
日本人世界王者がいなくなり、活性化、世界化してきたSフェザー。
能力比較だと残念ながらロマチェンコやペドラサの方が上だとおもうが、各団体ともに面白い総力戦になってきました。
来年早々に行われるこれらSフェザーの試合を現状で展望したいとおもう。
対戦相手の難航でようやくこの相手に落ち着いたと判断していいのか。バルガスVSベルチェルトの勝者への挑戦者決定戦。
三浦を回避したサリドは何食わぬ顔でロマチェンコと再戦しそう。怪我など言い訳で、天秤にかけ大金を選んだだけでしょう。
展望を書いてくれというリクエストがあったものの、ミゲル・ローマンをよく知る日本人ってあまりいないとおもう。
しぶといおっさんというイメージしかなく、この記事に備えて復習してみたが、今と昔では別人のような変化をとげた未知なる小怪物っぽいのだ。
一筋に語れぬ歴史をもった人なのです。だから長文になります。
ミゲル・ローマン(メキシコ)
56勝43KO11敗
現役でトップレベルの試合数だろう。敗戦多い叩き上げだがKO負けは1つしかなくまだ31歳だ。67試合して1KO負けだけですよ。
元々Sバンタムで身長165センチの小柄な選手。2003年のデビューから22連勝。当時は勢いのあるホープだったことだろう。
ここからリナレスと対戦歴のあるマイケル・ドミンゴという選手に初めて負けてから茨のキャリアとなっていく。
この試合は映像で見ると怪我かなんかのアクシデントによる棄権的なもので実力負けではなかったが。
その後は敗北によるショックかスランプか、勝ち負け5割並の踏み台ボクサーに落ちていくが、SDやUDが多く倒されて負けたわけではない。
主に微妙なスピード負けかな。階級もフェザー、Sフェザーと徐々に上げていきました。
まさに踏み台といった感じで敗れた相手は当時上り坂のホープばかり。
ヘナロ・ガルシア
ホルヘ・ソリス
エドゥアルド・エスコベド
フェルナンド・ベルトラン
ミゲル・ベルトラン
アントニオ・エスカランテ
ジョナサン・バロス
ハビエル・フォーチュナ
アントニオ・デマルコ(生涯初KO負け)
ダンテ・ハルドン(1勝1敗)
これだけのランカーと対戦し、SD、UDなどで敗北するも、しぶとく試合を続け、最近は18連勝17KOだ。(1反則勝ち含む)
中でも一番の金星はダニエル・ポンセ・デレオンをTKOし引退させた試合だろう。
こんなに書いても映像を張り付けて終わりにできぬほど、言いたいことや言い表せぬことがある。
最新の試合ではまぁまぁ速いし上下の打ち分けも上手いし、攻撃的で手はでるし、KO率も納得のパワーだが、これだけのキャリアを経て熟成された感じで昔のボクシングとかなり違う。
どうも、チャベスとのスパーで腕をあげたホセ・ルイス・カスティージョやただでは負けないオルランド・サリドのように数値化できない異様な強さを備えている感じがするのだ。
本番に強いタイプ、レフリーが止めるまでは諦めない強靭な肉体と精神力を持った選手だとおもわれる。
最近の勝率、KO率をみてもSフェザーでも十分強いのは証明済みだが、それでも三浦のボンバー一発の方が上だろう。
技術ではローマンが上、ディフェンスも上、タフネスは互角もキャリアや打たれた時の対処でもローマンが上。
ただ、瞬間の当て勘やパワー、ボディの重さ、決定力は三浦が上だろう。スピードは互角、互いに速い方じゃない。
こんな化け物なキャリアを持つ相手はKOかTKO、完全決着しかないだろう。
こんなに書いたがローマンを正しく査定できません。
みなさんどう判断されますか?
三浦のボンバーで倒れる事があっても立ってきそうだが、執拗なボディには心が折れるはずと信じますが、実に厄介な選手ですね。
一発で倒して終わらぬ限り、高い確率で大激闘になりそうです。
https://youtu.be/HACC_hWganQ
https://youtu.be/WgHb8H3UFCI
https://youtu.be/Rkuom7d2d5s
対する三浦隆司も簡単に
30勝23KO3敗2分
この人も長いキャリアでスタイルが随分変わったといえる。
今はすっかりファイターボクサーで一撃必殺の左ボンバーや重いボディと重厚な圧力のエキサイティングな選手となったが、昔は手数の少ないアウトボクサーでした。左狙いだけの殺し屋のような殺気は変わりませんが。
このスタイルチェンジは成功で帝拳に移籍して開花、頼もしい世界王者になったとおもいますが、夢のラスベガスの舞台ではやはりディフェンスがザルだった。最高の試合を見せたが、日本国内とはレベルが違いボコボコ殴り返され陥落。
この経験を経て、今は足を使ったりディフェンス向上に余念がないそうだ。葛西さんも三浦は意外とそれができる素質があるからただのファイターじゃなく仕上げたいようだ。
しかし元々手数少ないアウトボクサーだった過去をみればそれは当然、やっぱり三浦の魅力は重厚なプレッシャーとボディ、左のタイミングだけだ。
ディフェンスはダッキングとブロッキングで十分だとおもう。
賞賛されつつもベルトを失った悔しさは相当だろうから、モチベーションに全く不安は抱いていないが、とにかく試合をしていないのでそこがローマンとの大きな差だろう。
事前に立てた戦術がはまるかどうかは蓋をあけてみないとわからない。
ローマンは今年も3試合消化。2015年は5試合。
三浦はかませとの初回KO一つだけです。2015年は2試合。
噛み合う選手だけに序盤にいいのを食わないこと、大振りで狙いすぎにならない事でしょうか。
ボディで削っていけば必ずチャンスはやってくるとおもいます。
ただ、サリドやバルガスと比較しても、もっとしぶといかもしれぬ、未知なる部分があるのでどんな状況にも対処する覚悟が必要でしょう。
世界戦じゃないから10回しかない。ポイントリードされる事もあるかもしれません。
応援はするが、試合をしてないのが不安で読めないというのが正直なところです。
バルガスVSベルチェルトも書く予定でしたが、またにします。
この試合も熱いですねぇ。バルガスが簡単に負けたらビックリですよ。