ここに怪我明けのユリオルキス・ガンボアが出て来るとしたら、やっぱり過保護と言わざるを得ない。
元2階級王者、ザブ・ジュダーは、最近噂されている、デビン・ヘイニーVSゲイリー・ラッセルJrが今年中に行われることを確信している。ジュダーはヘイニーをサポートしている。
デビン・ヘイニーVSゲイリー・ラッセルJrの交渉はスムーズとは言い難い。ラッセル側からオファーされたものだが、ヘイニーのプロモーター、エディ・ハーンは、ヘイニーに次はユリオルキス・ガンボアとの試合を予定しているからだ。
ハーンはヘイニーを生まれたばかりのひよこのように守りたいようだ。今ヘイニーをラッセルと戦わせるのは鶏小屋にキツネを放つようなものだ。
ラッセルJrはヘイニーにとっては悩みの種だ。ヘイニーはライト級ではパワーとスピードに欠ける。21歳のヘイニーに熟練のラッセルJrと戦わせる決断がハーンには出来ていないようにおもわれる。
エディ・ハーン
「11月7日にヘイニーが復帰する予定だが、対戦候補はユリオルキス・ガンボアかゲイリー・ラッセルJrです。デビンは誰からも逃げません。」ヘイニーは巨大なスターになる可能性を秘めた才能だが、過去5年間フェザー級を試合してきたラッセルと戦う準備が出来ているかどうかは疑わしい。
ラッセルはフェザー級で最長王者であり、他の王者から試合を回避され続けうんざりしているので、ライト級にアップする予定だ。ヘイニーにとっては過去一番の強敵であることは間違いない。
38歳のガンボアを次の候補に考えているハーンがラッセル戦を承諾するとはおもえない。この試合はハーンが予期していたものではなく、SNSでラッセルとヘイニーが舌戦を繰り返したことからはじまった。
ザブ・ジュダー
「とてもエキサイティングな試合になるだろう。俺は一晩中ヘイニーと一緒にいるから俺が状況をまとめたいとおもう。デビンはラッセルとの戦いから逃げないよ。」もし試合が実現したら、ヘイニーは体格差、長いリーチを利用してラッセルを中に入れさせないことに努めるだろう。ジュダー自身偉大な試合を繰り広げてきたが、過信して打ち合いに挑み痛い目にあってきた。
マイク・タイソンだけが、身長やリーチ差が関係ないことを証明した。ラッセルは自身の体格的劣勢をタイソンのプレイバックから取り出すことを目指している。
展開によって、両者の試合は退屈な戦いになる可能性もある。
ザブ・ジュダー
「どうなるかは誰にもわからないが、彼らは合意するでしょう。要するにこの試合は今最も優れた2人による試合なのです。王者は一人でなければならない。あとはラッセルが本気でこの試合をやる気があるのかどうかだけだ。両者がこの試合を意識しているというだけで、具体的な交渉に関してはわからない。しかし、それが良い試合であり、世界が観たいとおもっているものであることは間違いないから、俺としては実現させたい。」ラッセルが提案した条件は以下の通りだ。
ShoetimeではなくDAZNで戦う(ヘイニーの主戦場)
ファイトマネーは150万ドル今のところ、試合を避けるとしたらヘイニーの方だ。ユリオルキス・ガンボアとの試合も同時に模索しているからだ。ハーンがラッセルJrを警戒しているといえるかもしれない。
ザブ・ジュダー
「デビンはスペシャルなんだ。アマチュア時代からそう言い続けてきた。無名のころからデビン・ヘイニーはすごいと言い続け、今それを全て証明している。オーソドックスでもサウスポーでも関係ない。時間、そう、今こそヘイニーが輝く時なんだ。」ジュダーの言葉に反し、ライバルのジャーボンティー・デービス、テオフィモ・ロペス、ライアン・ガルシア、そして絶対王者のワシル・ロマチェンコらに比べ、ヘイニーはインパクト不足で、今こそ彼が輝く時間とは言い難い。ジュダーの言うように、ヘイニーの時間かどうかは今後5年間をみてみなければわからないが、今とは言えない。先の選手たちと戦うことで証明できるが、エディ・ハーンがGoサインを出すとはおもえない。
ザブ・ジュダー
「自分を信じてトレーニングに励むのみだ。ライバルがたくさんいるのに対戦を避けているようにみえるが、俺は毎日デビンを観ている。信じてくれ、サウスポーとして俺の経験や技術を全てデビンに与えよう。俺たちは大きな戦いに向かっていく。」デビン・ヘイニーもザブ・ジュダーもやる気をみせているが、プロモーターのエディ・ハーンがどのような判断をするかに注目だ。残念ながら、前戦のアルフレッド・サンチャゴ戦のヘイニーの出来は悪く、サンチャゴはトップレベルではない。ガンボアとも違い、ラッセルJrは丘の上のベテランではなく、今なお、現役の世界王者でありフェザー級のトップだ。
みんなから見向きもされないゲイリー・ラッセルJrが手繰り寄せたのは、次世代スター候補の一角ながらも、存在も試合内容も一番地味なWBCレギュラー王者のデビン・ヘイニーだった。
皮肉なことに、ライト級のライバル、ジャーボンティー・デービス、テオフィモ・ロペス、ライアン・ガルシアらの誰よりもインパクト不足で人気がないとおもわれるが、レジェンドのフロイド・メイウェザーに一番スタイルが似ているのがヘイニーだ。
危機管理能力が高く、専守防衛的なボクシング。
攻撃よりもディフェンスが厄介なスタイル。
しかし結果的には、そんなメイウェザーがヒール役も引き受けて、その負けないボクシングで記録を作り、一番の富を築いてきた。
デービスはパッキャオやモズリーであり
ガルシアはデラホーヤであり
ロペスがフェルナンド・バルガスであるなら
デビン・ヘイニーこそ第二のフロイド・メイウェザーなのかもしれない。
しかし今のところ華がない。勝負の試合もしていない。
その座はシャクール・スティーブンソンに持っていかれるかもしれない。
ヘイニー自身は師匠のザブ・ジュダーがいいところか。
そしてこれまた皮肉なことに、相手のいないゲイリー・ラッセルJrは、レオ・サンタクルスからはじまって、オスカー・バルデス、ジョシュ・ウォーリントン、デービス、ロマチェンコ、さらにはテレンス・クロフォードまで追いかけているが、誰にも相手にされず、2階級ジャンプして戦うにはタイソンと違い、体格だけでなくパワーも不足している。
ラッセルが、ライアン・ガルシアを口にしないのは、どうせ待遇が違い、実現不可能だからか、このキッズは認めるに値しないからか。いずれにせよ、彼らアメリカ人同士でガチガチに戦ってみて欲しいものだ。小さなラッセルJrがひっかきまわす存在になるのかもしれない。見た目は井上尚弥と互角の体格だ。
ここに怪我明けのユリオルキス・ガンボアが出て来るとしたら、やっぱりヘイニーは過保護と言わざるを得ない。勝っても人気は得られないだろう。デービスに負けたばかりのガンボアでは。