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イタリアの浮浪児は魔法使い/ポール・マリナッジ

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正直に言うとマリナッジのファイトをそんなに熱心に観たことはない。どうせ冗長な判定になるしノックアウトのカタルシスに欠ける・・・ハメドの記事で登場した純朴な青年マリナッジ、屈強なファイターに混じり独自の個性で時代を作ったカリスマ、ご意見番としてのマリナッジに敬意を表し、読み進めつつそのまま記事にしてみることにした。あのフィジカルでスーパーライト級、ウェルター級を制した能力は半端ではない。

”マジックマン”として知られるマリナッジのプロキャリアは幻想でしかない。このカリスマ性あふれるイタリア系ニューヨーカーはスーパーライト級とウェルター級の世界王座を獲得したが、世界のトップレベルに独自のアプローチで立ち向かっていった。

デビューから21連勝後、マリナッジは2006年6月に全盛期のミゲル・コットに挑み敗北した試合でその名前を確立した。目を潰し、観客を敵にまわしながらも勇敢に立ち向かい、ユナニマスで敗れたものの、その闘争心あふれる姿は人々の心を捉えた。

翌年、ラブモア・ヌドゥに挑みIBFスーパーライト級王座を獲得、リッキー・ハットンやアミール・カーンに敗れたものの、常にエリートと呼ばれるトップファイターに立ち向かっていった。

オッズに背き当時32勝無敗のウクライナのヴィチェスラフ・センチェンコをTKOで下してウェルター級王座獲得、2階級を制覇。エイドリアン・ブローナーにスプリットの判定で敗れたものの、同僚のザブ・ジュダーを下したのが最後の大金星となった。

その後、トップクラスのショーン・ポーターとダニー・ガルシアに連敗し、マリナッジのキャリアは幕を閉じたようにおもわれた。

ちょっと待ってくれ!

マリナッジ
「私は自分のルーツであるイタリアで引退試合をすることにしました。相手はラスズロ・ファゼカスという27勝21敗の男です。決して名のある強豪ではないけど、私の祖先の国のファイターを知る必要がありました。この試合でヨーロッパタイトルを目指すという噂が広まっていますが、次は全く未定です。興味がないことはないが、リングに戻って何を感じるかによるでしょう。」(2015年当時)

ライバルについて

ベストジャブ アミール・カーン

ジャブを効果的なものにするためには距離のコントロールが必要です。それにはハンドスピードが必要です。アミールはスピードがあってジャブを効果的に使える男でした。

ベストディフェンス エイドリアン・ブローナー

相手が攻めてきてもスリッピングとショルダーロールでパンチを吸収することができます。決してクリーンヒットさせません。これはメイウェザーのメソッドです。でもメイウェザーの方が上でした。その違いはブローナーは膝を使わないからです。

ベストチン ラブモア・ヌドゥ

プロでストップ負けがなく丈夫なアゴを持っていました。彼からタイトルを奪った試合こそ私のキャリアで最もシャープなパフォーマンスでした。

ベストパンチャー ミゲル・コット

一貫したハードパンチャーでした。こいつは本物だとおもいました。2回で眼窩骨を折りました。自動車にひかれたような衝撃と痛みでした。痛みに無感覚になるなんてデタラメです。痛みは決して消えない。それを我慢できるのはアドレナリンだけです。

ハンドスピード アミール・カーン

距離が的確であれば彼のスピードは非情に厄介でした。彼のパンチは速かった。まるで西部劇のようでした。速くて打ち合いに持ち込むのもカウンターを合わせるのも困難だった。とてもトリッキーなリズムもありました。

フットワーク アミール・カーン

私のスキルセットを完全に無効化させてしまいました。スピードで主導権を握られ取り返すことができなかった。当時のカーンはとてもフットワークが速くて距離を作られてそこから速射砲のようなパンチを打ってくる。あらゆる対戦者にとっても悪夢のようでした。

スマート ミゲル・コット

コットは対戦者をイライラさせるのが上手いです。コンフォートゾーンで戦わせてくれません。常にリスキーな展開、彼の土俵に引きずっていきます。とても優れたリングインテリジェンスを持っていました。実際にコットとリングを共有してみないとよくわからないとおもいます。

屈強 ショーン・ポーター

彼はより重い階級から下げてきたファイターで、レスリングやフットボールのバックグラウンドがありました。ボディコンタクトがとても強い。接近戦で上手くパンチを当てるのがとても難しい。接近戦、ボディコンタクトが強烈で粘り強いのでタフなファイトを強いられました。

ベストスキル ミゲル・コット

素晴らしいテクニシャンです。写真で切りとっても左フックを打つ際、彼の右手は正しく右のアゴの横に密着しています。逆も同じです。バランスがとてもよくてガードも鉄壁でポジションも的確でした。

総合 ミゲル・コット

パワー、インテリジェンス、独自の能力がありました。私が効いているのを察知して鶏を殺すかのように情け容赦なく正確に攻めてきました。厄介なのは相手の状態を見極めて襲い掛かってくるのです。本物のキラーインスティンクトを持っていました。パワー、スキル、本能の融合こそがコットをコットたらしめているのです。改めて過去を振り返っても、コットが最強だったなとおもわずにはいられません。

適当にニュアンス訳しても、ボキャブラリーが豊富で表現が的確でした。
それが彼のボクシングにも表れているのだろう。

ボクシングをはじめたのも決して早くなくアマチュアキャリアもそこそこ、頭脳と努力で上り詰めたキャリアにみえます。実際この階級のトップとしては経験値もフィジカルパワーも欠けていた。

プロフィールをみると、イタリア、シチリア島の両親から生まれた生粋のイタリア系だが、6歳の頃父親に捨てられ、ニューヨークのブルックリンでたくましく生きてきたとあります。

マジックマンと言われるマリナッジのニックネームはもうひとつあります。彼の自由奔放で独創的なスタイルは、タフネスとユーモアのタッチが融合した古き良きブルックリンスタイル、本物の「デッドエンドキッド」であると。

Dead Endとは行き止まり、袋小路、行き詰まり、窮地、どん底という意味でデッドエンドキッドとはスラムの子供、浮浪児という意味だそうです。

屈強な黒人選手が席巻する過酷な階級において、頭脳と独創性で2階級を制したポール・マリナッジ。

そのルーツにはナシーム・ハメドがいました。

我は神の子/「Prince」ナシーム・ハメド Vol.3

続きを知らず書きながら熱くなってしまいました、このシリーズもいよいよ佳境・・・ ハメドVSケリーのフェザー級の夢の対決は出来過ぎた映画のようなドラマチックな展開を迎える。 素人の少年ポール・マリナッジ ...

プロボクシング、とりわけ米国は薬物が蔓延していると警笛を鳴らしているマリナッジですが、案外特別な肉体改造とかをしていなければマリナッジくらいのパワー、フィジカルがスタンダードなのでは?という想いがあります。

デッドエンドキッドには優れたアイデアとインテリジェンスがありました。
こういうボクサーもまた味わい深い。

エネミーライン(いつも強敵)/ミゲル・コット

かつてないほどに世界的なスケールでのビッグマッチが増えてきた日本人ボクサーの近況だが、リアルタイムで最も偉大な男と戦ったのは亀海喜寛だったかもしれない。ゴロフキンと戦った日本人もいるが、まだレジェンド ...

コットも認めるその才能。
ボクシングは科学だ、頭を使え。

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原始的で単純明快なスポーツです。生涯一度の敗北、無敗で引退したボクサーもいます。負けても次頑張りますというスポーツとは違う残酷さ、無常さが好きです。

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