが、なにより食わないゲームボクシングの申し子スタイルだから、倒すスイッチがないのだろう。尾川は逆に倒すスイッチだけのボクシングです。

最後の言葉をみると、今まで試合を組むのに苦労したのかな?
だからひどい戦績でホセ・ペドラサとやらされたりしたんだろうな。

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原始的で単純明快なスポーツです。生涯一度の敗北、無敗で引退したボクサーもいます。負けても次頑張りますというスポーツとは違う残酷さ、無常さが好きです。

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