世界ボクシング不完全ガイド ライト級

やっとここまで来た。
これより下の階級、バラバラですが抜けてる部分はたぶんないとおもう。
最初は長谷川の茨の道がどうなってるのか確認したくてはじめただけ。リゴやドネアのいる階級で王者になってくれたもんで。
本来は最軽量級がここであるはずだったのだ。だからこの階級以下は本場であまり人気ないのだろう。
それをメキシコのヒーローやパッキャオがこじ開けてくれました。
日本人に無縁の世界です。どんな猛者がいるのやら。

WBC
WBA休養?スーパー?
ホルヘ・リナレス

41勝27KO3敗

パワー:★★★
テクニック:★★★★
スピード:★★★★★
ディフェンス:★★★
タフネス:★
戦術(キャリア):★★★
メンタル:★★★★

ライト級の2冠王者、3階級制覇。帝拳所属のイケメンスター。
ルックス、構え、スピード、シャープネス、モデルのようにかっこいいボクシングだ。
しかし、ライト級では体格もパワーも並、耐久力はガラス細工だろう。

勝てる相手に星を落とし、3敗は全てKOと苦労してきたが、努力する天才は報われた。
日本を離れ海外転戦するようになってから筋金が入ったようにおもう。
2階級王者だが、ケビン・ミッチェルとの試合あたりから結果を出すようになってきたともいえ、まだ本格的な選手との対戦はない。そして危ういだろう。

どこか、井上尚弥に似て、芸術性の高さは折り紙付きだが、試合中にアクシデントを招きやすいともいえる。
本格的なライト級とはまだいえぬ心技体なのだろう。

WBA
デジャン・ズラチカニン
22勝15KO

パワー:★★★★
テクニック:★★★
スピード:★★★
ディフェンス:★★★
タフネス:★★★★
戦術(キャリア):★★★
メンタル:★★★★

163センチしかない豆タンクのようなファイター。モンテネグロなのが貴重。
リナレスがいて彼がどういう立場なのかわからないし世界的評価はあまり高くはなさそうだ。
しかしSライト王者のバーンズにも勝っており、戦績の中身はリナレスより濃いかもしれない。

体を丸め、ガードを固め、前に前に圧力かけて左右のフック、スイングと体格を考えればこれしかないという狂犬スタイルでパワフルだ。
小さい分、身体も首もふくらはぎも太く、タフネス、根性がこの人の持ち味だろう。
イースターとの体格差やリナレスとの華麗さの違いが面白い存在だ。

きっと強い。リナレスがこの豆タンクをコントロールできるだろうか?
4-6くらいで不利と見る。

IBF
ロバート・イースターJr
18勝14KO

パワー:★★★★
テクニック:★★★
スピード:★★★★
ディフェンス:★★★
タフネス:★★★
戦術(キャリア):★★★
メンタル:★★★★

身長180センチ、リーチ193センチ。Jrと言ってもシニアを知らないのでJrは省いてもいいだろう。
無冠の帝王と煽られたリチャード・コミーを下して王者になってしまった。
この試合は接戦で互角といえたけれども。

長身、強打のストレートパンチャーで怖い選手だが、前に攻めてくるので体格以外にやりにくさはない。
しかしパワーもスケールもライト級をややとび抜けているだろう。
アメリカのホープは戦績に中身があるから本物だ。
まだ新米王者なので未知の部分はあるがスケール感でもはや階級トップかもしれない。

WBO
テリー・フラナガン
31勝12KO

パワー:★★★
テクニック:★★★
スピード:★★★★
ディフェンス:★★★
タフネス:★★★
戦術(キャリア):★★★
メンタル:★★★★

査定しづらい。特徴がつかめない。
長身のアウトボックスよりのサウスポーか、パワーもテクも特筆すべきものはない気がするが負けにくい選手なのか。
逆に減点材料もみあたらない。ライト級らしくまとまった好選手とでもいうのだろうか。
軽い試合でやや苦労、大事な試合でKO勝ちしたり、とらえどころがないが危ないシーンもまだ未見。
ドローもなくここまで全勝なのは強い証拠だろうし欠点がみえないので安定王者といえるのかもしれないが、とびぬけたものもないので、そういう持ち主にあっけなく屈する日が来るだろう。

私的ランキング

①ロバート・イースターJr★24
②デジャン・ズラチカニン★24
③テリー・フラナガン★23
④ホルヘ・リナレス★23

ランセス・バルテレミが残っていれば彼がナンバーワンだったろう。
混戦の王者という印象です。

注目の選手

マイキー・ガルシア
35勝29KO

長いブランクから復帰の無敗の2階級王者。
硬質でシャープでメリハリがあり、倒す意思のある王道のボクシング。
走・攻・守、全てがまとまった万能型ボクサーファイター。
王者候補筆頭だろう。点数だけなら王者を凌駕しているはず。

全てのバランスがいいので大丈夫だろうが、ライト級では体格と耐久力が不安材料。
自身もKOパンチャーだが打たれ強いタイプではないだろう。
お兄ちゃんのようにいいボクサーだけどやや小柄ぽっちゃりでスケール感がなく負けていった同じ道を辿るのか?
標的はズラチカニンっぽい。

フェリックス・ベルデホ
22勝15KO

五輪でロマチェンコに負けたものの、ロマチェンコよりスケール感がありプロで大成しそうな大型ホープ。
もう、トリニダードの再来を期待されるヤングヒーロー。
速いしパワーも足もあるし体格もいいし、たぶん王者になるだろう。
けれどやや大振りで緻密さがなく、そこをアマの巧者につかれたのかな。
井上尚弥と同じで派手ではあるが、まだ青さも。
標的はフラナガンっぽい。

ルーク・キャンベル
14勝11KO1敗

ロンドン、バンタム金でプロではライト級。
体格は十分だがパワーが心もとない。パンチ力もタフネスも。
フラナガンよりイケメンだし、アマの実績も上だから王者になって当然とおもっているだろうが
ギリギリ届かなさそうだけど・・・
でもアイドルっぽいから獲るのかな。

中谷正義
12勝7KO

身長だけならイースターより大きいみたいだ。182センチとある。
日本ではとびきりの逸材だろうが、パワーもテクニックも今のままでは上は難しいだろう。
何を武器にチャレンジしていくのかな。アウトボクシングだけでは通用しない。

エミリアノ・マルシリ
33勝14KO1分

40歳のイタリア人。40なのにフットワークを多用した運動量の多いスタイル。そしてなかなか速い。
イタリアボクサーも少ないながら戦績はすごいがなかなか大成しない。国内にとどまっているからだろうか。
どこかオマル・ナルバエスのライト級版みたいで王者は厳しいが挑戦する実力はあるようにおもう。
残念だが中谷よりはいい選手にみえる。

アドリアン・エストレージャ
26勝23KO1敗

三浦のライバルはこっちとおもっていた時期があったが、エデン・ソンソナのスイングをモロに食ってKO負け。
やたらマッチョだったので階級をあげたもよう。

パワーはすさまじいが筋肉の鎧なので打たれても効きやすそう。
プロのたたき上げなのか、インサイドワークも上手くはない。一発屋止まりか?

レイムンド・ベルトラン
31勝19KO7敗1分

まだこの階級にランクしている。平凡な戦績の雑草ボクサーだが、バーンズ戦、粟生戦と、やたらパワフルだった。
薬の力と増量であの強さだったのだろうが、いつもヒール役なので負けにされた試合も多く3敗くらいが妥当か。
こんな平凡な選手でもあんなに強いのだからライト級は怖い。リナレスにとっても怖い選手だ。
でも中身もヒールで腐った根性の持ち主でドーピング野郎だったのでもう追放でいいだろう。

ソリサニ・ンドンゲニ
21勝11KO

南アフリカ、年齢不詳。映像が少ないのでよくわからないところがある。
パンチャーではなさそうだが、手足長く、動きも速い。アウトボクサーだろう。
手先を前に出し、距離をとった戦い方をするのでなかなか接近しにくそうだ。
WBA2位まで来てるんで頑張って欲しい。次が初国外、アメリカホープと対戦だ。

イスマエル・バロッソ
19勝18KO1敗2分

復帰戦の予定もなくフェードアウトか。
顔も名誉も同胞リナレスが全部持って行ってしまったが、実力で負けてないからチャンス求めて頑張ってください。
鋭い攻撃力を生かすために走って走ってスタミナつけてください。
焦らなくても後半でも相手を倒す技量もパワーもありますから。
君はおじいちゃんじゃない。

マソン・メイナード
32勝24KO1敗

さすがに有望な選手が多いので思い入れある人か無敗選手以外省いてきているが、3戦目のKO負けからここまで来てるんでチェック。
168センチとやや小柄だがエキサイティングなパンチャーです。ハンサム白人だし。
やや大振りなフッカーっぽいが、出入りもよくシャープです。KO勝ちが多くて魅力的です。

エマニュエル・タゴエ
26勝13KO1敗

多いなぁ。デビュー戦の1敗のみなので。
全部ガーナで29歳でスピードがないので難しいだろう。
地元じゃ英雄なのかな、でも試合は退屈ですよ。
WBAは同じベルトを乱発してるなぁ。見た目、正規ベルトと同じですやん。
WBCとかだと少しチンケになってる気がしますが。

アーテム・ハロヤン
13勝6KO

アルメニア人だがスペインを主戦場にしている。アマエリかな。
左右関係なくスイッチしてはコンパクトなフックをひっかけまわすスタイル。
器用だとはおもうがパワーレスだしパンチがちょっと猫っぽい。

ジョージ・カンボソスJr
10勝6KO

Jrでもシニアを知りません。
オーストラリア。オーストラリアには加藤と引き分けたブランドン・オグリビエもいました。
この人もアマエリートかな。とてもオーソドックスで相手を見る選手です。
パンチは速くて鋭いけど過程が普通すぎます。中谷といい勝負か。
タトゥーだけ記憶に残った。

リチャード・コミー
24勝22KO1敗

イースターに負けちゃったけど差はほとんどなかった。
効いたし効かせたし。
王者になりたい気持ちを一番感じる人だ。
パンチも体も強いことはわかった。あとは叩き上げ選手なのか、ややボクシングが荒い気がする。
もう一段強くなって再びのチャンスを掴んで欲しい。
王者と同等かそれ以上の力はすでにある。

アレハンドロ・ルナ
21勝15KO

アマ90勝12敗
アメリカの無敗白人ホープなのでチャンスはいつでもあるかな。
挑戦資格にふさわしい実力はあるようにおもう。
ただ、全てがやや普通だし少しオープン気味のクセがあるかな。
動きはいいがパンチはそんなに速くないです。

もう少しいるが疲れた。書くに値するのはいないか。
すごい選手との出会いを期待したがいなかった。
ミッキー・ベイとかミゲル・バスケスが再浮上しても不思議ではない。

やはり

マイキー・ガルシア
フェリックス・ベルデホ
イスマエル・バロッソ
リチャード・コミー

が王者レベルだとおもった。

エキサイティングで魅力的なのは

マソン・メイナード

40歳で動けるなぁ、頑張って欲しいのは

エミリアノ・マルシリ

でした。

全体的にハイレベルな階級なのは間違いないが怪物もいないので中谷頑張れるかも。
荒川やリッキーにもチャンスあるのではないでしょうか?
内山も十分通じるでしょう。
Sフェザーより魅力は落ちるかもしれません。

各団体の世界ランカー15位までをチェックし、世界経験者はなるべくはずしてますが
五輪あがりの選手とかはまだランク前だったりで本当にやばいのはこの外にいるのかもしれませんね。

ユリオルキス・ガンボアさんは今何級なのでしょうか?
階級別ランクにはいましたが、世界ランクにはいませんでした。
すぐに王者になれるでしょう、相手次第では。

最強はマイキーにさせていただいたが、彼がイースターに向き合う姿が今は想像できない。

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コメント一覧
  1. >ダイヤは非世界王者って何の意味が?

    本来なら WBAスーパー王座のようにしたかったんでしょうが セルヒオで批判があったんでしょう   名誉王者のように準王者の意味で 正規の下に潜り込ませています笑   困ったものだ・・・

    WBA批判をしてるファンは WBCになると口をつぐむどころか 「ファン」という声もチラホラ上がるし・・・
    ※参考   複数王者階級数
    WBA=10 WBC=7 WBO=1

    「神」だとか言われてる 某王者は ク◯団体から記念品をもらうより 「名誉・ダイヤ王者って 表示はいるんですか?」と団体に聞いてくれたほうが よっぽど尊敬するのだが・・

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  2. これは知ってました。
    ダイヤは非世界王者って何の意味が?

    マイキーは巨大なイースターじゃなく自身より小さなズラチカニンでよかったですね。でも肉厚でタフなんで、ズラチさんを応援したくなります。技術じゃ敵わないだろうけど。

    ズラチさんという呼び方はかつてのダルチみたいですね。

    ガンボアは自業自得ですね。
    以前コットとやるという話はあり、ここまでくると金だけの見世物です。
    勝ち負けになるとしても見たくない組み合わせです。

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  3. WBA&WBCダイヤ王者=ホルヘ
    WBC王者=ズラチです   (ただしダイヤは非世界王者)
    ズラチマイキー戦決定   勝者がホルヘクローラⅡ?戦勝者とやるとか

    Yガンボア  L級かSFe級といったところですが まがりもなにも契約が落ち着いたかと思ったら試合枯れ   今年厳しそうです   今年0ならもう見放します

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  4. うっちーさん

    そうなんですか。
    加藤と引き分けた選手も世界ランク
    ヨウダンなんかは上位ランクに再浮上してるんで
    ランカーの力はあるとおもいます。

    頑張って欲しいですね。

    でも、こんな記事書いてても、本当に観たいのは
    ランクにいない奴っぽいです。

    マイティさん

    その通りかもしれません。
    愛情さえ抱く人かも。

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  5. 神戸で中谷選手の試合を2回見たことがあります
    長谷川選手の試合の前座で出た3年前は、相手が弱かったこともあり、かなり大きく強く見えましたが、東洋王者になった後の宇佐美太志との防衛戦では、あの時のスケールが感じられなかったのが印象的でした
    このままだと世界は厳しいと感じながら、会場を後にした思い出があります

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  6. うっちーさん

    日本人と無縁の階級なので
    そう感じちゃいますが、やばいのは見当たらなかったです。

    マイキーと内山がやる夢をかつてみれたくらいですし・・・

    中谷選手はその通りだとおもいますが
    もう言い尽くされたことなので仕方ありません。

    身長がイースターより高いことになっていますが
    大きさが印象に残る試合はなかったなぁ。

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  7. この階級になるとハイレベルな海外の選手がいっぱいいますね
    特にマイキーはいつ王者に返り咲いても不思議じゃない
    中谷は大問題の井岡ジムを出て他のジムに行かないと上は目指せないのでは?
    内藤大助が「東洋と世界じゃ全然違う」と言ってた通り、東洋ランカー相手に甘んじて、いざ世界ってなったら、こないだの和気みたくなるかと思います

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  8. 百済さん

    IBFしかチャンスがないのか、体質で平気なのか、よくわかりません。
    解禁はされましたが日本人とあまり縁のない団体な気がします。
    日本の減量文化と海外のそれは少し違うのかもしれません。
    ユーリも全く違う減量の価値観を持っている人でした。

    書きながら、映像みながらその場で判断しているので、あらかじめ王者以外はイメージもせず、誰出るかも知らずやってるのでスピードとは全体の印象です。手足というより身体の俊敏さ、反応とかですかね。
    よく日本人の方が速いとか言われますが、井上のような特別な例を除きそれをあまり感じません。

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  9. イースターは体格凄いですね。ミドルの選手の数値じゃないのかと。しかもIBFだから試合でリバウンドもできないですよね。
    バルテレミにしろ、ペドラサにしろ、近い階級の選手がなんでIBF王者なのか不思議です。

    管理人さんにお聞きしたいのは、選手のスピードの項目ってハンドスピードのことなのでしょうか?それとも足の早さですか?

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