大いなる野望/テオフィモ・ロペス

我々はフロイドのようになるだろう。彼らは俺たちと戦わなければならない。そこに金が集まるからだ。

https://www.youtube.com/watch?v=pV3q9du9bgo

2018年のプロスペクトオブザイヤー、テオフィモ・ロペスが歩んできた道のりは決して簡単なものではなかった。彼はアマチュアでの屈辱に対処し、2016年の米国オリンピック代表選考から漏れ(トライアルでは勝ったにも関わらず)、ホンジェラスを代表して戦った。銀メダリストとなったフランスのソフィアーヌ・オーミアに初戦で敗れたが、昨年7月のメリーランド州の夜は違った。

ロペスは中谷正義に負けなかった。事実、スコアカードはロペスの優勢を示していたが、彼は期待に応えるパフォーマンスが出来なかった。納得したファンはいなかった。中谷の試合映像を事前に観たことが過ちだったのかもしれない。ハイズマンのポーズで派手なKOを狙ったことで大きな過ちを犯した可能性が高い。(楽勝と勘違いしていた)

この夜、メイソン・メナード戦やディエゴ・マグダレノ戦のような派手なキャッチアンドカウンターはなりを潜めた。背の高い日本のファイターは、彼が負け犬でないことを示した。彼の長いリーチはロペスに効果的で、ロペスのアタックは物足りなかった。

ESPNで解説していたアンドレ・ウォードの採点は公式ジャッジよりずっと接戦だった。同じく解説のティモシー・ブラッドリーはロペスの弱点が暴露されたと述べ、IBF王者のリチャード・コミーにさえ勝てないと言った。

ロペスは、「ボクシング界がいかに気まぐれ(無責任か)」とツイートした。

あの夜のロペスは、新妻と家族の問題で精神状態が最悪だったことがわかったのは後になってからの事だった。

デビッド・マクウォーター
「彼はまだ赤ん坊だ。サッカー選手だったら大学生でまだプロにもなっていないだろう。」

IBF王者のリチャード・コミーはロペスにとっては荷が重すぎるという意見が世間に広まった。事実コミーは強く、未熟な新鋭の弱点を引き出し、古いシャツの穴のようにそれを引き裂くことができる強打のタフガイだった。

12月14日にニューヨークで行われた試合では、試合開始からわずか4分でロペスが動き出した。二人は同時に右の打ち合いを選んだが、ロペスの右が先にヒットした。コミーは前方によろめき、キャンバスに触れた後、ロープにふらついた。この時点ですでに試合は終わっていたが、再開後、レフリーが試合をとめるまで、ロペスはコミーをロープに追い詰めて答えのない1ダースのパンチを繰り出した。

ガーデンでの壮大なノックアウト、ランニングバックフリップ、そしてハイズマンのトロフィーポーズ。ロペスが世界タイトルを獲得したのは偉大な快挙であると同時に、安堵感もあった。

ロペス
「正直言って俺の時間だった。人生で一瞬で全てが変わったことを誇りにおもう。22年ぶりのことだよ。(生まれたこと以来)」

試合後の記者会見は神妙だった。

135ポンドで3つのタイトルとリングマガジン王座をを保持しているエリートP4P、ワシル・ロマチェンコでさえ、若き新進気鋭のロペスを認めざるを得なかった。

ロマチェンコ
「ようこそ私のクラブへ、4月に会いましょう。」

ウクライナのスターは ロペスを統一戦に誘った。

トップランク副社長のカール・モレッティによると、4月に予定された試合は5月になる可能性が高い。それでも、まだ多くの問題が山積みだ。ロマチェンコのマネージャーであるエギス・クリマスは、ロペスの地元での試合を望んでいない。デビッド・マクウォーターも、試合実現のために満たしてほしい条件をいくつも持っている。

デビッド・マクウォーター
「テヘランでロマチェンコと戦うつもりはないし、80万ドルで戦うつもりもない。全てが正常であれば次に戦う。」

ベルトを獲得したばかりで最大のスターに直行することは、ロペスの野心がいかに高いかを物語っているが、それはロペスがずっと望んでいたことでもある。

デビッド・マクウォーター
「それが、ロペスとその他の若いファイターとの違いだ。今は王者になってもリスクを冒したくないファイターや満足したふりをしているセカンドファイター(暫定王者)がいて、真の頂点を求めようとしていない。テオフィモとシャクール(スティーブンソン)だけが時代をリードしている。あの若さでベストな戦いを求めているなんてとても珍しいよ。」

ロペスの父でトレーナーであるテオフィモ・シニアはロマチェンコの事を「嘘つき」だと言う。

テオフィモ・シニア
「ロマチェンコは人々を欺いているだけの偽物だ。この男は誰とも戦ったことがない。ロマチェンコはコミーと同じように相手の目の前に飛び込んできたり、素早く逃げたりするだけだ。奴がニューヨークでは戦わないと言っていることも不満だ。すべての関係者が最もお金を稼げる場所で戦うことに前向きになるべきだ。この試合に私の人生全てを賭ける。もしこいつが息子に勝つようなら私はトレーナーを辞めるよ。ロマチェンコはもう既に息子の事を怖がっている。」

今すぐにでも戦わなければならない理由はロペスの成長を続ける若い身体にもある。彼のチームはコミー戦での減量は順調だったと語ったが、彼は減量に苦しんでおり、既に階級アップを視野に入れている。

デビッド・マクウォーター
「もしライト級にロマチェンコがいなかったら、スーパーライト級に上げていたかもしれない。」

ロペスは、彼の伝説を築くためのビッグファイトには事欠かないだろう。スーパーライト級でWBCとWBOのベルトを持つホセ・ラミレスはトップランクの傘下にあり、リングマガジン/WBA/IBF統一チャンピオンのジョシュ・テイラーはワールド・ボクシング・スーパー・シリーズに勝利した後同社と契約したばかりだ。

デビッド・マクウォーター
「テオフィモが(ロマチェンコに)勝って4つのベルトを獲得し、返上してスーパーライト級に昇格し、同じ年にスーパーライト級を統一する可能性がある。もしテイラーとラミレスが半年から9ヶ月後に戦ったとしても、ロペスは今年中に彼らと戦い、2つのタイトルを統一することができる。同じ年に4つのベルトと2つのタイトルを完全に統一することができる。前例がないことだ。まだ22歳だということを忘れそうだ。誰もやっていないことをやるという話があるんだ。」

まず第一にロペスは ロマチェンコをクリアしなければならないがそれは簡単なことではない。中谷がやりにくいスタイルだったとすれば、ロマチェンコのスタイルは、誰もが楽しい夜を過ごせないように設計されたものだ。マクウォーターによると、ロペスのモチベーションとなっているのは、ロペスがこの部門でナンバーワンの男を倒さない限り、本当の意味でのチャンピオンではないと言っている評論家たちだという。

ロペスは年が明けて間もなく、休暇でモルディブに向かったのであまり眠れなかった。もしロペスがロマチェンコを倒すことができれば、マクウォーターは、ロペスは、おそらくカネロ・アルバレス以外のスポーツ最大のスターになるだろうと予測している。

テオフィモ・シニアも同意している。

「我々はフロイドのようになるだろう。彼らは俺たちと戦わなければならない。そこに金が集まるからだ。」

モレッティが付け加えた

「テオフィモにはカリスマ性があり 市場性があり、バイリンガルで人々は彼を見たがる。彼は素晴らしい試合をする。リングの外でも中でもエキサイティングだ。その時点で既に新たなレベルに達している」

うーん、中谷、あの試合は勝っていたよという言葉に尽きる。未来のカネロに貴殿は負けていなかった。

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これを読んで、ロマチェンコの勝利を確信するのだった。

カリスマ性と決意という点で、テオフィモ・ロペスは他のプロスペクトの一歩先を走っているが、田中恒成が王者になってすぐに当時のロマゴンに挑むようなものだ。

そしてライト級もスーパーライト級も、テオフィモ・ロペスだけが勝ち続けるほど甘い世界ではない。若いから、勝っても負けてもエキサイティングであり続ければ人気者だろうが、常にAサイドのヒーローになれるかどうかは懐疑的だ。若さは脆さでもある。

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