半ば放心状態です。休日返上(といっても楽しいからいいのですが)で見届け書き連ねた世界ボクシングの数々・・・感想、総括はまだまとまっておりませんが、充実していました。取り上げきれなかった試合からどうぞ
ミシェル・ソロVSアンダーソン・プレストット
対戦相手のマゴメド・クルバノフのビザの発給が遅れた関係で同国の代役相手に行われた試合ですが、これで正規王者決定戦と言われても納得できません。フランス側の言い訳と食い違いクルバノフ陣営の不満もあるようです。本来の王者、ブランアイン・カスターニョもドーピングテストに関する不満からフランスでの試合を辞退し返上したようで、何か不都合が多い国のようです。
プレストットは本来ミドル級の選手なのか、それなりにパワーがあり対抗しましたが、ソロのコンパクトで重厚なコンビネーションの前に実力不足で沈みました。ソロは実力者として本場アメリカでの試合、クルバノフとの宿題を果たして欲しいとおもいます。
ディリアン・ホワイトVSオスカー・リバス
観たかったけど寝坊した。ヘビー級の実力者同士の対戦はリバスが9回に鮮やかなダウンを奪うも終始技術で上回ったホワイトの判定勝利。リバスはここまで全勝でアマではアンディ・ルイスに勝っているパンチャー。両者の価値を落とすことのない試合といえる。
WBCの暫定王座がかかっていたようですが、案外色々なファイターと戦い抜き出た強さはみせていないものの結果を出し続けているホワイトが今のヘビー級トップシーンでは一番安定した実力者かもしれません。
なぜ今日、こんなにぐったりしているのかと言えば、パッキャオの奇跡の続き、中谷の健闘、テオフィモ・ロペスの実力、ルイス・ネリーの疑惑などが募ったのはもちろんですが、先週の個人的MVPであったこの試合
マキシム・ダダシェフVSサブリエル・マティアス
[st-card id=79991 ]の結果に打ちのめされたせいだ。元々どちらかと言えばアンダードッグのマティアスを支持していたので試合内容も結果も順当でしたが、堅実、丁寧に戦っていたマキシム・ダダシェフが試合後に倒れ、脳の手術を受けたということにショックを受けた。生命の危険は今のところ回避しているようですがトップアマチュアにして13戦全勝、まだ若くこれからのダダシェフのボクサー生命が実質これで断たれたことになる。
前座にこんな試合があったのでロペスVS中谷はいつも以上に緊張した。
オレクサンドル・グヴォジクVSアドニス・スティーブンソン同様に、レフリーの進行に問題はなかったと感じるし、ラストラウンドを前に棄権したセコンドの判断も正しかった。一方的に打たれた、負けたわけでもなく試合は一進一退で、ダダシェフの試合運び、ディフェンスも丁寧だった。
それでも起きてしまうリング禍、どうしたら防げるのか・・・
勝てるかもしれない試合でも、セコンドで選手に異常を感じたらすぐに棄権すべき。それでもダダシェフは11回を終えるまでは戦えていた。11回に限界に達した。11回。マティアスのテーピングがほどけて2回の中断があったが、あの中断が脳にはよくなかったのか・・・
ダダシェフのセコンドにはプロで80戦もやってきた名王者、名トレーナーのバディ・マクガート。しかしダダシェフは無敗のままたった14戦目で選手生命を終えることになった。
答えのない過酷な試練がまた訪れた。
ラストラウンドの鐘を聴かぬまま、ダダシェフのボクサー人生は突然終わった。
ダダシェフのコンディションコーチ
「現時点で彼は重体だが、容体は安定していると医師には言われた」「出血と腫れは治まったと聞いている。前向きな情報も届いているし、良い方向に向かうことを祈っている」マクガート
「ダダシェフに試合を諦めるよう説得する事ができなかった。回が進むにつれて被弾が増えタオルを投げ入れることに決めた。1つのパンチが選手の人生を一変させてしまうことがある。そうさせるわけにはいかなかった。」