生きている喜びを感じる場所/ブライアン・ビロリア

2月24日、Superfly2にフライ級タイトルマッチで参加するビロリア、もう大ベテランの37歳です。連勝中だが内容が悪いしなぁ、くらいにしかおもっていませんでしたが、なかなかいい話なので、翻訳というより要約させていただきます。

ハワイアンパンチ、ブライアン・ビロリアとアーテム・ダラキアンのタイトルマッチが2週間をきりました。37歳、2000年のオリンピアン、ビロリアのチームメイトは皆引退しています。ジャーメイン・テイラー、ジェフ・レイシー、ロッキー・ファレス。

ビロリア
「冷凍室で肉体が腐らないよう保存しているんだ、なんてね。

実際はリング外でも健康的に過ごしているだけです。トレーニングキャンプではない時でも私のライフスタイルはそれと同じです。メイウェザーやホプキンスと同じです。」

トレーニングキャンプというのはしばしば減量目的で行われます。
それが悪循環になり選手生命を縮める事にもつながります。

ビロリア
「30歳くらいでキャリアは終わるとおもっていました。軽量級は特に選手寿命が短い。私は神に機会を与えられ、祝福されているように感じます。何か奇跡が起こることを望んでいるのではなく、ありのまま、平穏な事に喜びを感じます。」

2015年にチョコラティート・ゴンザレスに負けてから、ビロリアは連勝中です。

ビロリア
「敗戦を乗り越えてきたからこそ今があります。負けてどうしようか内省した事が何度もあります。エストラーダに負け、オマール・ニーノにも負けました。引退を意識した事は何度もあります。」

ビロリアは、2005年にエリック・オルティスを倒して初めてタイトルを獲得しましたが、その前にも引退を覚悟した事があるそうです。

ビロリア
「まだ、世界戦をする前にルーベン・コントラレスとの試合で、彼は脳血栓で昏睡状態になりました。彼が死んでしまったら、私はグローブを吊るそうと考えていました。」

幸い、手術は成功し、コントラレスは生命の危険を脱しました。ビロリアは戦い続けその後4つも世界タイトルを獲得しました。ダラキアンに勝てば5個目の王座獲得になりますが、彼は自分が現時点でどのような立場かわきまえています。タイトルを失ってから5年経過して再びタイトルを獲った例はほとんどありません。

ビロリア
「年をとると反応や決断が鈍くなります。けれど以前より状態はいいと感じます。今は本当に気分がいいです。戦術を練り、それを実行できると信じています。自分にはまだ力があります。だから5度目のタイトルの機会を掴むことができたのです。自分に残された時間はもう長くないとわかっています。40歳まで続けることはないでしょう。こんな瞬間はもう多くは残されていないと知っていますので、試合を、そのかけがえのない瞬間を一つづつかみしめて楽しもうと自分に言い聞かせています。」

37歳のオールドファイター、”ハワイアンパンチ”ビロリアはどうやって、無敗でハングリーなダラキアンに打ち勝つのでしょうか?

ビロリア
「スマートに戦う事、自分の経験を強みに、相手の経験不足を引き出す事です。ダラキアンが才能あるファイターである事はわかっています。コンディションを整えてベストを尽くすのみです。勝つために正しい事をします。その準備は整いました。24日に披露します。」

チュコラティートとの試合の前に彼にインタビューした事があります。「ゴンザレスに勝って引退する事がキャリアの集大成である」と彼は答えました。しかし彼にはまだやり残した仕事がありました。再び、引退について彼に聞くことはしませんでした。なぜなら、2月24日、その先も、彼は試合が出来る事が何よりも嬉しいとおもうからです。

ビロリア
「リングで何が起きようが、ただ試合を楽しむつもりです。毎分毎秒を楽しむ。リングの中こそ、自分が最も生きている喜びを感じるからです。私がまだ子供だった頃、ボクサーになると決めました。世界王者を夢見てきました。そして今なお、そのレベルでボクシングを続けています。もちろん、勝ってベルトを巻きたい。けれど同時に、全過程を通してみれば、最高に幸せなボクサー人生であり、その点で私は既に勝者なのです。」

もう全盛期の強さではないでしょう。この試合もオッズは不利かもしれません。
王座陥落から5年経過し再び王座を獲得した例は少ないそうです。
さらに相手は無敗の新鋭です。

誰もが、もうビロリアの時代ではないと内心おもっているでしょうが、4団体全てのベルトを獲得した強い王者です。日本人でこの境地に至ったボクサーはいないでしょう。時代の寵児”ハワイアンパンチ”の最後かもしれないエキサイティングな勝利を期待します。

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コメント一覧
  1. g1j2p5i5さん

    日本でビロリアの試合も観ました。山中の前座でした。
    帝拳所属外人の扱いがわかりませんね。
    今やほぼ海外で試合してますし。
    プロモートをちょっとだけ手伝ってというくらいですかね。

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  2. >所属選手という位置づけがイマイチわかりません。
    プクーさんのことだから ビロリアがテイケンと契約したのはご存知かと。
    なので勝てば ホルヘ、ロマゴン、クアドラと同様 テイケンHPの自ジム世界王者一覧に記載されそうだと。ちなみになぜか村田は一人 別格世界王者扱い笑。なのにJBCから認定されてないロマゴン(ビロリアも日本ジム所属とはならないけど 勝てばシレッと並びそう笑)が 注釈もつけずに一覧表に 普通にあるのはおかしいと進言したんです

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  3. ロープめっちゃ上手い人、ぐらいしか知識がなかったですが
    応援したくなる人ですね、インスタ見てると人の良さが伝わってきますし。
    ルール、練習方法、テクニック、食事、体のケア、どれも進歩しているため選手寿命は
    全体的に昔より長くなっていますが、第一線でやれている人もまた一握り。
    長谷川みたいに勝って引退、という姿が見たい選手ですね。

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  4. 応援していても終了してしまいモヤモヤなまま・・・ボクサーを応援していると過去にも何度もそんな事がありました。
    そんな事より、管理人さん粟生がついに試合ですよ!!しかも負けた相手と。
    本人次第でこういう事もあるんですよね。

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  5. ダラキアン側のインタビューなどあったらとりあげたいとおもいます。
    彼も生涯唯一かもしれない晴れ舞台ですね。
    よくわかりませんが軽量級離れした一発一発重いダイナミックなスタイルです。
    彼とも比嘉ともやらずにフェードアウトした王者もいましたね。

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  6. ダラキアンにタイトルマッチの機会が巡ってきて良かった。

    指名挑戦者や上位ランカーを無視するチャンピオンはどんどん引退して欲しいです。

    クリス・ジョンにどうしても勝てなかったリカルド・ファレス懐かしい…

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  7. 本人が言うように反応・決断の遅れが命取りになる試合でしょうね。
    逆にそういう1発さえもらわないように慎重な入り方をして下中心に攻めていけば問題なくビロリアが勝つと思います。無敗の新鋭とピークを過ぎた?古豪 こういう試合は残酷な結果が見え隠れします。そこには古豪が深層心理に死に場所を求めているような気もします。
    しかしダラキアンがビロリアの死に場所とは思えない。ここをクリアして是非、比嘉とやってもらいたいと思います。

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  8. g1j2p5i5さん

    テイケンに進言までなさったのですか。
    所属選手という位置づけがイマイチわかりません。

    これを読んで、ビロリアを応援したくなったけども
    心境はスペンスとやる前のピーターソンによく似てる。

    アゼルバイジャン発ウクライナのダラキアン側にもストーリーはありそうだし
    読めない試合ではあります。

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  9. 勝てばテイケンが 自ジム所属選手として また世界王者一覧表に加えそうですね?
    (※JBC→ロマゴンは日本ジム所属世界王者は却下、なぜかクアドラはOK)

    何度かテイケンに 「ロマゴンの配置がおかしい 又は注釈をつけるべきだ」と
    進言したのですが・・・

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