ヘビー級の頂上決戦は映画を地で行くような劇的な展開の末、やはり新時代のスターが勝ちました。これ以上ない結果だったかとおもいますが、やはりスーパーヘビー級ならではの大味加減もたっぷりでした。
17か月ぶりのリングという41歳のクリチコ、この試合の意義を感じる精悍な仕上げ。対するジョシュアも全く同等の体格でシェイプされており、こんな2人が揃うだけで奇跡かもしれません。
慎重な出だしから5回にジョシュアが仕掛けると左フックからクリチコがダウン。ちょっとアクションが出るとすぐこういうシーンに繋がります。しかしここで体力を使ったジョシュアは手数が減り、逆にクリチコの反撃がはじまります。小さなパンチや得意の左のチョップ気味のフックですが、これだけで形成は逆転。6回には疲労とダメージの濃いジョシュアにワンツーでクリーンなダウンを奪い返しました。
が、ここまでがこの試合の最高潮ボルテージ。
ダメージはジョシュアの方が深刻で立っているのが精一杯、全く手が出ない。しかしクリチコの手数もこのダウン以降パッタリ止まってしまいました。
あとは、10ラウンドくらいまで特に動きなし。
少しクリチコがジャブ的なものを放つだけのノーアクションで過ぎていきました。
そのおかげでダメージを回復させたジョシュアは最後の体力を使い、11ラウンド、再び手を出しアクション開始、そのままダウン2度とレフリーストップで試合は終わりました。最後に爆発できる若さと余力を残したジョシュアの綱渡り勝ちです。クリチコはジョシュアをなぜ延命させたのか。
お互い、ダウンを奪った後に詰めていれば一気に終わりにできそうなところ、筋肉消費と消耗が激しいのか止まってしまう。チャンスでスタミナが切れてしまうのが顕著でした。特に6回にクリチコがダウンを奪ったシーンは、これでトドメを刺して終わるだろうとおもいましたが、ピタッと止まってしまいました。
10回までのらりくらりと来た時はこれでクリチコは判定で勝っているとおもっているのかなと疑うほどでした。ジョシュアがジャブを出すだけで大歓声が沸く会場で。けれど、体力、ダメージ、共にギリギリだったんでしょう、惜しい敗北でした。
ジョシュアは6回に倒され効いた時点で、10回以降に勝負と決めていたとおもいます。それほど極端に体力回復に努め、手を出しませんでした。ダウンの応酬でエキサイティングな幕でしたが、中盤からはムズムズともどかしい展開、最後は若いジョシュアがこう出るだろうという予想通りの漫画のような展開でした。
これだけの超体格の超合金が戦うとこういう内容になってしまうのだろう。他のボクサーとは肉体もパワーの次元も違う世界なのかもしれないが、技術的、戦術的深みを感じることが出来ないので、やはり自分は大穴、もうちょい緩いズングリおじさん、ルイス・オルティスの出番を待ちたいとおもう。今日の両者ほど硬質ではないですが、技術の深みを感じるヘビー級なので、こっちの方が見ていて楽しいのだ。
まずはビッグイベント、両者お疲れ様でした。
クリチコは引退ではなく、惜しい試合だったので再戦要求だとか。
今日以上の仕上げは難しいだろう。
自分と同体格で、中身も伴った相手だと様々な優位性は一気に消え、互角の打ち合いになるんだな、やはり。
カルロス・サンブラーノVSクラウディオ・マレロ
すごい一撃でした。
映像出たらお楽しみに。