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限りなく透明に近いブラック/(ティト)フェリックス・トリニダード

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フェリックス・トリニダードに関してはもっといい話題を取り上げたかったが、プエルトリコの英雄として賞賛する啓蒙的なものか、国債を買いまくって国が破綻し破産したという記事くらいしか探せなかった。あの素晴らしいファイトを記録する前に整理せねばならぬ問題がある。

2001年9月29日バーナード・ホプキンスとフェリックス・トリニダードの試合前、チームホプキンスのブイエ・フィッシャーは、トリニダードのバンテージを巻くところをナジム・リチャードソンに監視させた。トリニダードの控室に行くと、トリニダードの左手は既にバンテージが巻かれ、ボクシンググローブをつけてサインオフ(チェックの印)されていた。

バーナード・ホプキンス
「問題はトリニダードが今までずっと長い間このような事をしていた事です。少なくとも過去の別の試合においても私は今回と同じ状況を確認しています。彼らはやりたいことはなんでもできて、言い逃れることにも慣れているのです。」

コミッショナーは、ドン・フェリックス(トリニダードの父親)とスペイン語で冗談を言ったり、笑ったり、親友のように談笑しているだけだった。

ブイエ・フィッシャー(チームホプキンスのリーダー)が、我々の前でバンテージを巻きなおして欲しいと頼んだ。チームトリニダードは頑なにその申し出を拒絶した。

トリニダード
「巻き直すくらいなら試合を中止すればいい。」

コミッショナー
「そんな時間はない。文句があるならバーナードのバンテージを好きなように巻けばいい」

そのため、チームホプキンスはニューヨークのヘッドコミッショナーにまでかけあって、やっとトリニダードのバンテージの巻き直しを承認させた。

幸いにも、ブイエ・フィッシャーはホプキンスを守る厳格者でありこの問題を看過できなかった。

バーナード・ホプキンス
「ブイエはバンテージを巻き直さなければ試合をしないと本気で言い続けてくれました。」

トリニダードはなぜそんなに左手のバンテージの巻き直しを拒絶するのだろうか?

ニューヨークのヘッドコミッショナーが、バンテージを巻き直すか、試合の中止を迫ると彼らは最終的にホプキンスチームの申し入れを受け入れた。彼らはホプキンスチームの目の前でバンテージを外すところから監視された。

ナジム・リチャードソンは、トリニダードのテーピングが異様に分厚く岩のように硬いのを確認した。なぜトリニダードが巻き直しを拒絶していたのかが明らかになった。

ドン・フェリックスは再び息子のバンテージを巻き直したが、テープ、ガーゼ、テープ、ガーゼと繰り返し山のように積み重ねていた。これは明らかにNYSACの規則に準拠していないものだった。テープはナックルの上に直接貼ってはいけない。トリニダードはこの違反プロセスを繰り返していた。

ホプキンス
「テープとガーゼの繰り返し、それは石膏みたいなものでバッドで殴るのと同じだ。」

ナジム・リチャードソン
「秘密を暴露すれば、これを氷水に浸すとテープはカチコチに固くなる。個人的には、フェルナンド・バルガスとデビッド・リードはこのインチキの犠牲者だろう。ドン・フェリックスはまた、皮膚と指の関節にもテープを貼っていたが、どちらもNYSACの規則に準拠していない。」

ニューヨークのヘッドコミッショナーは全ての規則に沿って、ドン・フェリックスに巻き直しを命じた。

ドン・フェリックス
「私はいつもこの方法で息子のバンテージを巻いていたが、注意されたことなどなかった。家庭で妻を殴ったら大問題になったような騒ぎだが私はそんな男ではない。ナックルの上にテープやガーゼを貼ったのは息子の拳を守るためでもある。こうすることでパンチの衝撃は逆に減るともいえる。」

いずれにせよ、ドン・フェリックスのバンテージの巻き方は違法であり、今回の騒動を経てNYSACの規則に準拠に従い試合は合法的に行われた。

しかしドン・フェリックスに反省の様子はないようだ。
今回の件を踏まえ、今後はNYSACの規則に準拠に従って正しくテープを巻くのかと問うた。

ドン・フェリックス
「いえ、ホプキンス戦のようないいがかりをつけられることはもうないだろうから、いつもと同じやり方でテープを巻くよ。あれは俺たちを困らせるための嫌がらせだ。テロのようなものだ。ボクシングテロだよ。」

違法は違法だ。各試合のコミッションはこの問題をどう処理すべきだろうか、この問題に最新のルールを払う一番の理由はトリニダードの次の対戦相手であるアッシン・シェリフィーや将来の対戦相手を守るためだ。

しかしトリニダードの過去の対戦相手はどうなるのか?

トリニダードは、過去、ベストと言われる相手を破壊してトップの地位に君臨してきた。打撃を受けた相手は決して元には戻らなかった。

デビッド・リード

彼は文字通りたった一度の試合でキャリアが台無しになった。トリニダード戦後も数戦戦い続けたが、精彩なく負けのような試合をジャッジに勝たせてもらったり、サム・ヒルという格下に倒され彼のキャリアは永遠に終わった。

フェルナンド・バルガス

初回にティトの左フックを受けてダウンしたバルガスは自問した。

「俺は何に襲われたんだ。こんなパンチを受けたことは一度もなかった。この男はマイク・タイソンなのか」

ジム・ランプリー
「バルガスがティトのジャブに反応する様子をみてください。明らかにおかしい。」

バルガスはプロアマ含めトップレベルでかつて一度も倒されたことがなかったファイターだ。

ウィリアム・ジョッピーも同様だ。

しかし、トリニダードがホプキンス戦で、バンテージの巻き直しを命じられると彼の破壊力は音をたてて消えた。初回1分30秒に両者が絡み合い、ホプキンスが腕を引いた時、ティトは腕を押さえ、バルガスとジョッピーを引き離した時と全く同じ左フックをホプキンスに当てたが、ホプキンスが効いた様子は全くなかった。

5回か6回にトリニダードは左フックをホプキンスのアゴに引っかけたが、ホプキンスに怯む様子は全くなかった。トリニダードはその時点で戦いが終わったことをしっていた。ホプキンスでさえ

「左フックを当てても俺を傷つけることが出来ないとわかり、試合は終わった。」
とインタビューで語った。

"once Tito hit me with his left hook and seen that he couldn't hurt me, the fight was over."

フェリックス・トリニダードの将来にビリー・コリンズがいないことを願うばかりだ。

記者の思い入れが入っている箇所や長い部分、訳が難しいところは省きました。ドン・フェリックスという父親のモラル、各コミッションの厳格さの問題といえそうです。

個人的には限りなく黒に近い灰色。
相手の倒れ方、その後の壊れ方が普通じゃないねん。

ビリー・コリンズ事件

1983年6月16日のビリー・コリンズ・ジュニア対ルイス・レストの試合で起きた事件。

ロベルト・デュラン対デビー・ムーアの前座で行われ地上波テレビ局のABCが全米に中継した。
試合はルイス・レストが10回3-0の判定で勝利したことが告げられ、レストがコリンズのコーナーへ行き、コリンズのトレーナー兼父親のビリー・シニアに握手を求めた。しかしビリー・シニアがレストのボクシンググローブが普通よりも薄いことに気づき、ニューヨーク州ボクシングコミッションにグローブの調査を要求する。調査の結果、それぞれのグローブの手のひらの部分に0.75インチの穴が見つかり、1オンスずつ中綿が抜かれていたことが判明した。コリンズは虹彩を損傷するなど視力障害でこの試合を最後にボクシングを引退せざるを得なくなった。

1983年7月1日、ニューヨーク州コミッションはパナマ・ルイスがグローブに細工をしたと断定し、パナマ・ルイスのボクシングライセンスを永久に剥奪すことを決定。試合結果もノーコンテストに変更した。

1984年3月6日、コリンズがテネシー州の自宅近くで排水溝に車を激突させ事故死する。ボクシングを続けることが出来なくなったことに悲観しての自殺と言われている。

1986年10月、ルイスとレストは裁判にかけられ、暴行罪、武器の不法所持、犯罪の共謀で有罪となり、ルイスに懲役6年、レストに懲役3年が宣告される。(ルイスは1990年に出所する)

数年後、この事件に焦点を当てたドキュメンタリー番組「リングの中の暴行罪」の中で、レストはルイスが少なくとも2回グローブから中綿を抜いたことがあった事と、パンチ力を増すためにバンテージを石膏に浸していた事を証言している。

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原始的で単純明快なスポーツです。生涯一度の敗北、無敗で引退したボクサーもいます。負けても次頑張りますというスポーツとは違う残酷さ、無常さが好きです。

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