年末の格闘技祭りのようなものがロシアで行われてました。演出もよく研究をしてダサい部分まで含めて真似をしていたとおもいます。Youtubeライブで無料でクリアな動画が観れました。そこまで考慮すると権利うんぬんでややこしい日本の中継よりオープンで先を走っている気がします。
余興で剣道や剣術、柔道やサンボの歴史なんかをやってて、日本の武術に対するリスペクトなのかもしれませんが、間延びして退屈だし、何より日本勢がほぼ負けなので、みじめな印象しか抱きませんでした。
が、完敗とはいえ、アウェーでの洗礼的なものもあり、いい試合もありました。
経済状況の変化とかもあるんでしょうが、結構豪華であり、是非これを続けていって欲しいものです。
ロシアとの交流は必ずや選手を強くするものです。
色々あったがボクシングだけ回想を。
ザウル・アブデュラエフVS川西真央
ローカルボクサーと日本の4回戦レベルの試合だとおもう。
若干背の高い川西はよく攻めて打ち合っていたが、技術的優位で、ジャブ含め有効なクリーンヒットはアブデュラエフが上回った。
川西という選手はやはり日本人的で、ガードが甘く顔を跳ね上げられるシーンが目立った。能力的には互角以上の素質があるとおもうけど、技術的未熟差が出た。
WBOユース・ライト級タイトルマッチ
ムハマドクハ・ヤクボフVS市川大樹
ヤクボフというのが全勝のタジキスタン選手らしく強豪だったのだろうが、市川も9勝7KO2敗とKO率高くアマ歴も少しあるようなので期待していたが、あかんボクシングをしてしまった。
パワーに自信があるので一発かましたかったんだろうが、ガードがルーズな上アゴの締まりも悪く、KOパンチをもらいにいってるような構えである。これはフォームから矯正しないとダメだろう。
そして、中央アジア系の選手は腕っぷし、ケンカが強いので、序盤の殴り合いは強い。
ヤクボフがすごくいい選手には見えなかったが、やりたい放題でいいパンチが全部急所をとらえた。
WBOアジア太平洋ユース・フェザー級タイトルマッチ
マーク・ウラワノフVS三浦仁
これもよく知らない同士、ウラソノフという選手もローカルボクサーの域を出ないホープだろう。頭をよく振ってフェイントを多用する選手だが、攻撃にいけない。無駄に動きすぎ。
対する三浦は軸がブレず、コンパクトで無駄ないパンチが打てる選手だが、ジャブ、ワンツー主体で直線的、基本に忠実すぎる。9勝1KOの割にパワーはありそうで、大振りもしないので精度が上がればKO率も増えそうだ。実は一番効果的だったのはコンパクトに放たれる左ボディだったようにおもう。
バランスよくブレない三浦が与えるダメージが上回り、若干押し気味で勝ったとおもったが、微差なので地元選手にジャッジが流れた。
負け試合ではないし、三浦という選手は伸びそうだ。けれど、もう少し試合のどこかで無茶をして山場を作りたいし踏み込んだパンチを打ちたい。
笑顔で淡々としすぎた。
WBCアジア・ライト級タイトルマッチ 10回戦
パベル・マリコフVS金子大樹
https://youtu.be/oFovKPDDqYc
一人97-92でマリコフがいたのでユナニマスは無理だが、ダウンがなければ金子の2-1だったんだな。
勝ちに等しい試合だったが、初回からペースを握りかけて初回最後にダウン、最終回のゴング後にもダウン。これは痛烈だった。(カウントされてないとおもうが)
この印象とやはりクリーンヒットをみるとアウェーで勝ちきれないのだ。
マリコフという選手はマッチョで男性ホルモン過剰な見た目通り、パワーはすごいが筋肉の鎧で硬く、打たれ弱さとスタミナに不安のある選手だった。
筋肉が邪魔でパンチが短く、踏み込みと近距離しか出来ないボクシングだ。
内山でもとれなかったダウンを金子から2度もとるので、ガツンパワーは相当だろう。ベテランらしい身のこなしもあるテクニシャンでもあるが、細くともパワーも体力もある金子の力にたじろぎ、心折れ、ダウン寸前だったとおもう。
金子の良さは手足長い細身なのにパワーも手数も体力もある事で身体能力はとても高い。しかし組み立てが不器用というか、必殺の右ストレートは大きくてダッキングされ、責めてもカウンターをもらって相殺されてしまう。スピードもリズムも一定。速い方ではない。緩急、パンチのコンパクトさが足りないのかな。後は有効だったがもっともっとジャブで距離をキープしていればマリコフの眼は完全に塞がっただろう。
全局面で上回ったとおもうが、一番当てたい右だけ当たらなかった。ここが課題か。
それでも、個人的には勝ち試合であり、やっぱり金子の身体能力と精神力は素晴らしいな。また好きになりました。力は落ちてないし、日本王者返り咲き、さらなる飛躍も期待できるとおもいます。尾川といい勝負になるとおもう。
結果だけみれば、ダメージも深い敗北で、戦績にも傷が増え、引退に近づくデータが増えただけですが、三浦と金子は勝ちでいい内容であり、格下相手に日本でやるよりずっと実のある試合をしたとおもいます。マリコフをあそこまで痛めつけるボクサーは日本にはちょっと見当たりません。
眠かったけど、金子戦まで起きててよかった。
最初と最後にダウンあり、アウェーの雰囲気、マリコフの泣きそうな顔、勝利コールでの喜びよう・・・日本人選手が潔く相手を称える姿など
いいものを観ました。
教訓
やはりアウェーでは倒さねばほぼ勝てません。
タイだろうがロシアだろうが・・・
関係者は肝に銘じて欲しいものです。