ワイルドでもないだろぉ/デオンティ・ワイルダーの皮算用

スーパーヘビー級超合金のデオンティ・ワイルダー、実は100キロ未満の軽い方のヘビー級なのだ。体重無制限のヘビー級ボクサーに減量という概念はあるのか・・・

WBCヘビー級王者のデオンティ・ワイルダーはアンソニー・ジョシュアに勝ったらクルーザー級に移行する野望があるという。

ワイルダー
「ヘビー級を統一しクルーザー級も統一しようと考えている。過去にヘビー級王者が階級を落として戦ったことはないだろう。」

理屈は面白いといえますが、実際は意味のない事のようにみえる。ワイルダーは今ヘビー級の第一人者としての名声を確立しています。実際ワイルダーの体重は他のヘビー級選手に比べると軽いですが、ワイルダーは最重量級の主役の一人です。

”ブロンズボンバー”ワイルダーは比較的弱い相手に32連勝をし2015年にバーメイン・スティバーンから王座を奪った。過去3年間も王者に君臨してきた本格的なヘビー級王者は長らくいませんでした。ワイルダーは米国ヘビー級の再建に一役買っています。そして今、彼はWBA、IBF、WBO統一王者のアンソニー・ジョシュアとの決戦というひとつの終着点まで来ています。その戦いはヘビー級最大の試合としてこの階級の人気が爆発するほどの魅力に満ちたものです。

しかしワイルダーは、階級を下げクルーザー級を狙うことに興味があるようです。なぜ彼はそんなことにこだわっているのでしょうか?

6フィート7インチ(201センチ)で階級を下げること自体が大きな挑戦といえるでしょう。直近のルイス・オルティスとの試合では215ポンドを下回る体重でした。ヘビー級としては軽く、長身のワイルダーはかなり痩せています。この身体であと15ポンド落とすのは無理だとおもうが、自身の身体を一番わかっているのは彼自身なのだから、きっと落とせるのだろう。

しかしなぜそんな事がしたいのか。クルーザー級にはビッグネームはいません。アンドリュー・ダビッティを除くと主要選手は米国外であり、ウクライナのオレクサンドル・ウシクやロシアのムラト・ガシエフがトップに君臨しています。ミーハーなボクシングファンには知られていない名前ですし、ビッグマネーファイトにもならないでしょう。ワイルダーの転級はジョシュアに勝った後という条件付きなので、かなりの箔がつくだろうが、そんな彼がウシクやガシエフ相手にそれ以上の名誉やお金を得ることはないのです。想像するだけなら面白いですが・・・

そんなことになるとヘビー級は落とし穴に陥ります。ワイルダーはヘビー級王座を返上する気はなく2階級を保持したいと述べたが、それは有益な事ではありません。

ワイルダーは年2試合ペースで戦っていますが、2階級を保持するなら両方のファイターと戦わなければなりません。すると試合が枯渇します。他のランカーにとってはチャンスが減るのでワイルダー以外のベルトを暫定的に争わねばならなくなります。

ワイルダーは米国ヘビー級再建のキーマンです。最重量級の王者である事が価値であり、より小さな規模でしかないクルーザー級で活躍しても意味がありません。ボクシングの象徴であるヘビー級にはワイルダーが必要なのです。

ヘビー級タイトルを統一したらすぐさまクルーザーに移行するのではなく、誰もが認める最大最強の地位を確立することの方が理に適っています。その時になれば人気もお金もついてくるので、自分の好きなように出来るでしょうが今はまだその段階にいません。もしワイルダーがジョシュアに勝つならば、マイク・タイソンのようなヘビー級のシンボルとしてやっていくのがふさわしいです。

ワイルダーは大きな夢と野望を抱いているのかもしれませんが、孵化する前に卵を数えるべきではありません。今彼の目前には壮大なスケールの戦いが控えており、うまくいけば最高峰の栄誉を手にできるのです。その後もヘビー級に留まり、真のヘビー級のスターとしての地位を確立すべきです。

https://www.youtube.com/watch?v=KdkmFR0ATUI&t=2s

語り口を変えて何度も同じ事を言ってるだけに感じましたので端折りましたが、これは挑戦というべきか、よもやジョシュアに負けた時の言い訳の伏線か(奴には俺は軽すぎる)

地位も名声も得られるボクシングの象徴でもあるヘビー級の頂点に君臨する方が伝説になれる、大金持ちになれるのは同意です。しかし本人がその気なら止める気にはなれません。

ウシクにはパワーという魅力が欠けるけど、素晴らしい機動力とテクニックが・・・
ガシエフには象をも倒しそうな屈強さが宿っています。

実際、暫定的な体重で元ヘビー級王者のデビッド・ヘイに連勝したトニー・ベリューはライトヘビー級のアドニス・スティーブンソンにぶっ倒されていますし、現クルーザー級の多くのランカーや元王者たちは階級下のライトヘビー級王者に倒された者ばかりです。

サイズが気になりますが、ライトヘビー級のセルゲイ・コバレフのクリーンヒットを食って立っていられる人間はいないとおもいます。大味なヘビー級より国際色豊かで共産圏のトップアマが豊富なクルーザー、ライトヘビー級の方が個人的にはエキサイティングで楽しいです。なので、体重を作れるならばどうぞ、ご自由に、むしろ今のヘビー級と階級下ではどちらが強いのかがはっきりし興味深いです。

しかしワイルダー、ジョシュア、クリチコと、ヘビー級はもはやタイソンの時代とは別のスーパーヘビー級時代に突入したなんて断言しちゃってますが、ワイルダーが100キロに満たないのは意外な盲点でした。人間離れした超体格の持ち主ですが貴殿は堂々たるヘビー級であり、スーパーヘビーではないのかもしれません。あまり賢くなさそうな発言が目立つワイルダーですが、彼ももう32歳、あのシェイプされた身体、相当な鍛錬の賜物なのでしょう。それでもは超大味といえるワイルダーのあのボクシングスタイルが、洗練されたクルーザーで通用するかは疑問です。

そして、ジョシュアに勝つという前提も微妙だし、ウシクやガシエフとはいいますが、そのどちらかだけでしょう。彼らもWBSSを制したらヘビー級に上げると言っていました。さらには、コバレフやベテルビエフがもっと強くおもえてしまう時だってありますよ、ぶっちゃけ・・・

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