デオンティ・ワイルダーVSバーメイン・スティバーン

今年最初の大一番、全勝、全KOのワイルダーの真価が問われる試合。

まだ、強敵とやっていない、試されていないと言われるワイルダー。
しかし最低限、オードリー・ハリソンやセルゲイ・リャコビッチとやっており、圧勝。リャコビッチはガードをぶち破られ痙攣失神KOだ。

身長200センチ、リーチ211センチで細身のストレートパンチャーで、過去の試合を見る限り、スーパーヘビー級、常識を超えた破壊力を備えていることは間違いない。
それこそ、クリチコに感じる、ヘビー級で収まらない巨人の一人だ。

しかし、テクニシャンとはいえず、ケンカ殺法の倒し屋といった感じで必殺の右ストレートに象徴されるように、大きなパンチばかりが目立つ。

対するスティバーンはワイルダーと比べれば小さいが、柔らかさと巧さ、そしてパワーもある。
クリス・アレオラとの2連戦はロープ際で押されているようでいてパンチを殺すテク、ボディワークなど柔軟なボクシングで確かな差をみせた。
時代が今でなければ一流の王者ではないかとおもう。

スティバーンはハイチ人でカナダ拠点ということで、独特の柔らかさのある選手だ。

あまり攻めていかずロープ際でやりくりするような職人肌なので地味目だが、KO率も高く天才肌といえばこちらかなともおもう。

両者、スタミナがある方とはいえないとおもうが、大振りでスタミナ配分を考えないワイルダー、4回以上やったことがない倒し屋の彼に比べスティバーンの方が省エネ型で持久力はありそうだ。

総合力ではスティバーン、突出した武器ではワイルダーという感じで世間の予想ほどワイルダー有利ではないといえるかもしれない。
(意外とスティバーンの大人なスタイルが評価されてオッズは接近しているらしいが)

予想としてはスティバーンがロープに誘い込むような、相手を引き込むような試合をみせるものの、ワイルダーの大砲がかすりでもしたら倒れてしまうとおもう。
そのくらいの勝ち方をしないとワイルダーはクリチコには勝てないだろう。

ずっと前からワイルダーだけはクリチコを倒せるとおもっているが、それは距離があっても長い右をおもいきり打ち込め、破壊力があるから。
ジャブで距離をとり、巨大な体格を生かしクリンチレスリングでも相手を封印するクリチコに対し、大いなる威嚇ができるとおもうからだ。

クリチコの敗戦はもう8年前のレイモン・ブリュースター戦だが、再戦では圧倒している。パニックになると立て直せず一気に崩れる弱点、打たれ脆さはまだあるはずだ。
そこをつけるのは盤石化したクリチコにとっては同じ体格で自分より速いワイルダーだけだ。

しかし試合が4ラウンドを超えた時、スティバーンの技巧がワイルダーを圧倒する可能性も十分だ。

どっちかというと超体格のスーパーヘビーが席巻するよりは従来のヘビー級が勝つ方がうれしくもあり、予想はワイルダーだが、賭けるならいちかばちかでスティバーンのノックアウト勝利だ。
スティバーンの勝機は後半、ワイルダーの策が出尽くしスタミナ消耗した頃だろうが、序盤にカウンターぶちかましてノックアウトだってありうる。

両者にとりノックアウト決着が確実な試合だが、ワイルダーには試されていない部分が多すぎる。
この超人も打たれて強くは決してないだろう。

スティバーンの勝機は恐怖を克服すること、委縮することなく打ち合うこと。下がるばかりでなく前に出ること。
ロープに詰まってもカウンターを狙い続けることだ。

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