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忌避すべき狼/レジス・プログレイスVSキリル・レリ

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昨日のドネアの決勝進出はフィニッシュシーンがとってもカタルシスでしたが、全てのファイターで一番驚愕したのはこの男でした。プログレイス、風貌や体格から大物感は受けないのだが、どうやら怪物のようだ。

実質無敗のようなキャリアで、曲者ランセス・バルテレミを下して王者になったキリル・レリはベラルーシという希少価値と、格下相手にみせるトリッキーでロボットのような異能のファイトスタイルで個人的にとても応援していた選手なのだが、上には上がいるものだ。レリとはじめて対面しいきなりアジャストしてしまうプログレイス、得体が知れない。

初回はやや体格で勝るレリが探り合いの中ややプレスをかけペースを支配していく流れにみえ、右ショートも当てたが、プログレイスも巧みなフェイントとボディワークでレリを分析していく。終盤に器用なレリがサウスポーになり、プレスをかけたところに罠があった。プログレイスの左レバーブローが急所に直撃し、レリは悶絶、背を向けダウンしかける。一瞬ローブローによる中断かとおもったが、そのまま続行し、痛がるレリにプログレイスが襲い掛かりダウン。

これはレフリーの判断ミスかとおもったが、スローでみるとローブローではなく、レリのミスだった。あのまま倒れてしまった方がよかった。

実質、初回のこの一発で勝負あった。

効かされたレリは立て直しを図るも、へびに睨まれたカエル状態で、ボディワークが柔軟なプログレイスにパンチが当たらない。プログレイスも急がない。レリをじわじわ分析しながら合わせるパンチが一々強烈かつ的確で、ボディは特に効果的。ここで一気に爆発すれば2回で終わっていたかもしれない。しかしいたぶるように解体していく。

本来、かなり変則で高度なテクニシャン、レリのファイトも機能しており、劣勢の中、最後のゴング中にプログレイスに左を直撃させ、足元をふらつかせる、効いた、ダウンに近いような当たり方だったが、3回のプログレイスは何事もなかったかのように回復。

その後も展開は変わらず、ボディを怖がるレリに対しプログレイスは上下に的確に当てていく。そのどれもがハードパンチなのだろう、いつのまにかレリの顔面が流血に染まり決着は時間の問題となる。

攻めているのはレリなのに、易々とパンチをかわして効果的なパンチを返していくのはプログレイスという一方的な展開を、恐らくレリのコーナー、チコ・リバスがギブアップした。いきなりレリのような変則テクニシャンに適応し圧倒してしまうプログレイスの強さに畏怖を覚える試合となった。

よく格下を変幻自在で圧倒していくプロスペクトも、レベルが上がると普通になってしまうパターンを目撃するが、レリも例外ではなかった。先日のシャフラム・ギヤソフも、エマニュエル・テイラーに対してはプロの洗礼を浴びた。

プログレイスは優秀な米国トップアマであるが、エロール・スペンスなどには完敗している。練習ではチャーロ兄弟などともやっている。かなりのボクシングジャンキーっぽいが、体格や風貌はそんな彼らよりずっと小さくみえるのだが、ここまでのファイトでは得体の知れない強さを発揮している。

昔はこんな変態ボディワークの名手ではなかった。アップライトなワンツーパンチャーにみえたものだが、難解なスキルとパワーで強さが際立つようになってきた。ここまでの世界戦のどの試合も単なる勝利ではなく楽勝、圧勝ばかりだ。教科書にない、アマチュアっぽくもない、独自のファイトスタイルに磨きがかかり怖いほど強い。

しかしこの階級は猛者ばかりであり、未だプログレイスに未知数な点もある。

見た目の速さ、華麗さだけならジョシュ・テイラーの方があり
見た目の狂暴さ、獰猛さだけならイバン・バランチェクの方がある。

そういうわかりやすく強い、あるいはスマートでスリックな相手に対しどんな手で解体していくか興味はつきない。

レリ戦をみる限り、プログレイスが優勝候補筆頭だろう。小柄だけど、ああいう変態ボディワークがあれば、距離やスピードの壁を易々と克服してしまいそうだ。しかしパンチを全く食わぬ選手でもないしリスクをとって打ち合うスタイルでもある。

プログレイス自身はこんな発言をしていた。

「決勝はバランチェクだとおもうよ、奴とメシを食ったことがあるけど超本気だった。あのアドレナリン、獰猛さはヤバいよ。」
「ジョシュ・テイラーが優勝候補らしいじゃないか、だったら来いよ、俺が誰だかわからせてやる」

想像を超える、得体の知れない怪物ボクサーをみた気分。
ちょっと他にいないタイプだな。

プログレイス
「試合前に言ったよな、その辺のガキじゃ俺をファックできないってさ。ずっと俺がクソ圧倒してたじゃん。俺は別の動物だから。レリクもそれ最初から分かってたろ。ジョシュ・テイラーなら俺を倒せるとか言ってる奴がいるから、マジやりたいね。結局は大したことないからな」

会場はガラガラだったようで、実力に人気が追い付くかはわからない微妙なキャラ、風貌です。大衆はガン撲滅運動とかをしてる地元愛のホセ・ラミレスのような男やエリートサラリーマンのようなテイラーを愛するしメディアもそうコントロールする。

しかし私の目にははっきりとプログレイスこそ優勝候補だ。

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プクー

原始的で単純明快なスポーツです。生涯一度の敗北、無敗で引退したボクサーもいます。負けても次頑張りますというスポーツとは違う残酷さ、無常さが好きです。

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