
日本人世界王者がベルトを失ってからハイレベル化、活性化したといったら怒られてしまいそうですが、そう感じ、書いてきたSフェザー級。本場での三浦の敗戦は悔しいものでしたが、これがボクシングの非情なリアリティなのだし、彼の戦いには感動させられました。
独断番付
WBO王者
①ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)
8勝6KO1敗
もう100万ドルファイターになっているがやはり絶望的な強さで対戦相手不足なのか?
アマでもフェザー、ライトで2冠したようにプロでもリナレスやマイキーのいるライト級に上がるものとおもわれますが、次戦はフェザー級のミゲル・マリアガ相手に決まりました。
マリアガもこの辺の階級で王者になってもおかしくない強豪ですが、ロマチェンコ相手になると勝敗の妙味は薄れます。ロマチェンコ自身、Sフェザーが一番フィットした階級なのかもしれません。大きくないし、パワー型でもないので。次元の違うスキルで走るスーパーボクサーですが、興味ある対戦相手には事欠かないのだけれど・・・
相手がおらず、無理やりリコンドーとのアマ皇帝対決に向かうことになるのかな。
IBF王者
②ジェルボンタ・デービス(アメリカ)
18勝17KO無敗
手がつけられないほどの躍動感と勢いのある新鋭。
かなりの技巧派ペドラサやウォルシュも圧倒してしまいました。
体幹が太く軸のしっかりしたフォームから反射神経と殺傷本能に任せ、グイグイ踏み込んだパワーパンチをねじ込んできます。メイ譲り、黒人特有のL字やボディワークを駆使したディフェンスも巧みです。
勝ちっぷり、勢いだけならロマチェンコを呑み込みそうな凄みですが、井上に似て序盤から全開なので、中盤、後半に試合が長引いた時にピンチが訪れるのかもしれません。自身のパンチが空転したり噛み合わせが悪いとイライラしそうですし、2番底のような奥の深さはないはずだとおもいたい。それでもアマ206勝15敗の下地があるからな、見過ごせない小柄な大器です。
WBC王者
③ミゲル・ベルチェルト(メキシコ)
32勝28KO1敗
三浦相手にあんな大人なボクシングも出来るんだな。どこかで熱くなって打ち合ってくるとおもいましたが・・・前半リードしたら後半は90%のKOを捨て勝ちに徹する憎い試合運びをみせました。打ち勝てる相手やバルガスのよなメキシカン対決だとガンガンやるんでしょうが、相手によって戦術変える器用さもありました。ニューメキシコスターでしょう。
けれど三浦に対しては機能したが、もっと踏み込みやスピードの鋭い選手相手になると顔面を弾かれるような被弾をするとおもいます。相手次第ですが、そんなに長期安定王者になるとはおもってません。
WBAスーパー王者
④ジェスレル・コラレス(パナマ)
22勝8KO1敗
カスティジャノスに競り勝ち、米国デビューを飾った日本人の宿敵。
カスティジャノスの勝ちにみえたとか負け試合という記事もみかけましたが、個人的にはやっぱり天才だなぁと関心してしまいました。運動神経頼りの感性のボクシングで、ガードも低く決まった型がない。相手に合わせて対応するボクシングなので地味な相手に苦戦したり強豪相手に互角以上ににわたりあう適応性がありそうです。
内山戦は防衛記録や超強打を畏怖しておとなしめでしたが、この日はコラレス節全開、かなり全貌がみれたような気がします。
この人の厄介なところは、ただのランナーやバックステップの守り重視じゃなくて相打ち気味のリスキーなタイミングで打ち込んでくるところです。7ラウンド、劣勢から奪ったダウンなどはコラレスらしい迷いなきパンチでした。そして結構パワーもあるんだよな。内山のようにじっくり相手を見るタイプにはやはり最も相性が悪いタイプだ。
モレノが消えた今、最もパナマ人らしい、柔軟でセンスの塊といえる俊才であるとおもいます。けれどまだまだ感性頼りで雑だし、墓穴を掘りそうな危うさがプンプンしています。
やはり、序列をつけると今はこんな感じで、日本人のターゲットはベルチェルトかコラレスでしょう。日本人に土をつけた宿敵でもあるし、この2人しか勝負にならなそうです。
すぐにでも世界戦をしたい伊藤や先輩に三浦や粟生がいる環境の尾川は自身のポジションと王者達をどのように分析してるんでしょうかね。
楽しみだけど、かなり厳しいメンツといえそうです。
けど、デービスもコラレスもベルチェルも、以前のガンボアやバレラ、モラレス時代に比較したら同じかそれ以下ともいえ、結局強いものを打ち負かすしかないわけですな。