やっぱりKOはボクシングの華です。ユニエル・ドルティコスVSドミトリー・クドリアショフの余韻が抜けない中、マイリス・ブリエディスVSマイク・ペレスの展望を書きましたが、ドルティコスの準決勝は表題の試合の勝者が相手になります。
ユニエル・ドルティコスVSドミトリー・クドリアショフはホルヘ・リナレスVSルーク・キャンベルと被ったにも関わらず、ネット配信ライブは好調だったらしく、過去のスーパー6などより成功感が強いです。敗者復活のある過酷なリーグ戦より勝者総取りのトーナメントの方がわかりやすく盛り上がり、進行もスムーズなのかもしれません。WBSSではないけれどSUPERFLYなんかも成功し、やはりファンは団体を超えて最強は誰かを求めているんだ。
ムラト・ガシエフ
24勝17KO1NC
この風貌にしてまだ23歳、試合時には24歳になります。192センチ、リーチ193センチのオールラウンダーですが、長いアマ歴はなくプロメインでのしあがってきたボクサーのようです。
https://www.youtube.com/watch?v=OTuQWx_V9Bo
オーソドックスですが、脇の締まりがよくコンビネーションが効くタイプです。フック軌道なんだけど当たり際はストレートになってるような引き締まったパンチを打ちます。大柄だけどロングレンジよりはショートコンビで圧倒する感じでまとまりがすごくいいです。
髪型によって見た目が大きく変わるのが毛深いロシアンの特徴ですが、ショートヘア&髭の方が恐怖は増します。固いガードと圧力の効いたコンパクトなコンビネーションでトーナメントを制圧してもおかしくない強さであるとおもいます。
ガシエフ
「クドリアショフは戦術を誤ったね。ドゥロドラ戦でもそうだったように受け身で対処して相手の手数とパワーにやられた。こういう階級だから、リスクはある。また再起して欲しいね。」
当たり前だが的確な戦評である。ガシエフのスタイルからしてドルティコスに対しても下がることなく、手数負けすることもないだろう。分厚いショートコンビでガンガン懐に入っていくだろう。
それが功をそうせばガシエフ有利とみる。
クシシュトフ・ヴウォダルチク
53勝37KO3敗1分
ガシエフVSドルティコスを展望してしまったが、目の前の敵はこの人だ。名前を憶えるのも大変だが、キャリア豊富な古豪である。36歳 186センチ、リーチ191センチ。すごいキャリアの元王者だが、過去のクルーザーはあまり興味がなく未見に近い人だ。
昔の敗戦とスティーブ・カンニガムに1勝1敗、完敗といえるのはグリゴリー・ドロスト戦のユナニマスだけ。
映像をみるとこの人もオールラウンダーで上下の打ち分けが巧みだ。一撃ではなくコンビネーション型なのも同じ、それでもあらゆるパンチでKOも多い。パワーもあるのだろう。無敗ホープのノエル・ジェバーを下しての参戦。
ガシエフに比べると圧力はなく脇の締まりもない分、距離は自在であらゆる対処ができる天才肌にみえる。年齢とキャリアから来る熟練さのようなものを感じる。
共にKO率高いオールラウンダーだが、ガシエフの方に勢いとパワーを感じる。空間と距離を支配すればヴウォダルチクの技巧が冴える可能性もあるが、狂暴なガシエフのラッシュの方が怖い。
ヴウォダルチクをみるにつけ、これに完勝したグリゴリー・ドロスト40勝28KO1敗というのも気になるけれど、怪我から2年試合をしておらず、このままフェードアウトか。
大好きだったドミトリー・ピログもそうだが、ロシアンがケガすると致命的な事が多い気がするな。かなり体を酷使するトレーニングなんだろうか?
というわけで、いつものように不利、アンダードッグなヴウォダルチクを応援しようとおもいますが、打倒、ウシク(ペレスやブリエディスになるのかもしれない)まで考えると若く、底の知れないガシエフに期待せざるをえないところだ。
この半端ないイカつさ、ゴツさはロシア特有です。