ベストとベストを問う限り/WBSSの現在と未来

WBSSシーズン2 スコットランド、グラスゴーの試合はどうやら成功だったようで、再び熱い様相を呈してきたが、これは井上尚弥の功績によるところが大きい。山積みな問題をクリアして今後もずっと継続して欲しいからこそ運営の透明化とビジネスとしての成功を願ってやまない。

スコットランド、グラスゴーでのWBSS準決勝の成功を受けて、カル・ザウアーランドプロモーター兼コモサAG代表は決勝の詳細決定に忙殺されている。決勝の舞台は多くのファンに推測されており噂が渦を巻いている。

ザウアーランド
「しばらく時間がかかります。全ての大陸を検討しています。」

スーパーミドル級がバンタム級とスーパーライト級に変わったシーズン2はアクションとストーリーの点でシーズン1を上回る。

ザウアーランド
「トーナメントがストーリーを提供している。前回はクルーザー級が面白かった。スーパーミドル級もグローブスとユーバンクJrの試合でマンチェスターの群衆を虜にし、カラム・スミスというスターが誕生しました。シーズン2も同様です。現在進行形の素晴らしいストーリーがあります。井上尚弥がトーナメントに参加した時、みな彼がハードパンチャーであることは知っていましたが今やP4Pナンバーワンも囁かれる存在になりました。ベスト同士が戦うことを可能にするトーナメントの功績でもあるが、リスクを冒してベストと戦うファイターたちのおかげです。そんな彼らに敬意を表します。」

ザウアーランドの指摘通り、このようなトーナメントは誰がベストなのかを判断できる利点がある。井上は、スミスとウシクがやったように、エマニュエル・ロドリゲス戦の勝利でリングマガジン王者に認定された。

残念なことに、我々ファンは実際に観ている試合よりも仮想対決について議論することに慣れている。

ザウアーランド
「どんなスポーツにおいてもベストとベストが戦うことにこそ最も大きなストーリーがあります。それが起きない事がボクシングでは多すぎます。ヘビー級をみてください。ベストな戦いがそこにはありません。ベスト同士の戦いこそがスポーツの生き残る道であり、WBSSはそこに準拠しているのです。

傍観者の立場で相手を選ぶのは簡単な事です。トーナメントではどこで試合が行われ、誰と対戦するのか選べません。一歩一歩のステップに対処しなければなりません。イバン・バランチェクはテイラーのホームであるグラスゴーで試合などしたくなかった。しかし真の王者たる姿を示すために勇敢に戦った。彼は負けましたがリスクを選択し信用を得ました。これがトーナメントの在り方なのです。」

WBSSは来年も開催されるのだろう。ザウアーランドはシーズン2がシーズン1より優れていたか問いかけながら言った。

ザウアーランド
「それは私の想像を超えるものではありません。(想定の範囲内)ベストとベストが戦うためのトーナメントが必要である限り、毎年開催されるでしょう。」

It doesn’t really exceed my expectations

最後の言葉はシーズン2がシーズン1を上回るのは想定の範囲内という意味かな。

もし、グラスゴーでの興行が成功だったと言えるならWBSSが井上を選んだ功績は称えるが、本当に井上尚弥に感謝しなければならない。単純な来場者数、チケット販売数、全世界の視聴数だけでは表せない。衝撃的な試合のニュースが世界中を駆け巡り大いなる喧伝に一役買ったこと。SNSでの拡散、次回への期待、その波及効果は計り知れない。

優勝まで10分に満たない記録を生み出しそうな圧巻のKO劇をバンタム級の小さな男が一人で魅せているのだ。

5月18日の熱狂を受けて少しWBSSが盛り返してきたようだが、もし存続が可能であるなら見直して欲しい点はたくさんある。まず、舞台とスケジュール、試合が終わってから白紙で一から次を検討しているようだが、参加者の国籍を考慮し利用可能な場所の候補、全体のスケジュールを最初に決めておくべきだ。トーナメントは3回戦しかない。ならば1年で完結させるべきだ。そして予算や報酬の支払いに厳格であること。予測不可能で回収不明な投資をあてにしすぎない事、最初の時点で全体の予算感を出し運営や選手の保証は徹底すること・・・など。

さらには、ベストとベストの戦いとはいっても、巨大ネットワークの縛り、対立がある現状では実現不可能な選手、階級ばかりだ。大手プロモーションは金の匂いがするファイターの先物買いに忙しい。井上にはトップランクとの契約やエディ・ハーンのマッチルームも獲得に名乗りを挙げているが井上が契約してしまえばつまりはスーパーバンタムなどでWBSSに再び参加することは絶望的という事でもある。現在主流のトップランクやDAZNやPBCのやり方がベストだとはおもわない。身内でたらい回し、ビッグマッチを煽るだけで伸ばし続けるやり方はお金は膨らませこそすれ、選手の旬を逃す。これでいいのか。

今やっているスーパーライト級がいいモデルケースになるだろう。トップランクのホセ・ラミレス、DAZNのモーリス・フッカーはWBSSに不参加、独自の道を歩んでいるが、もうすでにジョシュ・テイラーやレジス・プログレイスが評価で追い抜いているだろう。勇敢さが違う。

つまり、大手所属選手ではなくとも意欲に満ちた実力者を集め、ガチンコをやっていくしかない。そして、一般大衆に広くボクシングを認知させ、結局誰が一番なのかをわかりやすく伝える目的に沿えば、井上尚弥のようなノックアウトヒーローの選出が不可欠となる。

WBSSの存続、未来は独立した組織としてではなくDAZNなどとの合併、吸収以外にありえないだろう。
この企画がプロモートの乱立と独自路線を変えるきっかけになるかもしれない。ファンにとってはプラットフォームなど一つでいい。歴史を誇るHBOでさえ、ボクシングから身を引いたのだ。

何よりもスケジュール、選手のキャリアを停滞させるのではなく促進させるくらいもっと迅速に出来る道を作り上げてくれ。

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