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半世紀の時を超えたクリスマス/ジャーメル・チャーロVSトニー・ハリソン

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またまたハリソンにまつわる、ええ話なのでご紹介します。ここではハリソンが主役ですが、考えるとハリソンの言葉通り、無償のオファーをくれた王者というのは、憎むべき敵であるとともに、チャンスをくれた神、友でもありますね。チャーロを潰すがチャーロよありがとう・・・なわけです。

トニー・ハリソンがクリスマスに世界王者になる可能性はなくはないが、予想は王者のジャメール・チャーロに偏っている。

しかしそれがハリソンを悩ますような事はない。

ハリソン
「耳から耳に出ていくだけさ。あてつけとも思わない。王者としてチャーロの評価は当然だ。メディアはそうやって稼ぐんだし、彼らの仕事は常に今でなく次の事(ジャレット・ハード戦)だ。俺の仕事はそういう状況を捨て去ることだ。それが唯一の計画だ。俺は彼らの仕事の邪魔をしようとしている。チャーロにスポットライトを当ててくれ、チャーロはダンシングスターだ。でも12月22日、チャーロは俺と戦わなくちゃならない。リングで大勢にそれを証明しなくちゃならない。」

ハリソンやその他の挑戦者を過小評価できない理由があるとすれば、1990年東京でジェームズ・ダグラスがマイク・タイソンを破り世界に衝撃を与えた試合が例に挙げられる。あの試合のオッズは42-1だった。

ハリソンは42-1ほどのアンダードッグではないが、たとえ42-1のアンダードッグだったとしても、この試合に向けて激しいトレーニングをするのを辞めることは決してない。

ハリソン
「いずれにしても、俺はジムでトレーニングを続けている。12月22日、俺を信じてくれ。俺は一人でリングに上がるわけじゃない。」

ハリソンは現IBF、WBA、IBO王者ジャレット・ハードに敗れてから3連勝中です。メディアが求めているのはチャーロVSハリソンではなく、チャーロVSハードです。その事をハリソンはよくわかっています。しかしその計画を壊し、ハリソンがハードとの再戦を目指すのも魅力的な事ですが、チャーロという彗星と激突することこそがデトロイトのネイティブ(ハリソン)の心に火をつけている。

ハリソン
「俺はベストと言われる男と戦いたいんだ。それが俺の望みだ。子供の頃そういう試合を観てきて育った。だからこれは俺の夢なんだ。俺がなりたい男と戦うことが俺のテーマさ。誰もが夢見る無敗の世界王者、チャーロと無償で戦えるんだ。だからチャーロ陣営から試合のオファーを受けた時は鳥肌が立ったよ。」

世界タイトル、ビッグマッチとチャンス、ギャラ、勝てば全てハリソンに入ってくる。しかしハリソンにとって、それらはより大きな未来への副産物でしかない。
ハリソンは、デトロイトの街のため、ジムの子供たちの未来のために戦っている。そして家族、それは彼の身の回りの人たちだけではない。金の王者にはなれなかった偉大な祖父、50年代から60年代にミドル級とライトヘビー級で戦っていたヘンリー・ハンクのためにも戦っている。

ヘンリー・ハンクは62勝40KOという偉大な記録を残した元ボクサーでジョーイ・ジャルデッロやジミー・ハリスなどの人気者を倒し、ディック・タイガーやボブ・フォスターらと拳を交え、当時のTVでは有名な存在だった。遂に世界王者にはなれなかったが、半世紀以上の時を超えて、孫のハリソンが再びのチャンスでベルトを家族にもたらすことは重要なゴールなのだ。

ヘンリー・ハンク
http://boxrec.com/en/boxer/10851

ハリソン
「長年の夢を実現し、そこで家族を抱きしめることができれば超最高だ。しかも誰も期待してないアンダードッグの俺がそれをやればなおさらだ。機は熟している。俺がそれをやれば、デトロイトの街も俺の祖父も再びスポットライトを浴びるだろうね。」

デトロイトは、シュガーレイ・ロビンソン、トーマス・ハーンズ、ミルトン・マッコイ、オバ・カーなど、絶え間なくワールドクラスのファイターを輩出してきた街だ。そしてこの自動車の街で数々の王者を生み出したエマニュエル・スチュワードのクロンクジムを忘れてはならない。ハリソンもまたスチュワードが晩年に指導したファイターの一人だ。そんな彼のホームタウンがキングオブファイターを生み出す場所へと繋がっているとハリソンは信じている。

ハリソン
「何も恐れず、タフ、スキルフル、ハードパンチャー、レガシー、ハッスル、彼らはみんな悪ガキ、それがデトロイトのイメージだ。俺たちはそんな街の住人だ。俺たちにやれない事はない。だけど一番大事なのは一人じゃなくみんなで一緒に成し遂げていくということだ。」

このストーリーのパズルの最後のピースとして、ハリソンはデトロイトの街の子供たちのために戦っているという話題があるが、これは決してPRではない。彼の稼ぎはジムのプログラムに投資されます。子供たちのボクシング、人生のための準備金として蓄えられる。

ハリソン
「それはいつも俺の心にあったものだ。子供の世話をして次世代をよりよくしたい。近所の人たちと助け合い、よりよい街にしていきたい。俺が面倒をみている子供たちには規律と調和を与えたい。ボクシングはダイレクトにそれらと結びつき、自分自身に責任が持てるようになると信じている。」

それら大きな仕事をしながら、土曜日の夜、決戦の時に出る。しかしハリソンは賞賛の声を求めてはいない。

ハリソン
「王者になることが果てしなく遠い夢だとはおもってないけど、それは俺の人生の一部分に過ぎない。スポーツはいつも2番手だ。ボクシングで偉大な功績を残したいけどそれは最重要ではない。ただ、善良な人間でありたい。俺の家族、祖父や祖母、みんなが俺に手を差し伸べてくれたように。」

こんなに献身的な態度は普通はあまりみかけません。とてもさわやかです。
しかし、トニー・ハリソンだって人間です。試合にかける意気込み、野望を秘めています。

ハリソン
「俺は神に誓っている。ベルトを飾るガラスのショーケースを既に作ってくれてる友人がいるんだ。22日に戦って23日にそのケースにベルトを飾ろうとしている。でも、ケースにベルトは収まらないよ。シャツを脱ぎすてて、ベルトを巻いて、JRスミスみたいに一か月中街を誇らしげに練り歩くつもりさ。」

デトロイトの冬にそれをするのは寒すぎやしませんか?

ハリソン
「俺のアドレナリンは一か月間ずっとホットなんだ。だからシャツなんていらないよ」

ノッキン・オン・デトロイト・ドア/トニー・ハリソン

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またまた、いい話なので頑張って超訳しました。難しいんでダメダメな訳になっています。

12月22日、筋書きのないボクシングに神は舞い降りてはきません。
恐らく、今勢いがあって強力なチャーロブラザーズが、その強さをさらにみせて勢いを加速させる年末になるのではないでしょうか。

しかし、このハリソンといい、急遽代役で挑戦が決まったマット・コロボフといい・・・

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原始的で単純明快なスポーツです。生涯一度の敗北、無敗で引退したボクサーもいます。負けても次頑張りますというスポーツとは違う残酷さ、無常さが好きです。

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