ボクシングは犬と犬が共存する世界だ。リックの出番だ。ヴィラの懐に金が入るし、約束を守ってくれた。
エマニュエル・ナバレッテにとり、今までとは一味違う、真価が問われる相手になりそうだ。
ルーベン・ヴィラは常に予備のプランを持っていた。
世界タイトルマッチが実現せずとも、コロナウィルスの影響でプロキャリアに狂いが生じることがないように。
物事は最終的に、先を急がぬフェザー級のプロスペクトに幸運をもたらしそうだ。ヴィラはいくつかの不必要なドラマを乗り切る必要があったが、今、空位のWBOフェザー級タイトルを争う位置に戻ってきた。
カリフォルニア州サリナス出身の23歳は、WBOからメキシコのエマニュエル・ナバレッテ(32勝1敗28KO)との交渉を開始する機会が与えられた。元スーパーバンタム級タイトルリストのジェシー・マグダレノがタイトル戦を辞退したため、チャンスがやってきたのだ。マグダレノは、今年の7月に更新された最新のアップデートで、2020年のWBOフェザー級で2位の座を保持していたヴィラを抑えて、ランキングを上げた。
ヴィラ
「WBOが俺を3位に降格させたとき、ちょっとがっかりしたけど、ビジネスがどのようなものかわかっているので冷静だった。マグダレノが理由が何であれ試合をしないと決めたときはエキサイトしたよ。俺はすでにジムに入り、何ヶ月もトレーニングとスパーリングをしていたし、チャンスが来るのを待っていた。今、俺たちのキャリアの中で完璧なタイミングに来ている。」ヴィラ(18-0, 5KOs)は、今年1月にShowtimeでアレクセイ・コラードに10ラウンド全会一致の判定勝ちを収めて以来、リングを離れている。
この試合は、ヘッドトレーナーのサム・ガルシアと共に、バナー・プロモーションズとトンプソン・ボクシング・プロモーションズによって、プロスペクトからコンテンダーへと適切に成長したヴィラの最新のステップアップを示した。
昨年1月に無敗のルーベン・セルベラに8ラウンドのシャットアウト勝ちを収めた時から、2020年のタイトルステージにつながる道を歩むことが計画されていた。この一年、ずっと注目していたタイトルを争う他の2人の試合が実現するのであれば、再びサバイバル戦を勝ち抜いていく予定だった。
サム・ガルシア
「もしタイトルマッチが実現しなかったら、トップ15、トップ20のような選手を相手にすることになっていた。これまでの経験からして自然な流れだ。私たちはかなりタフな相手と戦ってきた。過去4人を見てみろよ。ルイス・ロペスは過去4戦で3勝を挙げている。唯一の敗戦はルーベンで、無敗の2人とアンディ・バンセズ(トップランカー)を倒している。ルーベン・セルベラとホセ・ビバスは共に無敗だった。ビバスは無敗のプロスペクト(カルロス・ジャクソン)に大勝したばかりだ。負けたのはルーベンだけで、ルーベンは過去4戦で数ラウンドしか失っていない。ヴィラはこのタイトルのために準備をしてきたし、必要ならば、また別のタフな試合をする準備をしていたんだ。」
その代わりに、ナバレッテ陣営との契約や入札をする時が来た。最近、世界的なマネージャーであるリック・ミリジアンが加わり、交渉をまとめていくことになった。
サム・ガルシア
「リックを完全に信頼している。だからこそ、チームのアドバイザーとして雇ったんだ。私の母(ガルシア・ボクシング代表キャシー・ガルシア)は厳しい交渉人だけど、今は2人の姪っ子のおばあちゃんとして人生を楽しんでいるよ。ボクシングは犬と犬が共存する世界だ。リックの出番だ。ヴィラの懐に金が入るし、約束を守ってくれた。次の仕事は ヴィラがこれ以上無駄な仕事をせずに タイトルを獲得できるようにすることだ。」
ヴィラ
「すべての試合を、それがタイトルマッチであるかのように考えて戦ってきた。トレーニングだってそうだ。次がタイトルマッチになったからには、もっと自分を追い込むつもりだ。ナバレッテが俺を潰しに来ることはわかっている。ナバレッテのやる気を利用して、彼よりも早く適応できるようにしたい。彼が俺のスタイルに適応するよりも、俺の方が彼のスタイルに適応できる可能性が高いとも感じている。俺はよく動くし、ナバレッテは俺のようなスキルと能力を持った誰とも戦ったことがない。」
もしも
エマニュエル・ナバレッテがシャクール・スティーブンソンと対戦したらどうだろうか?
個人的に怪物と評価しているナバレッテだが、メキシカン特有のゾンビのようなフィジカルとタフネスに敬意を表しているからであり、スピード、器用さなど、欠点材料も多い。井上尚弥のライバルとして警戒していたのであって、フェザー級で自身の体格の優位が減る階級では未知数なところがある。シャクール・スティーブンソンやゲイリー・ラッセルJrはそんなナバレッテの鬼門といえるファイターだと考えている。
ルーベン・ヴィラはそんなスティーブンソンとアマで頂点を争った逸材だ。
最初の2戦に勝ち、最後の2戦に敗れ、五輪代表の座を譲った。
その他にもデビン・ヘイニー、ステフォン・フルトン、ゲイリー・アントニオ・ラッセル、デューク・ラガンら、錚々たる顔ぶれに勝ってきた。身長168センチと少しナバレッテには劣るが、フェザー級に相応しい体格の持ち主でもある。
これは、エマニュエル・ナバレッテにとり、今までとは一味違う、真価が問われる相手になりそうだ。
果たして、階級を超えた怪物たりえるのか
サルバドール・サンチェス
フリオ・セサール・チャベス
マルコ・アントニオ・バレラ
エリック・モラレス
ファン・マヌエル・マルケス
のような時代を代表するようなメキシカンファイターたりえる可能性があるのか、それが垣間見える瞬間になるだろう。
プロらしい、パワー、タフネス、底力という点ではやはりナバレッテなのかなという印象だが、ヴィラは簡単な相手ではなさそうだ。
エマニュエル・ナバレッテの全貌がみれる試合
ヴィラを応援してみよう。
井上尚弥も2021年にはこういうステージに行って欲しいな、つまりはスーパーバンタム級。こっちは熱いぞ。