アメリカンアイドル/伊藤雅雪VSジャメル・ヘリングorミゲル・ベルチェルト

アメリカンアイドルというニックネームのボクサーにはテビン・ファーマーがいるけれど、伊藤雅雪にこそ相応しいとおもわれる。年末に日本でその姿が全国にお披露目され、甘いマスクで人気は確実に上がっただろうけど、本場米国でも熱い視線を浴びている。評価と人気のバランス、本人の志向的にはまさにアメリカンアイドルだ。

12月30日、「The TRIPLE」のメインを務めた伊藤雅雪の初防衛戦、無敗のロシアの指名挑戦者、エフゲニー・チュプラコフに対して予想よりもはるかに一方的な内容で伊藤は初防衛に成功した。

トップランクのボブ・アラムは伊藤雅雪を祝福するとともに、伊藤の次戦の対戦相手を潜在的に示唆した。昨年、フィリピンの若手ホープ、ビンセント・モラルデに判定勝利したジャメル・ヘリング(19勝10KO2敗)がその相手です。現時点でヘリングはWBOのランキングに入っていないが、近いうちにランク入りしてくるだろう。

伊藤はWBC王者のミゲル・ベルチェルトとの試合を望んでいると発言したが、ボブ・アラムにとっても伊藤は注目に値する選手であり、米国で再び戦うことを期待されている。

翻訳ではなく、要点をまとめました。
そういえば、ランクにみあたらななくともジャメル・ヘリングという選手がいました。2敗してトップホープの位置から外れていますが、オリンピック米国代表の33歳です。イラク派遣で五輪行きを遠回りしたほどの、それはそれはすごいアマキャリアがあります。

海軍出身だかで、ファイティングマリーンとして米国でとてもストーリーと人気のある選手のようでした。プロではデニス・シャフィコフにKOされています。

178センチの長身サウスポーでテクニックがありますが、爆発力がなく地味な印象です。同じ五輪組でホセ・ラミレスの興行で人気者ぶりを発揮していましたが、試合は眠いものでした。

前戦は、ブラジルのドスサントスに危なげない判定勝利でしたが、ドスサントスも最後まで元気でした。
(ジェシー・マグダレノに倒され、マイケル・コンランにも負けたけどピンピンしていた選手)

本来、ライト級あたりでもやってきた大柄でテクニカルなサウスポーで、ダニエル・ジェイコブスとの対戦歴もありますが、今の伊藤の勢いには敵わないとおもいます。

それにしても、年末は井岡VSニエテスが私的MVPですが、伊藤VSチュプラコフも後を引きずる試合になりました。何がって、チュプラコフの出来があまりにも悪く、双子の別人かというほどひどかったからです。

https://www.youtube.com/watch?v=IFbN2fYgUCI

速くストレート系のいい伊藤に対し、くっつく作戦はわかりますが、くっついて一体何がしたいんじゃ?戦術や意図がまるで感じられないファイトでびっくりしました。こんなもんじゃないだろう、何かやってくるだろうとおもっていたら、伊藤のジャブやストレート、アッパー、ボディ、ボコスカ食らい、セコンドが棄権してしまいました。あんなに印象と違うロシアボクサーははじめてでした。

しかし、チュプラコフは紛れもなくチュプラコフ本人であり、過去のキャリアはホンモノです。世界ランカーも撃破してきた無敗のトップコンテンダーです。伊藤の強さがホンモノ、本格化していただけなのかもしれません。

そして、伊藤のいう、「いつも挑戦者の気持ちで、ありえないくらい強い相手に挑んでいきたい」気持ちの表れとして、ミゲル・ベルチェルトを名指ししていましたが、そういえば昨年のベルチェルトVSローマンも裏年間最優秀試合というべき面白いものでした。

ビッグマッチに埋もれた試合でしたので、記憶がややあいまいですが、何が面白いって2人の根性比べです。初回からローマンを効かせて優勢に試合を進めたベルチェルトですが、ローマンの意地の抵抗もがっつり食らってメキシカン特有の意地の打ち合いに終始しました。

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ベルチェルトというのは、アップライトでアゴの締まりも中途半端に手打ち気味にガンガン手を出してきます。一見軽そうなそのパンチが一々重いらしく相手は効いてしまいますが、打ち合い上等と向かってきます。するとベルチェルトもパンチを食いだしますが、この人の手数は止まりません。打たれると明らかに効いたそぶりもみせます。1,2,3,4,5くらいまでは当たり前に連打してきます。連打が実にしつこいです。こんな選手は珍しい。異様に高いKO率の強い王者ではありますが、少し子供のケンカのような分かりやすい、面白いボクシングです。メキシコの伝統的な激闘王を踏襲する王者といえるでしょう。

米国で王座を戴冠し、その爽やかなルックスとファイトスタイルも手伝って米国志向、米国人気も高そうな伊藤雅雪。日本では小さなジム所属なので、内山高志のような長期政権は期待できないかもしれません。ビッグマッチ志向でもあります。

それでも、これが新たなボクシング界の流れ、時代だと感じますので、ノンアマチュアのヒーローとしてガンガン本場で活躍して欲しいものです。華やかさと伸びしろがまだまだあります。

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