超えろ?階級の壁/カネロ・アルバレスVSジャーメル・チャーロ

ヘビー級のオレクサンドル・ウシクさえ、カネロとの対戦を呼び掛けていますが、クルーザー級のバドゥ・ジャックとの体重制限、水分補給ルールで交渉がまとまらなかったカネロ様はチャーロを選択しました。ミドル級のジャモールか、やっと実現かと楽しみにしていたら、Sウェルター級の弟、ジャーメルの方でした。なので書き直さなくてはならん。

119
カネロ・アルバレスVSジャーメル・チャーロ

カネロ・アルバレス 59勝39KO2敗2分 33歳

ビボルに負けたりでP4Pナンバーワンの座からは落ちたが、現代のボクシング界でもっとも集客、お金になる大スター。身長173cm、リーチ179cmという体躯でSウェルターからLヘビー級までを制した。しかしビボルに負けて今はSミドルを主戦場にしている。

時の経過、階級を上げればあげるほど、フィジカルとパワーで相手を痛めつける屈強なパンチャーになっている。ボディワークとヘッドムーブ主体のディフェンスでパンチを受けず、ショートコンビネーションで相手を追い込んで痛めつける。下の階級から上げてきた小さな男なのに異様にタフで屈強な殴り屋。

ジャーメル・チャーロ 35勝19KO1敗1分 33歳

世界王者になるあたりからKO率を上げてきたのでKO率以上にキレるパンチャー。スピードとパンチのキレが外のSウェルターより上なので、鮮烈なKOや苦戦しても再戦でケリをつけてきた。シャープなので前半に勢いと鋭さがあるが、ディフェンス等のスキルは抜きんでたものはなく、粘られると凡戦になる率も高い。

ミドル級の兄、ジャモールと双子といっても、少し線が細く背も小さいようにみえたがSウェルター故だろう。スピードとキレ味でKOするタイプなのでタフで屈強なカネロと長期戦になると厳しいだろう。短期決戦勝負だ。

両者の試合っぷり、勝ちっぷりだけみているとシャープな倒し屋のチャーロにも期待できる気がするが、ジャーメルは今までずっとSウェルター(69.85キロ)であり、カネロはSミドル(76.20キロ)一時はLヘビーの79.38キロで戦ってきた選手であり、そこでも頑丈で一度も効いたり倒されたことがない。

それを考慮すると、ジャーメルが中盤から後半にカネロの重圧に潰されてしまうだろうというのが想定の範囲内となる。

しかしそれだと予想通りでつまらないので、キレキレのまま増量に成功し、コンディション良好なジャーメルがダウンを奪ってKO勝利を予想(じゃなくて期待)する。

やっぱり近年のボクシングの主役、大金をもたらすカネロとは誰もが対戦したく、ジャーメルの決断もそこだろう。(お金ありきでその次名誉)彼にはティム・チューという魅力的な挑戦者が控えていたのにそれを蹴っての無謀なチャレンジとなる。チュー戦の損得よりもこちらを選んだ。

なお、勝者に、というよりカネロに対し、ウェルター級の絶対王者、P4Pナンバーワンのテレンス・クロフォードが挑戦表明している。66.68キロ。

コロナで停滞し、今がピークかピークを過ぎた王者たちは、常識や階級を超えたビッグマネー、ビッグマッチを志向している。タイソン・フューリーもガヌーという別競技の猛者と巨額エキシビジョンをやるそうだ。

それは、ファンにとってもボクシング人気にとっても良いことかもしれないが、正当な評価、判断を下しにくい状況とも言え、井上尚弥にもそういう待望論がある。

事故がおきなければ、それもまた時代、受け入れていかねばならぬだろう。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
What’s your Reaction?
最高
最高
6
いいね
いいね
4
ハハハ
ハハハ
4
うーん
うーん
2
がっかり
がっかり
1
最低
最低
1
おすすめの記事