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長い夜/Havoc(混乱者)ラモン・ピーターソン

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ボクシングは孤独なスポーツなので私には完璧です。誰もいらない、自分と敵だけです。リングでは自分自身に依存します。それが私の人生でした。

1人の男が、ギャング、刑務所、墓場行きの生活から2人のホームレスの少年を救った。10年の時を経て、少年の一人は世界チャンピオンになった。

ラモン・ピーターソンがまだ幼児の時に家族はテネシー州メンフィスからワシントンDCに引っ越した。ラモンは都会で育ったが、8歳の時に父親が麻薬犯罪で刑務所に入った。12人の子供を養う母親はパニックとなりアルコール中毒、家族は崩壊した。子供たちは家を失った。

屋根を持たない子供たちは自分で自分の世話をしなければならなくなった。多くの兄弟は親戚や友人の家に預けられた。ラモンと弟のアンソニーが取り残された。彼らは公園のベンチや廃屋、廃車で寝泊まりした。寒い夜は停車しているバスを使った。ドアが開かない時が最悪だった。弟と二人、一晩中歩いて過ごさなければならなかった。

日中は、友達が食べ物と温かいベッドのある家に帰るまで一緒に遊んだ。それから、長い夜に備え、心を鍛え、さまよい、太陽が再び昇るのを待った。

寝かせて欲しいと祖父の家のドアをノックしたが、それはできないと締め出された。2人は地下室に侵入し腐った食べ物とネズミとゴキブリに囲まれて一晩を過ごした。ウインドブレーカーのみを着て零下の冬を過ごし、ゴミ箱から食べ物のくずを探し、車のフロントガラスを洗ってお金を稼いだ。行き場がないので一晩中バスに乗ったりしていた。

ラモン
「私は多くの人々を信頼していません。誰にも依存しないことを学びました。大人が好きではなかった。彼らと仲良くしなかった。私は男でした。自分で自分の世話をした。部屋を掃除するように自分を掃除した。宿題をしろ?学校に行け?誰も私に何も言わなかった。だからやりたいことをやりたいようにしただけです。」

1972年にホームレスキッズを助けるために設立されたコヴナントハウスによるとアメリカでは現在200万人以上のホームレスキッズがいるという。半数以上が一日一食も満足に食べられず、ほとんどが親の薬物依存、アルコール中毒、家庭内暴力や虐待で路上に放置されていた。

ラモンは弟を守るために戦わなければならない時があった。それがボクシングにつながり、最初のトレーニングだったといえるかもしれない。5歳の時からテレビで戦うボクサーをみて世界チャンピオンを夢見てきた。

グローブをつけて戦うハクトウワシが救世主になった。

ワシントンDCのボールドイーグルジムのトレーナー、バリー・ハンターが少年たちの命を救った。ハンターはラモン兄弟がホームレスシェルターから出てくるところで声をかけ食事を与えた。ラモンは10歳で61ポンド、8歳のアンソニーは55ポンドだった。

「ボクシングをやってみたい?」

答えは必要なかった。ハンターは彼らの生活に足を踏み入れ、和音をたて、生産性のある未来と彼らが強いられている暗い道を避ける方法を提供した。ハンターは彼らのトレーナーになった。少年たちにボクシングのレッスン以上のもの、人生の教訓を与えた。

彼らは一日に2回トレーニングセッションをする。休みは必要なかった。休日が何であるのかさえ知らなかった。いつもジムのまわりにいるのが好きだった。激しいトレーニングをし、ジムで寝ることさえ好んだ。

ラモン
「他に何もしたくなかった。居場所を見つけるのは長い道のりでした。諦めたくなる時もありましたが、やりたいことが他にありませんでした。」

出会いから10年、ラモンはプロのリングに足を踏み入れた。2004年故郷であるテネシー州メンフィスだった。ニコラス・ディーンをTKOで破った。5年間で27連勝しウェルター級で世界王者に輝いた。2011年にはキャリア最大の戦いを迎えた。

2011年12月10日、WBA/IBFのライトウェルター級タイトルでアミール・カーンと対戦。
戦いの舞台はワシントンDC、ラモンが弟と長い夜を歩いた通りからさほど遠くない場所だった。この日はあの恐ろしい夜とは違っていた。5歳の頃に夢見た華やかな夜だった。ラモンはしなければならないことを全てやった。

カーンは最年少でオリンピックのメダリストになった華やかで優雅な青年だった。

カーン
「ラモンの人生に敬意を表するが、試合では彼を絶対に倒すつもりだ。」

ラモンは人生最大の試合に備え、信じられないことをした。休みをとったのだ。トレーニングを休み、ホームレスのボランティアに参加した。感謝祭で食事を配った。10年前に兄弟の命を救ったシェルターで彼らは笑顔を振りまき、励ましの言葉を贈った。

クロスファイトだった。カーンとラモンは互いに激しいパンチを交換しあった。12ラウンドを終えてどちらが勝者かわからない試合だった。スプリットの判定でワシントンDCの路上のホームレスは有名人になった。

おもいやりある人の支援を受けて、不利なオッズを覆し、路上を生き延びた勤勉な青年がいた。

ラモン
「悪いハンデを与えられたからといって、それは負けという意味ではありません。いつでも変更できます。ボクシングは孤独なスポーツなので私には完璧です。誰もいらない、自分と敵だけです。リングでは自分自身に依存します。それが私の人生でした。」

かつて路上で寝ていた男には家族、娘ができた。

ラモン
「娘・・・この子は大丈夫だとおもうと素晴らしい気持ちになります。彼女はあの長い夜を過ごす必要はありません。」

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ラモン・ピーターソンの長い夜(戦い)は終わった。

2歳下の弟、アンソニー・ピーターソンは34歳の今も現役で、戦績を37勝24KO1敗1分としているが、未だ世界戦のチャンスには恵まれていない。1敗もブランドン・リオスにローブローか何かの失格負けだけだ。

彼らがボクシング生活を全うするまで
そして引退後の人生も含めて応援していきたい。

多くの感動をもらった。

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原始的で単純明快なスポーツです。生涯一度の敗北、無敗で引退したボクサーもいます。負けても次頑張りますというスポーツとは違う残酷さ、無常さが好きです。

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